『滝山コミューン一九七四』で「東京近郊の団地に花開いた左翼文化」という歴史的現象を自伝的に語ってみせた原武史が、今度は『滝山コミューン一九七四』よりももうちょっと学術的な形で団地の歴史と、そこで行われた「政治」について分析した本。 大阪・香里団地、ひばりヶ丘、多摩平、常盤平、高根台の各団地の歴史をたどりつつ、そこで自治会や文化サークルがいかに立ち上がり、どのように「政治」にコミットしていったのかということを、自治会報やタウン誌などを用いて読み解いています。 この本は1960年に皇太子夫妻がひばりヶ丘団地を訪問したところから始まっています。 できたばかりの団地はアメリカ型ライフスタイルの先端を行くものと考えられており、ダイニングキッチンや洋風家具はアメリカ風の生活スタイルを、そして一軒ごとにある浴室とシリンダー錠は家庭のプライバシーを実現するものでした。 しかし、この本でも指摘されているよう