事務用のコピー複合機の一部で、セキュリティー対策が不十分な場合にデータがインターネットを通じて見える状態になる問題で、メーカーの富士ゼロックスとコニカミノルタ製の複合機でも同様のケースがあったことが、両社への取材で分かった。 これまで明らかになっていたのはリコーとキヤノンの2社製だった。各社は、ファイアウオール(安全隔壁)やパスワード設定などの対策をとるよう利用者に注意喚起している。シャープと京セラドキュメントソリューションズも、自社製品の該当ケースの有無について調査を進めているとしている。 一方、東京大は、医科学研究所の複合機2台で、個人情報を含むデータが外部から見える状態だったとホームページで公表。研究所の関係者が他大学で指導した際の試験結果115人分などが含まれていた。
シャープが片山幹雄会長や町田勝彦相談役らの退任の検討に入ったのは、奥田隆司社長以外に、複数の歴代経営トップがいまだに経営に関与し、経営再建を遅らせている実態があるからだ。約3千人の人員削減を除けば昨夏以来、構造改革がほとんど進んでいない。業績悪化を招いた過去の経営の責任にけじめをつけ、「誰がトップか分からない」と批判のある経営体制を見直して、構造改革を加速させる構えだ。 片山氏の処遇については、米クアルコムや韓国サムスン電子との資本提携交渉をまとめた実績から、一時は代表権や業務執行権を再び付与する案も検討された。だが、片山氏の社長在任中に決めた液晶パネルの大型投資などの判断が、その後のシャープの経営悪化を招いた点は否めない。 相談役や特別顧問の廃止も、奥田社長をトップにする経営体制を明確にするためだ。これに伴い、町田勝彦相談役や辻晴雄特別顧問の退任も検討される。 シャープの業績は、平成25
カメラで撮影された顔の映像を識別する技術が急速な進歩を遂げている。個人を特定する「顔認証」、不特定多数の性別や年齢を推測する「顔認識」。メリットをもたらす半面、SF映画さながら「知らずに自分の行動が追跡される世界」も一歩手前に迫っている。どういう技術で、どのように使われているのか探った。(福田涼太郎) ▽整形も見破る 人気テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(大阪市)の入園ゲートを訪れた来場客。手にチケットはない。設置されたカメラが顔を撮影すると、1秒とたたずにゲートのロックが解除され、列をなす他の客を尻目にゲートを通過した。 このサービスは顔認証技術を利用したもので、年間パスポートを購入した客に提供される。利便性や一般客への優越感もあり、人気を集めているという。 顔認証は、人の顔の特徴をつかみ、データベースと照合して個人を特定する技術だ。空港の監視カメラやスマートフォンのロッ
インターネット検索大手グーグルの「サジェスト機能」で犯罪への関与を連想させる単語が表示され、名誉が傷つけられたとして、日本人男性が米国のグーグル本社に表示の差し止めなどを求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。小林久起裁判長は名誉毀損を(きそん)認め、表示差し止めと30万円の賠償を命じた。 男性の代理人弁護士によると、国内の訴訟でサジェスト機能による権利侵害が認められるのは初めて。 代理人弁護士によると、男性は数年前から犯罪行為に関与したとする中傷記事がネット上に掲載されるとともに、犯行を連想させる単語が同機能で表示されるようになった。再就職の際に内定を取り消されるなどの被害があったという。 小林裁判長は同機能が「違法な投稿記事のコピーを容易に閲覧しやすい状況を作り出している」と指摘。「機械的に抽出された単語を並べているだけで、責任を負わない」とするグーグル側の主張を退けた。 男性は表
21分には有里さんに電話したがつながらなかった。家族全員の安否を気遣っているのが分かる。 そして午後3時22分、利喜さんに「大丈夫? 私たちは館のおき公園(注・館の沖公園)に避難中」とのメールを発信している。 陸前高田市に津波が到達する2分前。これが最後のメールとなった。 ◇ ■「いつも近くで見ているから」 母の思い心に… 一夜明けた12日、ラジオで市役所屋上に100人が避難していると知り、善郎さんと有里さんは市役所に向かう。がれきが埋め尽くす道路の中、やっとの思いでたどり着いた屋上に晃子さんの姿はなかった。その後も家族で避難所をまわったが、晃子さんは見つからなかった。 「責任感の強い、親思いの一人娘だった。なぜ市役所屋上に逃げなかったのか。いまだに当時の避難経路の検証もなく、あきらめられない」。当時のようすを語る善郎さんの唇はふるえていた。利喜さんも怒
