2006年8月15日に小泉首相が靖国神社を参拝した時、東京で繰り広げられた抗議デモの中に、「還我祖霊」という文字を染め抜いた黒いTシャツ姿の一団がありました。それは、靖国神社に合祀された祖先の霊を返せと主張する台湾原住民族の人々でした。 なぜ台湾原住民族の人々が「日本人」として戦死し、靖国神社に合祀されることになったのでしょうか。そして今なぜ原住民族の子孫たちは、その合祀に反対し、取り消しを要求しているのでしょうか。 台湾靖国訴訟の弁護団の一人中島光孝弁護士によるこの著書は、そうしたことを、日本による台湾統治およびその後の国民党政権による戒厳令時代の「白色テロ」の実情、そして近年ようやく始まった原住民自身による歴史と文化の回復運動について詳しく述べる中で明らかにしています。 そして、台湾訴訟の原告である高金素梅(ガオチンスウメイ)(チワス・アリ)さん、靖国神社に合祀されている「高砂族」の子