ブックマーク / realsound.jp (62)

  • 小野寺系の『メアリと魔女の花』評:“ジブリの精神”は本当に受け継がれたのか?

    近年、新作を作る度の風物詩となっていた、宮崎駿監督の「長編引退宣言」。『風立ちぬ』完成時にも、人が「またかと思われるかもしれませんが、今回はマジです」と言いながら、その後また撤回されたわけだが、スタジオジブリの製作部門は、復帰宣言の前に当に解体されてしまった。 『魔女の宅急便』で動員数200万人を突破してから、安定的に大ヒット作品を連発、「ジブリブランド」を確立し、国内の劇場アニメのシェアを握ることになっていった、スタジオジブリと宮崎駿。スタジオ解体という状況のなかで、日の多くのアニメーションスタジオは、その王国に成り代わることを望み、アニメーション監督は、「ポスト宮崎」という玉座をねらう事態が起きている。 そこで注目されていたのが、スタジオポノックである。『思い出のマーニー』でコンビを組んだ西村義明プロデューサーと米林宏昌監督、従業員の8割がジブリの作品づくりに関わってきた人たちが

    小野寺系の『メアリと魔女の花』評:“ジブリの精神”は本当に受け継がれたのか?
  • 速水健朗の『カーズ/クロスロード』評:「グローリー・デイズ」が照らす、80年代アメリカの栄光と転落

    ハイスクール時代の野球のエース、そして町中の少年たちの憧れの的だった金髪の女の子。昔は特別だった連中も、今は酒を飲むと過去の栄光についての話ばっかり。ああ、栄光の日々。というのは1984年のブルース・スプリングスティーンのアルバム『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』 に収録されている彼の代表的な1曲でもある「グローリー・デイズ」の歌詞である。 アメリカがダメになった。それを80年代の時点でもっとも声高に言っていたのがスプリングスティーンだった。同時に思い浮かぶのは「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」という言葉である。このキャッチフレーズの要点は、アメリカはもうダメになってしまったという部分だ。アメリカをもう一度、偉大な国にしようというのだからもちろん、ダメになってしまったことが前提なのだ。 『カーズ/クロスロード』の主人公、ライトニング・マックィーンは、連戦連勝のレーサーである。だが新世

    速水健朗の『カーズ/クロスロード』評:「グローリー・デイズ」が照らす、80年代アメリカの栄光と転落
  • 『シン・ゴジラ』は“コントロールルーム映画”だった? 速水健朗が庵野監督の意図を読み解く

    皆『シン・ゴジラ』について語りすぎである。こちらが語ることがなくなるのでやめて欲しい。危機管理にまつわる行政組織論、右から左からの日人論、震災、原発事故との関連した議論などはもちろん、鉄道に関する知識、上陸経路に関する考察、建築物からの視点などおもしろい議論がネットからいち早く出そろった感があり、うかうか後出しじゃんけんなんてできやしない。とはいえ、それでもまだ語り尽されてないのが『シン・ゴジラ』なのである。ここでは、僕が好きな作の細部の話をしよう。論は、“中央制御室映画”としての『シン・ゴジラ』である。 告白するとセンターコントロールルームが出てくる映画が好きだ。中央制御室、またはオペレーションルーム。呼び方は、何でもいいが、情報を一元化して集積し分析官、オペレーターたちが見守る空間が登場する映画というジャンル分けが可能である。ちなみにコントロールルーム映画の代表に『アポロ13』が

    『シン・ゴジラ』は“コントロールルーム映画”だった? 速水健朗が庵野監督の意図を読み解く
  • 映画は東京をどのように描いてきたか? 速水健朗が語る、東京と映画の不幸な関係

    ライター、ラジオのパーソナリティー、テレビのコメンテーターなど多くの分野で活躍、リアルサウンド映画部サイトオープン時からの寄稿者の一人でもある速水健朗氏が、この春に2冊のを上梓した。一つは単行『東京β: 更新され続ける都市の物語』(筑摩書房)。映画テレビドラマや小説やマンガといったフィクション作品において、これまで東京がどのように描かれてきたかを検証しながら、スリリングかつ、時にアクロバティックな視点で都市論を展開していく一冊だ。もう一つは、新書『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』(朝日新書)。『東京β』が自由自在に過去と現在を行き来する「東京論」だとすると、こちらは東京の現在に焦点を絞ったその「実践編」と言うべき趣を持った一冊。いずれもいわゆる「映画」ではないが(特に『東京そこに住む?』にはその要素はまったくない)、東京に新たな視点を投げかけている点において、映画好きやドラマ

