ブックマーク / mmpolo.hatenadiary.com (32)

  • 児玉博『堤清二 罪と業』を読む - mmpoloの日記

    児玉博『堤清二 罪と業』(文春文庫)を読む。副題が「最後の告白」。セゾングループの総帥堤清二は2013年に亡くなった。児玉博はその前年2012年に堤に7回に渡ってインタビューを行った。その結果が書だが、単行は堤が亡くなった3年後に発行された。 堤清二は東大在学中、父堤康次郎に絶縁状を出した。当時清二は渡邉恒雄らとともに共産党の党員だった。しかしその後清二は共産党中央部から除名処分を受ける。そして衆議院議長に就いた父の秘書官になった。 康次郎は西武鉄道を清二の異母弟義明に譲り、清二には場末の西武百貨店を継がせた。その時西武百貨店は破産状態だった。だから引き受けたようなところがある、と清二は言う。自分には自信があったからと。義明が西武鉄道を継いだことについて、「義明君」が凡庸なことは分かってた。西武鉄道なら誰が引き継いでも失敗することはないだろうと。 父堤康次郎が亡くなったとき、清二は、

    児玉博『堤清二 罪と業』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2022/06/27
    "堤康次郎は日経新聞に「私の履歴書」を書いたが、始め受けるかどうか迷っていた。清二によれば、その迷いとは、「日経新聞っていったって、当時はただの株屋の新聞ですよ…果たしてあれが新聞かって?" →ブクマ。
  • 橋本幸士『物理学者のすごい思考法』を読む - mmpoloの日記

    幸士『物理学者のすごい思考法』(インターナショナル新書)を読む。月刊『小説すばる』に連載したエッセイをまとめたもの。雑誌見開き2ページの短いエッセイを書4ページに組んでいる。 「すごい」思考法と謳っているが、「変わった」思考法くらいが妥当じゃないだろうか。エスカレーターは片側立ちをやめて歩かないようにしましようという運動に対して、橋はエスカレーターの段差を2倍にするという提案をする。そうすれば駆け上がることはできなくなるだろう、と。でも香港のエスカレーターは片側立ちではなく、皆両側に立っていた。理由はエスカレーターのスピードが日の2倍くらい速いからだった。 イベントに参加したとき、子どもの頃は何をしたら橋先生のような科学者になれるでしょうかとの質問を受けた。橋は即座に「レゴ」と答えたが、建築家やアーティストといった他の参加者も「レゴ」と答えた。 小学生の時の趣味は迷路を描くこ

    橋本幸士『物理学者のすごい思考法』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2021/11/01
    "橋本はエスカレーターの段差を2倍にするという提案をする。""でも香港のエスカレーターは片側立ちではなく、皆両側に立っていた。理由はエスカレーターのスピードが日本の2倍くらい速いから" →諸々興味深い。
  • マスクで覆った顔は・・・ - mmpoloの日記

    コロナ禍のためマスクの着用が推奨されている。ほとんどの人がマスクを付けていて、さすがに知人では誰か分からないと言うことはない。しかし、あまり知らない人やテレビでたまに見る人も誰か分からないことが多い。 面白かったのは、美人の知人がマスクをしているとさほど魅力的に見えなかったり、特にはきれいとは思わなかった知人が美人ぽく見えたことだ。これは何を意味しているのだろう。 フィリップ・ソレルスが『奇妙な孤独』でこう書いていた。 恋が盲目だなんて何という冗談だ。眼差しこそがすべてだと言うのに。 ソレルスがこれを書いたのは弱冠22歳のときだった。ソレルスは天才だが、人生が分かるには少し早かった。「眼差しこそがすべて」というのは正しくない。 もう40年以上前になるが、資生堂が大きな新聞広告を出した。女性の顔のイラストで、顔の上半分のイラストに対して、さまざまな顔の下半分を提示し、その組み合わせによって美

