本書は米グーグルが開発した技術「Google Wave」の解説書だ。この本、ちょっとした「話題」となった。それも、その内容ではなく、あまりありがたくない理由による。実は発行日である8月23日の直前、8月4日にグーグルがGoogle Waveの開発中止を発表したのだ。 Google Waveの試み自体は意欲的だ。新しい形のリアルタイムのコミュニケーションを実現するため、新規のプロトコル仕様を作り出した。結果的には成功とは言いにくいが、まったく新しいプロトコルが本格的な実装を伴って誕生するのを目の当たりにする機会はめったにない。通信やプロトコルのアーキテクチャーに興味を持つ技術者なら、読んでおいても損はない。 ただ、謝辞によると、1年かけて約400ページに仕上げたが、当初は180ページ程度の分量にして3カ月で書く予定だったという。そうしていれば本書の評価も変わっていただろう。