東洋占術では六十干支が一巡りする60日、60カ月、60年が節目。なかでも、生まれたときの六十干支に戻る還暦は、もう一度生まれ変わって赤ちゃんに戻るという意味で、赤いちゃんちゃんこを着るのです。 60歳を超えたら、残りの人生はおまけのようなもの。仕事も引退して、楽しみつつもひっそり暮らそうと思っていました。 しかし、会社勤めと異なり、フリーランスは退職日がはっきり決まりません。依頼されるままにずるずると仕事を続けています。 昨年の秋、「ウクライナ情勢の影響で用紙代の高騰が続き、連載ページを大幅に縮小する」と連絡があり、長い付き合いだった出版社からの受注が途切れました。この一年ほど取り組んできた易の本も先日、入稿を終えて後は校正だけです。 待ちに待った自由な日々のはずなのに、想像していたほど心が弾みません。それどころか、社会から用なしの刻印を押されたように感じます。大量の仕事をこなしていた日々