総額プラス0.19%で決着した診療報酬改定率。民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)や政策集に基づき「医療再生」へ大幅な税投入を狙っていた長妻昭厚生労働相は、かろうじてメンツは保ったが、財政難と政権内を説得することの難しさをかみしめた予算編成となった。 「診療報酬はネット(総額)でプラスという考え方に変わりはない」 厚労相就任以降、長妻氏は、診療報酬改定率について、ひたすら「ネットでプラス」を繰り返した。民主党の政策集に勤務医対策を中心に医療費を大幅に増やすことが明記されており、看板政策撤回はあり得ないとの思いからだった。 政務三役の一人は「小泉政権以降、大幅に診療報酬が引き下げられた。今回は10%以上の引き上げを目指す」と発言。長妻氏は中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を勤務医寄りに入れ替えるなど、荒業で「プラス改定」を手中に収めるつもりだった。 だが、長妻氏の前に「財政難」が立ちは