    マスクで覆った顔は・・・ - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2020/04/28
    "どんな顔でも美人の口の写真を組み合わせれば美人ができあがる。""だからマスクで顔半分を隠してしまうと、特徴が消えてしまうのだ。誰だか分からなくなる。" →ざわちんメイクの秘密について
  • 『アイルランド紀行』を読む - mmpoloの日記

    栩木伸明『アイルランド紀行』(中公新書)を読む。栩木は「とちぎ」と読むらしい。初めて見た漢字だ。書の書評が管啓次郎によって読売新聞に載っていた(10月28日)。その書評の一部。 書は現代アイルランド文学の名翻訳者によるアイルランド紀行。現実の旅に、文学や音楽映画や美術の記憶が自在に織りこまれてゆく。アイルランドでは土地をめぐる知識の総体を「ディンシャナハス」と呼ぶそうだ。一見荒涼とした風景にも、土地の名を手がかりに過去の出来事を見通すことができる。著者は自分の記憶と他人の記憶から「新しいディンシャナハスのアンソロジー」を作ることを試みたという。彼の適切な案内と要所要所での熟達の「吹き替え」が、言葉を色濃く宿すこの島国をたっぷり体験させてくれた。幸福な読書だった。いっそうその国を訪れたくなった。 全体が3部に分かれており、「第1部 ダブリンとレンスター(東部)」「第2部 コナハト(西部

    『アイルランド紀行』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2018/11/27
    "マダム・ジョージについて""でもそれらは全部違っていた。それは北アイルランド紛争に火がつき始めたころのこと、嵐の前の奇妙な静けさを歌っているという。" →ヴァン・モリソンのある歌詞について
  • 『堀田善衛を読む』を読む - mmpoloの日記

    『堀田善衛を読む』(集英社新書)を読む。5人と1組織の共著という体裁。これは今年10月から富山県 高志の国文学館で開催される生誕100年記念特別展「堀田善衛―世界の水平線を見つめて」に際してインタビューに協力した5人の話に各著者が加筆・修正して書籍化したものだという。新書というより雑誌の体裁に近い。 5人の著者は、池澤夏樹、吉岡忍、鹿島茂、大高保二郎、宮崎駿、それに高志の国文学館が堀田善衛20の言葉というのを加えている。 池澤夏樹が堀田を紹介しているが、著書で『若き日の詩人たちの肖像』を高く評価している。自伝に近い小説だが、実在の人物とはすべて名前を変えてある。それで池澤は書で使われているあだ名と名の一覧表を付している。荻窪の先生=井伏鱒二、ドクトル=加藤周一、元駐英大使の坊ちゃん=吉田健一、冬の皇帝=田村隆一のように。 吉岡忍はべ兵連に関係していて、堀田とともにベトナム戦争を嫌って脱

    『堀田善衛を読む』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2018/11/19
    "戦争中に大量生産してしまい、アメリカ政府としても処分に困っていたものをダンピングして売り払った""これによって上海地場の中小企業は…昇天しかねまじいことに" →メリケンのごり押しパワーである(こなみ
  • 岡本太郎の「痛ましき腕」 - mmpoloの日記

    以下、彦坂尚嘉さんの文章を紹介します。 目黒美術館で、学芸員の正木基氏が中心になって朝日新聞社後援で『戦後文化の軌跡』展というものが開かれました。 私、彦坂尚嘉も出品し、シンポジウムのパネラーとしても出席しました。 私もこの展覧会に出品していたので、搬入が終わって、その後、オープン前の会場を見て回りました。まだ、監視員もいないので、ゆっくり見ることが出来ました。 そこに岡太郎の「痛ましき腕」が出品されていました。岡太郎の作品の中でも、格別に印象的な作品で、それを、近づいて、しげしげとゆっくり鑑賞したのです。 変な絵でした。ものすごく、手順が良く描けているのです。端から描いて、端で終わったという描き方で、映画の看板の描き方でした。おかしいな?と思いました。 以前に『芸術新潮』から言われて、岡太郎の70年代美術展の記事を書いたことがあったのですが、その時に見た印象は、この「痛ましき腕」の