兵庫県高砂市の山陽電鉄脱線事故で、山陽電鉄は13日、現場の踏切で車が衝突するなどして遮断棒が折損する事故が過去3年で6件発生していたことを明らかにした。周辺住民からは事故の危険性を指摘する声も上がっていたが、同社は「今回の現場が特に多い訳ではない」と強調している。 同社によると、現場の踏切での遮断棒の折損事故は、平成22年度1件、23年度2件、今年度は今回を除いて3件発生。いずれも今回と同じ北側の遮断棒が折れたという。踏切は全線に177カ所あり、23年度は計49件の折損事故があったといい、「これまで現場が危険だという認識はなかった」と説明している。 一方、現場では未明から脱線車両の撤去作業や県警の実況見分などが行われた。運輸安全委員会の鉄道事故調査官は13日、現場で取材に応じ「踏切付近から脱線の痕跡を確認した。警報機などの作動データは今後、確認する」と述べた。
ルネサス再生、システムLSI 再編の焦点 再編の序章か、復活への一里塚か。2013年の半導体業界は国内メーカーの生き残りを懸けた合従連衡とさらなる「選択と集中」が必至の状況で、日本のものづくりの将来にも重要な一年になりそうだ。(フジサンケイビジネスアイ) ◆赤字体質の元凶 「半導体産業全体の構造改革も大きなテーマだった」。昨年末に、経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスへの出資を決めた官民ファンド、産業革新機構の能見公一社長がこう話すように、今年はルネサス再生の動きを軸に半導体市場の勢力図が変わりそうだ。 焦点は、デジタル家電やゲーム機などに搭載されるシステムLSI(大規模集積回路)だ。革新機構が描くルネサス再建の戦略は、自動車向けを中心に世界市場で4割のシェアを持つマイコンの専業メーカーに生まれ変わらせること。赤字体質の元凶でもあるシステムLSI事業は分離し、富士通、パナソニック
【ラスベガス(米ネバダ州)=板東和正】シャープの高橋興三副社長は7日(現地時間)、米ラスベガスで産経新聞などの取材に応じ、米半導体大手インテルとの資本提携交渉について「現時点では(提携合意は)ないという方が正しいと思う」と述べ、交渉が難航しているとの認識を示した。 シャープは昨年12月、米通信技術大手クアルコムから約100億円の出資を受け入れることで合意した。 高橋副社長は「資本が弱っているのは事実。さまざまな手を考え、実際に行動を起こしながらやっている」と指摘した。インテルや台湾・鴻海精密工業との交渉を含め、複数の資本増強策を検討しているとした。 また、別のシャープ関係者は「(インテルとの)交渉自体は続いている」と話し、決裂には至っていないと説明した。
「悲惨な過労死を少しでも減らしたい」「ブラック企業と評価される」-。社員が過労死した企業名の開示をめぐり、大阪地・高裁で判断が分かれた。「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(63)が、社員が過労死の認定を受けた企業名を大阪労働局が開示しなかったのは違法として、国に対して不開示決定の取り消しを求めた訴訟。1審大阪地裁は企業名の開示を命じたが、2審大阪高裁は原告側の請求を棄却する逆転敗訴の判決を出した。寺西さんは「企業名が開示されるようになれば過労死に歯止めがかかる」と訴えており、最高裁に上告。最後まで戦い抜く決意を固めている。黒塗りの企業名 「真面目に働く人が過労死で亡くなっていく。命がいくつあっても使い捨てにされるばかりだ」 昨年11月29日、高裁判決を受けて大阪市内で記者会見した寺西さんは、悔しさをあらわにした。 寺西さんは、平成21年3月、脳や心臓の疾患などによる過労死があ
