今回から、前回の『化物夜更顔見世』と同じ、桜川慈悲成作・歌川豊国画の『大昔化物双紙』(寛政七 [1795]年刊)を読んでいきたいと思います。 この作品も以前に取り上げたので、ひょっとしたら読んだことがある方もいるかもしれませんが、四年近く前のことなので、私もすっかり内容を忘れていましたヾ(๑╹◡╹)ノ" ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (3ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 御存知の越後の国の大入道、一子を一ッ目小僧とて寵愛《ちやうあい》しけるに、此の小僧、親に劣らぬ化け巧者《ごうしや》にて有りしかば、数多《あまた》の化け物、入道《にうだう》に言ふ様《やう》、 「一ッ目殿、今は天晴《あつぱ》れの化け様なれば、入道は隠居《ゐんきよ》して、世を一ッ目に譲り給へ」 と