先週土曜の21日に、池袋HUMAXシネマズで「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を鑑賞した。 そう。あの、大ヒットアニメ「この世界の片隅に」の長尺版である。前作に40分弱の新たなパートが加わっている。その中心となるのは、前作でもチラリと出てきた遊郭の女性りんと、主人公すず、その夫の周作との関係だ。原作の漫画ではそのあたりがきちんと描かれていたのだが、片渕須直監督は前作では、時間の関係などもあってあまりそこに深入りできなかったらしい。 今回、それがようやく実現した。さらに、遊郭のもう一人の女の子も登場して、すずと心を通わせる。そのおかげで、すずの人物像により深みが出て、ドラマの陰影もさらにクッキリとしたと思う。単なる長尺版と違い、前作とは異なる色合いを持った映画といってもいいだろう。 前作の魅力は戦時中の庶民の日常生活を生き生きと描き、それを通して戦争をはじめ様々なテーマ性を、ごく自然に