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  • Zeebraが明かす『フリースタイルダンジョン』ヒットの理由 「はっきり言って“無理ゲー”のつもりだった」

    ラッパーのZeebraがオーガナイザーを務めるMCバトル番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)が、大きな盛り上がりを見せている。2015年9月に始まった同番組は、MCバトルRPGゲームの要素を取り入れているのが特徴で、チャレンジャーが“モンスター”と呼ばれるプロラッパーに挑むスリリングさが評判を呼び、Rec2で早くもラスボス・般若が登場した際はネットを中心に爆発的な話題となった。従来のヒップホップファン以外からも支持され、いまも進化し続けている同番組は、どんなビジョンのもとに運営されているのか。Zeebra人に話を聞いた。 「般若の登場回で、番組の持つドラマ性が一気に加速した」 ――『フリースタイルダンジョン』は、これまでヒップホップを聴かなかった層にも拡がりを見せている番組だと感じています。この番組が始まった経緯について、改めて教えてください。 Zeebra:もともとのブーム

    Zeebraが明かす『フリースタイルダンジョン』ヒットの理由 「はっきり言って“無理ゲー”のつもりだった」
  • 花澤香菜の歌唱力は“驚き”に値する 栗原裕一郎の「かなめぐり」最終公演レポート

    2月28日、神奈川県横須賀市文化会館にて、花澤香菜のライヴサーキット「かなめぐり〜歌って、読んで、旅をして〜」の最終公演が開催された。昨年11月の奈良を皮切りに、入間、盛岡、松山、新潟、岡山、那覇、桑名と全国9カ所を回ってきたサーキットの千秋楽である。 このツアーは、アコースティックサウンドに乗せ花澤の歌声を届けることを目的とした、通常のライヴとは趣きを異にするもので、特に「かなめぐり」と題されているのはそのためだ。サウンドプロデューサー北川勝利のアコースティックギターに、初期から花澤をサポートしてきたシンガーソングライター末永華子によるピアノ、そして花澤の歌というごく小規模の編成である。 舞台装置もシンプルで、色を変える小振りなスタンドライトが4、出演者の背後に立っているほかは、映像による演出が控えめに映し出される程度。ステージ上手にギター、下手にピアノ、中央には白いクロスを掛けた小さ

    花澤香菜の歌唱力は“驚き”に値する 栗原裕一郎の「かなめぐり」最終公演レポート
  • あえて映像とは異なる音楽を流すことも? 『新世紀エヴァンゲリオン』などの「劇伴」手法を解説

    映画テレビドラマ、アニメーション、アニメーション映画などの「劇が存在する映像作品」で流れる背景音楽、いわゆる「劇伴」には、様々な役割がある。 前回はそのなかでも“繰り返し”の多さについて言及したが(参考:【映画やドラマで流れる「劇伴」はなぜ“繰り返し”が多い?『タイタニック』などのヒット作から解説】)、今回は“映像作品の視聴者に感情移入をさせる役割”という基的なことについて深堀りしたい。 “映像作品の視聴者に感情移入をさせる役割”とは、恋愛映画を見た女性が、少し浮足立った気分で出てきたり、家族についての映画を見た人が目を潤ませたり、任侠映画を見た男性が、肩で風を切ってでてくるなど、行動になって現れるくらいの感情移入を補佐することにある。 感情移入を狙った劇伴としては、「悲しい」「楽しい」などの日常のシーンで比較的起こりやすい感情を劇伴で表現する場合や、「驚愕」「恐怖」などのある種特別な

    あえて映像とは異なる音楽を流すことも? 『新世紀エヴァンゲリオン』などの「劇伴」手法を解説
  • 『ジュラシック・ワールド』がシリーズ最高傑作である理由 速水健朗が見どころを解説