    岡本太郎の「痛ましき腕」 - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2018/08/28
    "「痛ましき腕」を再制作することにした。池田龍雄さんらに頼んでモノクロの小さな写真に升目を引いて、そこからキャンバスに輪郭を移してもらった。着色は岡本自身が行った" →「痛ましき腕」を再制作の経緯
  • 私の岡本太郎論 - mmpoloの日記

    今まで何度も岡太郎を批判してきた。それは彼の名声と実力が均衡していないと思ったからだ。有名なほどには優れた画家ではない。先日9月9日の朝日新聞に「絵画で見る岡太郎」という記事が掲載された。 岡太郎論の刊行を予定している美術評論家の北澤憲昭さんは「緊張感のある『痛ましき腕』や、ポップながら迫力のある『森の掟』には画面を作る意識があり、『絵画』として向き合えるが、60年代以降の作品を1点ずつ解説するのは、つらい」と話す。 60年代は、具象性が突然消え、書や梵字のように抽象化する。「明日の神話」や「太陽の塔」といったパブリックアートの名作を経て、70年代以降は、顔や仮面、動物のようなキャラクターが登場する。「岡太郎というブランドのためのスタイルで、マンネリ、自己模倣に映る」と北澤さん。「岡太郎を人間として心底尊敬する」と話し、00年には『岡太郎宣言』を著した美術史家の山下裕二さんです

    私の岡本太郎論 - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2018/08/28
    "「岡本太郎というブランドのためのスタイルで、マンネリ…」と北澤さん。「岡本太郎を人間として心底尊敬する」と話し…た美術史家の山下裕二さんですら、「60年代以降はマンネリズム」" →岡本太郎への評価
  • 山本義隆『近代日本一五〇年』を読む - mmpoloの日記

    義隆『近代日一五〇年』(岩波新書)を読む。山は元東大全共闘代表で、その後駿台予備校で教師をしている。数年前に出版された『磁力と重力の発見』は各方面から絶賛されたが、何分全3巻と大著なので、手が出せないでいた。それが新書という形で出版されたので手に取ってみた。副題が「科学技術総力戦体制の破綻」というもの。 幕末の黒船来航から始まった科学技術振興をたどり、現在までの150年間にどのような展開があったのかを分析し、結局太平洋戦争へと突き進み、敗戦でそれらがご破算になったとされていたが、実は根的には変わらず原発開発まで続いていて、先の福島の原発事故にまで連続していたことを明かした小著ながら壮大な書だ。 経済学の書には「日産業のきわめて早期的な近代化は、このような殖産興業政策の成果であったといっていい。それはほとんど世界の歴史に例をみない成功だったといってよく、それゆえしばしば奇跡とよば

    山本義隆『近代日本一五〇年』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2018/02/16
    "つまり、中国は目に入っていない""「科学戦に負けた」と言うことによって中国にたいする敗北に目をとざした日本は、同時に、アジア侵略の政治的・道義的責任に目をつむったのである。" →まさにこれ(こなみ
  • 『磯崎新と藤森照信の「にわ」建築談義』を読む - mmpoloの日記

    『磯崎新と藤森照信の「にわ」建築談義』(六耀社)を読む。二人の建築家が毎年対談を行っていて、『〜の茶室建築談義』『〜のモダニズム建築談義』に続く3冊目。藤森は建築史が専門なので、前2冊については、藤森が歴史を語ることが多かったが、書では磯崎の出番が目立つ。磯崎の博識が建築に限らず歴史、哲学に及んでいることがうかがわれる。しかも対談なので、著書における磯崎の難解さがやわらげられ、わかりやすく面白い内容になっている。 春日若宮おん祭から始まって伊勢神宮や沖縄の御嶽が語られる。ついで称名寺の浄土庭園と瑞泉寺の石庭が比較される。瑞泉寺の石庭は夢窓礎石が臨済の庭として作った。浄土庭園では州浜が重要だと藤森が言う。州浜は日独特なのだと。瑞泉寺の石庭は岩窟で、雪舟の描いた達磨の『慧可断臂図』と同じような場所ではないか。 龍安寺の石庭を盆石や盆景だと言っているのもおもしろい。「昔の絵巻の坊さんたちが勉