パナソニックが半導体大手のルネサスエレクトロニクス、富士通と協議している「システムLSI(大規模集積回路)」部門の事業統合交渉が、平成25年度中の新会社設立で一致したことが3日、わかった。LSIは、デジタル家電などに使われる高付加価値な半導体だが、米インテルなどの海外大手にシェアを奪われてきた。3社の力を結集し、激化する国際競争での生き残りを目指す。 システムLSIは、演算処理やデータ保存など複数の機能を1つのチップにまとめた半導体で、デジタル家電や携帯電話など幅広い機器に搭載されている。しかし、3社の事業は、米インテルや韓国サムスン電子などに押され、収益面で苦戦を強いられてきた。 パナソニックは昨年10月、電子部品を製造する社内分社、パナソニックデバイス社の一部門だったシステムLSI部門を、本社直轄の独立部門として設置。デジタル家電を製造・販売する社内分社のAVCネットワークス社との連携
神戸市中央区の理化学研究所の計算科学研究機構で昨年9月、スーパーコンピューター「京(けい)」が本格運用を始めた。世界で初めて毎秒1京(京は1兆の1万倍)回超の計算速度を達成し、スパコン性能で世界1位に輝いた頭脳だが、その後は順位を下げて昨年11月には3位に転落した。だが、開発に携わった研究者は「もともと多くの分野の実用性を念頭に作られた」としており、科学や産業の発展に本領を発揮するのはこれからだ。 1秒間に1京510兆回の計算速度-。たとえるなら、地球上の人類約70億人が毎秒1回、17日かけて行う計算を1秒でやってのける能力を誇る京は、理研と富士通が約1100億円かけて開発した。平成23年6月のスパコン世界ランキングでは、日本勢として7年ぶりにトップに立った。現在も同時並行で複数課題を処理する速度などのランキングでは4部門中3部門で首位をキープしている。 完成までには紆余(うよ)曲折もあっ
遠隔操作ウイルス事件で、真犯人とみられる人物から産経新聞など報道機関などに「新しいゲームのご案内ですよ」などと書かれたメールが送られていたことが1日、分かった。 メールは1日午前0時15分ごろに、これまで犯行声明メールなどを送っていた落合洋司弁護士や、産経新聞など報道機関約20カ所に送られていた。 メールには「10月から仕込んでおいたのをようやくお披露目です。添付のパズルを解くと、先着1名様限定で私からの長文のメッセージが自動的に入手できる仕掛けになっています」などと記載。パズルの問題は5問で解くごとに次の問題のファイルが出題する仕掛けだと説明したうえで、「マスメディアの方は独占スクープのチャンスです。早い者勝ちですよ」と書かれていた。
iPS細胞(人工多能性幹細胞)の開発を世界が称賛し、謎の素粒子「ヒッグス粒子」が姿を現した2012年。基礎科学の分野で日本人の活躍が目立った半面、国内で地震災害への警鐘が相次いだ。今年の科学・災害を振り返る。◇山中教授にノーベル賞 山中伸弥京都大教授(50)がノーベル医学・生理学賞に輝いた。あらゆる組織や臓器の細胞を作れるiPS細胞を開発し、夢の再生医療に道を開いた功績が評価され、開発から6年でのスピード受賞。「患者を救うこと」を唯一の目標に掲げて研究に打ち込む真摯(しんし)な姿勢と、さわやかな笑顔で国民を魅了した。iPS細胞、臨床研究へ iPS細胞を使って網膜の細胞を作り、「加齢黄斑変性」という目の病気の治療を目指す理化学研究所の臨床研究について11月、理研の倫理委員会が承認。国などの審査を経て来年度中に、iPS細胞の世界初の臨床応用が実現する見通しとなった。ヒッグス粒子の発見目前 すべ
筑波大計算科学研究センターのグループは9日、スーパーコンピューター「京」を利用し、銀河形成に関わるとされる暗黒物質(ダークマター)粒子約2兆個が、初期の宇宙空間でどう動くかを見るシミュレーションに成功したと発表した。2兆個もの粒子を使ったシミュレーションは世界初という。 グループの石山智明研究員によると、京の計算能力の約98%を使って実現。暗黒物質は宇宙を満たし銀河を生み出したとされるが、正体は明らかになっていない。シミュレーションでは、約2兆個の粒子が相互に働く重力によって集まり、構造物ができる過程を示した。重力による構造物の成長を見ることで暗黒物質の性質や宇宙誕生の解明につながるという。 研究成果は米国のゴードン・ベル賞の最終選考に残っており、結果は11月中旬に発表される。
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