    全編に溢れる『ジュラシック・パーク』第1作への心憎いリスペクト いや、まじでスピルバーグ以外の監督によるスピルバーグ作品続編(実はあんまりないけど!)の最高傑作じゃないだろうかこれは。 1993年公開の『ジュラシック・パーク』は、スピルバーグマニアが気に入る作品ではないかもしれないが、スピルバーグ的映画であることは間違いない。未知の生物との遭遇と主人公の片親の不在問題を平行して描く手法という王道。さらには、金髪ヒロインの魅力のなさ加減など、どれをとってもスピルバーグを構成する主要成分でできているのである。 最初の作品から22年、前作からも10年以上の月日が空いた4作目である作に抜擢されたのは、まだ日語版Wikipediaの項目にすら登録されていない新人監督のコリン・トレボロウ。スピルバーグがてがけてきたシリーズというプレッシャーは大きかっただろうが、彼はシリーズ最高傑作として見事この『

    『ジュラシック・ワールド』がシリーズ最高傑作である理由 速水健朗が見どころを解説
  • アイドルとファンが抱える“心の闇”の正体とはーー地下アイドル・姫乃たまが考える

    先日、とあるアイドルグループのメンバーが、公演中にリストカットして事務所から即日解雇されました。普通っぽい女の子への人気が高まるアイドルブームの中で、物の普通の女の子が持つ闇の部分に注目が集まっています。 「地下アイドルなのに、腕に傷がないんだね」と、笑われたことがあります。その場にいたカメラマンやミュージシャン達も共感するように笑い、しかし何人かは当に驚いたような感心したような表情で、ロリータ服から伸びる私の腕を覗き込んでいました。 それからしばらくは、地下アイドルの腕が目にとまるようになり、故意に引かれたらしい切り傷を見つけるたび、少しだけ息を呑みました。中でもロリータ服のように、布が多用された衣装で傷跡を隠す子は多く、あの日、自分が驚かれたり、感心されたりした理由を知ったのです。 その頃の私は高校生で、同級生たちの口癖は「病む」でした。試験や、進路や、部活のことで「病み」、恋人と

    アイドルとファンが抱える“心の闇”の正体とはーー地下アイドル・姫乃たまが考える
  • 花澤香菜×北川勝利が明かす、“極上のポップソング”の作り方「人生と音楽がより密接になってきた」

    声優としての華々しい活躍に加え、シンガーとしても高い評価を集めてきた花澤香菜が、3枚目となるアルバム『Blue Avenue』をリリースする。 渋谷系のキラキラした曲調が注目を集めたデビュー作『claire』、等身大の花澤香菜に近づいた『25』に続く新作は、洗練された上質なポップソングが詰まった一枚。サウンドプロデュースは、デビュー時より彼女の音楽活動を支えてきた北川勝利(ROUND TABLE)。楽曲提供には、ミトや西寺郷太、矢野博康などの作家陣に加えスウィング・アウト・シスターも参加。スティーブ・ジョーダンやウィル・リーなど世界的なスタジオ・ミュージシャンも起用し、サウンド面でも一流の仕上がりとなっている。 今作のテーマは「ニューヨーク」だという。ビリー・ジョエルやスティーリー・ダンやスティングなど70年代から80年代の都会的な洋楽、ジャズ、フュージョン、クロスオーバー、AORに通じる

    花澤香菜×北川勝利が明かす、“極上のポップソング”の作り方「人生と音楽がより密接になってきた」
  • ビルボードジャパンが「複合チャート」を作る意味とは? 担当ディレクターに狙いを聞く

    ビルボードジャパンでは現在、CDセールスだけでなく、CDのPCへの読み取り回数(=ルックアップ)、デジタルダウンロード、ラジオでのオンエア数(=エアプレイ)、ツイート数といった複数の指標を用いた複合ヒットチャート「Billboard Japan Hot 100」を発表している。音楽の視聴スタイルが多様化する中で、同チャートはどんな方法論に基づき、ユーザーにいかなる視座を与えようとするのか。ビルボードジャパンのチャート・ディレクターを務める阪神コンテンツリンクの礒崎誠二氏に、その狙いや設計思想について話を聞いた。聞き手はリアルサウンドでもチャート分析記事を多数手がけるさやわか氏。 「アメリカのチャートは、僕らの感覚では10年ぐらい進んでいる」 ――ビルボードジャパンのチャートは、近年になってから作られるようになったものですね。どういう経緯があったのでしょうか? 礒崎:弊社(阪神コンテンツリン

    ビルボードジャパンが「複合チャート」を作る意味とは? 担当ディレクターに狙いを聞く
  • さやわかが語る、2015年の音楽文化と全体性「強度を一番先に取り戻したのはポピュラー音楽」