    『磯崎新と藤森照信の「にわ」建築談義』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2018/02/14
    "いちばん大事な石は立てる。""自然の中では重力に従って、石は寝ますから、人には存在として見えていない。それが石を立てた瞬間にはじめて人の意志が加わり、…石として見えてくる。" →重森三玲みたいだな(こなみ
  • 河原宏『日本人の「戦争」』がとても良い - mmpoloの日記

    河原宏『日人の「戦争」』(講談社学術文庫)がとても良い。河原は1928年生まれ、終戦のときは16歳だった。戦争末期に河原が自分自身に問いかけたことは3点、それは国家とは何か、戦争とは何か、天皇とは何か、だった。3つの問いは1つにまとめることができる、それは「自分はなんの為に死ねるか」だった。その答えを見出したと思った途端に戦争は終わった。 河原は『日人の「戦争」』とは何だったのかと考え続ける。『古事記』のスサノオのエピソードを引き、大伴家持の長歌から「海行かば」を取り出し、楠木正成の説話に「七生報国」の出典を探し出す。どちらも先の戦争で叫ばれた言葉だ。信長は天下統一のためにそれまでの領地に執着する武士の土地獲得衝動を否定した。しかし旧日軍は信長以前の武士のモティべーションに復帰したと説く。日軍が執着した拠点確保主義こそ土地獲得衝動を戦術面に反映したものだと言う。 12月8日の開戦は

    河原宏『日本人の「戦争」』がとても良い - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2018/02/13
    "地主――小作関係…を「国体」の名の下に不可侵のものとすることで、当時の天皇制国家に内からの体制変革は不可能となった。""蓄積される社会的矛盾…は、外〈ソト〉、戦争という形で転化" →治安維持法から戦争へ
  • 小林昌人・編『廣松渉 哲学小品集』を読む - mmpoloの日記

    小林昌人・編『廣松渉 哲学小品集』(岩波同時代ライブラリー)を読む。廣松は難解な哲学者だが、これは雑誌などに掲載した小論を集めたもの。題名が硬いが、エッセイ集とした方が内容を表しているだろう。 「一度かいてみたい序文」という項で、ショーペンハウエルの『意思と表象としての世界』初版の序文を紹介している。ショーペンハウエルは序文の最初で読者に3つのことを要求しているという。 第1の要求は、このは必ず2度よめということで「特に第1回目には十分の忍耐をもってよめ」「開巻はすでに結末にもとづいていることを知れ」というわけです。第2には、書に先立って「緒論」をよめとのことですが、緒論はこのにはありません。それは5年前に出した或る論文でして、彼によれば、この旧い論文には誤りが含まれていることが今日では判っているとのことです。しかし、「すでに一度のべたことがらについては、またぞろ骨折って書くのはいや

    小林昌人・編『廣松渉 哲学小品集』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2017/11/22
    "「哲学書を読みあさった日々」では、「読書量は、しかし、文学部生の標準ぐらいには達していたかと思う。1日平均700頁、つまり、毎月2万頁はほぼ読破していたつもりである」と書いている。" →広松の読書量
  • 五十嵐太郎『日本建築入門』を読む - mmpoloの日記

    五十嵐太郎『日建築入門』(ちくま新書)を読む。副題が「近代と伝統」、全体を10の章に分け、「オリンピック」「万博」「屋根」「メタボリズム」「民衆」「岡太郎」「原爆」「戦争」「皇居・宮殿」「国会議事堂」と、不思議な見出しでくくっている。 「オリンピック」と言っても、丹下健三の代々木国立屋内総合競技場ばかりでなく、戦前の1940年の日でのオリンピック計画から取り上げている。 「万博」では大阪万博の丹下健三の大屋根と岡太郎の太陽の塔が語られるほか、やはり戦前からの世界各地の万博で建てられた日館の建築について紹介されている。1873年のウィーン万博での日館は鳥居、神社、神楽殿、日庭園がつくられた。その後のフィラデルフィアやパリ、セントルイスの万博では寄棟の屋根、法隆寺金堂に則る建物や、金閣という喫茶店、これらは屋根が目立つ日建築だ。ようやく1937年のパリ万博で坂倉準三がモダニズム

    五十嵐太郎『日本建築入門』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2017/11/09
    "オーナーというのはしばしば無教養な人間が多いのだ。早川書房の初代社長を思い出す。ミステリを中心に発行部数を伸ばしていたとき、うちでもそろそろ世界文学全集が出せないかと宣ったという。" →早川ww
  • 鈴木紀之『すごい進化』を読む - mmpoloの日記

    鈴木紀之『すごい進化』(中公新書)を読む。“「一見すると不合理」の謎を解く”というのが副題。著者は昆虫学者なので、昆虫の事例がたくさん紹介される。いずれもとても興味深い。 塚谷裕一が読売新聞に書評を書いている(7月16日)。 性の進化の問題とは、なぜ、多くの生物に性があり有性生殖をするのか、という疑問である。日のヒガンバナがやっているようなクローン繁殖に比べると、有性生殖は無駄が多い。オスとメスの両方が必要だし、両者の繁殖のタイミングや好みも合致する必要があり、まだるっこしい。この疑問についてこれまでは、有性生殖では遺伝子セットが多様化しやすい、といったメリットに焦点を当てての説明が試みられてきた。しかし決定打に欠け、議論はやまない。 それに代わり書で紹介される新仮説は、逆転の発想だ。すなわち、オスというものが偶々進化してしまうと、それによる有性生殖を排除できず、なんと「オスがいる限り

    鈴木紀之『すごい進化』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2017/09/15
    "アカゲザルでは、群れの中に暮らす子のおよそ4分の3はある1頭のボスを父親としています。その一方で、平均すると7割ほどのオスが毎年一度も交尾をできずに過ごしています" →人間の先輩だなあ(こなみ
  • ダンボールの仏像、INAXギャラリーの本堀雄二展 - mmpoloの日記

    京橋のINAXギャラリー2で堀雄二展「−紙の断層 透過する仏−」が開かれている(6月28日まで)。 堀はダンボールを使って仏像を作っている。 堀の言葉、 ダンボールは隙間があるし、断面を見せながら重ねていけば面白いかなぁと。上下に重ねたり、表面に仏像をコピーした用紙を部分的に貼付けたりして、制作していく中で、ハニカム構造のところの隙間を縦にして、歩きながら視線が移動し、正面では透明感が出て角度を変えていくと量感が見えてくる。その変化が一番かなぁと。 この言葉どおりに面白く仕上がっている。透明感と量感の入れ替わりが面白い。軽いらしく宙に吊って展示されている。 堀は1958年神戸市生まれ、1983年に愛知県立芸術大学彫刻専攻大学院を修了している。今まで見たことがなかったのは、関西で活躍していて、東京では初個展だからだ。 堀雄二展 2010年6月1日(火)〜6月28日(月)日曜・祝日休

    ダンボールの仏像、INAXギャラリーの本堀雄二展 - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2017/04/23
    "制作していく中で、ハニカム構造のところの隙間を縦にして、歩きながら視線が移動し、正面では透明感が出て角度を変えていくと量感が見えてくる。その変化が一番かなぁと。" →段ボール仏像のコンセプト
  • 齋藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』を読む - mmpoloの日記

    齋藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』(岩波科学ライブラリー)を読む。裏表紙に簡単な解説がある。 ヒトの子どもは円と円を組み合わせて顔を描く。でもDNAの違いわずか1.2%のチンパンジーにはそれができない。両者の比較からわかってきた面白いことは? キーワードは「想像」と「創造」。旧石器時代の洞窟壁画を出発点に、脳の機能や言語の獲得など、進化と発達の視点から考察する。芸術と科学の行き来を楽しみながら、人とは何かを考えよう。 「ヒト」とカタカナで書いていることから分かるように、書は科学の立場から美術に切り込むものだ。齋藤は京都大学大学院で医学研究を収めたのち、東京藝大大学院で美術を研究した。現在京都大学野生動物研究センター特定助教であり、熊サンクチュアリに勤務している。 齋藤ははじめフランスやスペインの洞窟壁画を見て、そのクロマニョン人の描いた動物の写実的で微妙な陰影や遠近法などの発達した技法

    齋藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2017/03/29
    "デッサンは、手技的な訓練なのだと思われがちだが、むしろ記号的な見方を抑制して、直観的なモノの見方を身につける認知的な訓練でもありそう" →廣松亘のレアールとイデアールの議論を思い出す内容(こなみ
  • 無人島プロダクションで風間サチコ版画展が開かれている - mmpoloの日記

    東京江東区三好の無人島プロダクションで風間サチコ版画展が開かれている(8月23日まで)。今回は夏休み企画ということで小品展だ。風間は1972年東京生まれ、1996年武蔵野美術学園版画研究科を修了している。1998年にギャラリー山口で初個展、その後、ギャラリー手、マキイマサルファインアーツなどで個展を開いているが、最近は無人島プロダクションでの発表が中心になっている。 最近の作家たちがほとんど造形の追求以外興味を持たないような風潮の中で、風間は終始一貫して歴史的・社会的なテーマに強くこだわって作品を制作している。しかもその作品がテーマ偏重の硬直したものではなく、造形的にも優れた内容を示している。現代の美術を造形一辺倒の審美主義に陥らせないために、風間の存在はとても貴重だ。社会批判は美術の大きな分野の一つなのだ。風間がいなければ私たちはそのことを忘れるのではないかと危惧してしまう。 風間サチコ

    無人島プロダクションで風間サチコ版画展が開かれている - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2016/06/11
    "最近の作家たちがほとんど造形の追求以外興味を持たないような風潮の中で、風間は終始一貫して歴史的・社会的なテーマに強くこだわって作品を制作している。" →素晴らし。/どっかの権力者に似た顔の版画も。
  • 高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』を読んで - mmpoloの日記

    高階秀爾『日人にとって美しさとは何か』(筑摩書房)を読む。高階は現存の美術評論家として第一人者の大御所だ。新しい日の作家たちを紹介した3部作『日の現代アートをみる』『ニッポン現代アート』『ニッポン・アートの躍動』(いずれも講談社)はとても良かった。紹介された100人近い作家の選定も高階の確かな眼を感じさせたし、個々の作品を解説する文章が見事だった。さすが大御所と感じ入った。だから書も期待して読んだ。 最初に「言葉とイメージ 日人の美意識」という講演録が収録されている。一昨年の静岡県での講演とあるが、どんな聴衆相手なのか分からない。あまりレベルが高くないのは一般の人を前に話したものだろうか。第2部では日の絵画と西洋の絵画を比較している。日の伝統絵画や、江戸末期から始まった日の洋画について意外に高く評価していて勉強になりおもしろかった。 第3部は「日人の美意識はどこから来るか

    高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』を読んで - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2016/02/07
    "日本美術院は春草ひとりいれば他の人はなくてもいい、そして春草は「落葉」一双あれば充分だというような、はなはだ乱暴な発言をしたことがある" →確か『日本近代美術史論』でも似ていたことを言ってた気が(ry
  • 狩野博幸「若冲」は若冲に関するとても良い入門書だ、加えて佐藤康宏の若冲のニセモノ論 - mmpoloの日記

    狩野博幸「若冲」(角川文庫)は若冲に関するとても良い入門書だ。若冲の伝記はおおむねこれに網羅されていると言っていいだろう。加えて代表的な作品を解説し、若冲の見どころが分かるようになっている。特に「若冲畢生の花鳥画シリーズというより、日絵画の至宝と位置づけるべき『動植綵絵』」について詳しく書かれている。この至宝たる「動植綵絵」は長く相国寺に伝わってきたが、明治の廃仏毀釈で寺が疲弊し、宮内省に献上された。寺はその見返りに1万円の下附金を受けとったという。それを昭和天皇が国に寄贈し、それらはまとめて三の丸尚蔵館に収蔵されている。時に展示されることもあるがひっそりとしたもので、宮内庁は音では観客に三の丸尚蔵館へきてほしくないのではないかと勘ぐってしまう。 しかし若冲というのはつくづく優れた画家だと思う。 さて、若冲に関してちょうど雑誌「UP」にも佐藤康宏のエッセイが2度ほど掲載された。「日

    狩野博幸「若冲」は若冲に関するとても良い入門書だ、加えて佐藤康宏の若冲のニセモノ論 - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2015/11/15
    コメ欄"横尾忠則氏は2009年12月の日記に次のように記し…""…あたかもぼくの写真のように思わせるブログが出廻っていますが、ぼくの写真集の内容とは全く無関係なものですから誤解をしないで下さい" →オチがw
  • 『丸山眞男と田中角栄』で印象に残った言葉 - mmpoloの日記

    以前、佐高信と早野透の対談『丸山眞男と田中角栄』(集英社新書)を紹介したが、なかで特に印象に残った言葉があった。 佐高信  中曽根が国鉄民営化をやる。小泉が郵政民営化をやる。しかしそれは民営ではなく、会社にしたということに過ぎません。そう私は常々言っているんです。国鉄民営化の際に、北海道の町長が「国鉄が赤字というけれども、では、警察が赤字だと言うか。消防が赤字だと言うか」と批判したそうです。警察と消防と国鉄は、同じ公共機関だということを言っている。赤字黒字は、公共のものについては簡単には測れない。僻地に10億かけることが、狭い意味での経済合理性にかなうかということではなくて、そこに民が住んでいるというところから発想しなければ公共の経済、あるいは生活の経済とは言えません。国鉄民営化と郵政民営化は喝采を浴びたけれども、それは都会の人間の発想です。政治は赤字黒字で測ってはいけないものです。 ここ

    『丸山眞男と田中角栄』で印象に残った言葉 - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2015/10/31
    "国鉄民営化の際に、北海道の町長が「国鉄が赤字というけれども、では、警察が赤字だと言うか。消防が赤字だと言うか」と批判したそうです" →「民間ならあり得ない」案件。/田中にはいろいろ思うこともあるが(ry
  • 小熊英二『生きて帰ってきた男』を読む - mmpoloの日記

    小熊英二『生きて帰ってきた男』(岩波新書)を読む。副題が「ある日兵の戦争と戦後」。戦後シベリアに抑留されたある日兵、実は著者の父小熊謙二の歴史を息子英二が聞き書きでつづったもの。これがとても良かった。原武史が朝日新聞に書評を書いている(2015年8月16日)。それを一部引用する。 小熊謙二は1925年に生まれ、戦争末期に召集されて旧満州で終戦を迎えた。戦後はシベリアで抑留生活を送り、帰国してからは結核療養所で過ごし、退所後は高度成長の波に乗ってスポーツ用品店の事業を軌道に乗せた。そして仕事の一線から退くや、同じくシベリアに抑留された中国在住の元日兵とともに戦後補償裁判を起こしている。 書は、こうした父の生涯を息子である著者が長い時間をかけて聞き取ったオーラルヒストリーであり、小熊謙二・英二父子の共著としての性格をもっている。戦中から戦後にかけて、幾度も死の淵に立たされながら、そのた

    小熊英二『生きて帰ってきた男』を読む - mmpoloの日記
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2015/10/31
    "本書の対象人物は、都市下層の商業者である。記録が残りがちな高学歴中産層ではない。そのため、「学徒兵から会社員へ」という、多くの戦争体験記とは異なった軌跡を記述" →(内容) 「父帰る」