    リアルサウンドでも執筆中のライター・物語評論家のさやわか氏が、2015年1月22日に新書『僕たちとアイドルの時代』(星海社新書)を発表した。同書は、さやわか氏が2013年6月3日に世に送り出し、大きな反響を呼んだ『AKB商法とは何だったのか』(大洋図書)に、ここ1年半余りの音楽シーンの情勢を踏まえて大幅に加筆・修正をしたもの。総選挙や握手会といったさまざまなシステムを作り出し、音楽チャートで注目を集める一方、激しい批判にもあってきた“AKB商法”にスポットを当て、その批判の妥当性を検証するとともに、これまであまり語られてこなかったその功績を浮き彫りにしたのが前書だった。今回の書籍では、刊行の後に起こった「恋するフォーチュンクッキー」のムーブメントや、世間を大きく騒がせた“AKB襲撃事件”にも言及、あらためてその理論の有用性を主張している。リアルサウンドでは今回、さやわか氏人に登場してもら

    さやわかが語る、2015年の音楽文化と全体性「強度を一番先に取り戻したのはポピュラー音楽」
  • スチャダラパーが語る“味”ありきのヒップホップ論「カッコよくするだけだったら誰でもできる」

    2015年にデビュー25周年を迎えるスチャダラパーのニューアルバム『1212』が、スチャダラパーとSPACE SHOWER MUSICによる新レーベル「ZENRYO RECORDS」から1月28日にリリースされる。同作は、2009年リリースの『11』以来、約6年ぶりとなるオリジナルアルバム。新曲群に加え、チャットモンチーとのユニット“スチャットモンチー”による「M4EVER」や、清水ミチコとの共作曲「Off The Wall」、ロボ宙とかせきさいだぁを迎えた「ワープトンネル」など、インディーズ活動の中で自主制作盤として発売した楽曲からピックアップしたものが収録されている。今回リアルサウンドでは、スチャダラパーにインタビューを実施。聞き手には、10年ぶりのスチャダラパー取材という音楽評論家の小野島大氏を迎え、インディーズ活動を通して味わった体験やスチャ流ヒップホップのあり方、今後の展開などを

    スチャダラパーが語る“味”ありきのヒップホップ論「カッコよくするだけだったら誰でもできる」
  • 亀田誠治にアイドルプロデュース待望論? 万能型音楽クリエイターの遍歴を辿る

    亀田誠治は東京事変のベーシストとしても知られているが、もちろん元々は音楽プロデューサーとして数々の優れた仕事を行っていた人物である。そもそも彼が東京事変に参加することになったのも、バンド結成前から椎名林檎の初期作品でアレンジャーを務めていたという経緯によるものだ。付け加えておくと椎名林檎の楽曲は1998年のファーストシングル『幸福論』から2000年の『罪と罰』まではすべて亀田がアレンジを担当しており、同じく全曲アレンジを担当した『無罪モラトリアム』『勝訴ストリップ』という2枚のアルバムはどちらもミリオンセラーになっている。その後、椎名林檎は3枚のアルバムを出しているがこれだけの売り上げを稼いではいない。もっとも、彼女は最近「CDはもうダメ」と語っており、たしかに今年出たアルバムは初週販売枚数4.2万枚という結果になったので、売り上げ不振はプロデュース陣がどうこうという問題ではないのかもしれ

    亀田誠治にアイドルプロデュース待望論? 万能型音楽クリエイターの遍歴を辿る
  • ヒップホップとヤンキーはどう交差してきたか? 映画『TOKYO TRIBE』と不良文化史

    クラブと風営法の問題をテーマにした書籍『踊ってはいけない国』シリーズなどの著者としても知られる磯部涼氏と、細野晴臣が世界各地で出会った音楽について綴った『HOSONO百景』の編者である中矢俊一郎氏が、音楽シーンの“今”について独自の切り口で語らう新連載「時事オト通信」。第2回目のテーマは“日の不良映画”について。今夏に公開されて話題を呼んだ『TOKYO TRIBE』と『ホットロード』の2作品と、それにまつわる音楽から、80年代半ば~現在までの不良文化について計3回にわたって語り尽くす。前編では『TOKYO TRIBE』を軸に、90年代のヒップホップ文化やチーマー文化について掘り下げた。(編集部) 中矢:最近、『TOKYO TRIBE』と『ホットロード』という不良映画が話題になっていますよね。今回は、その2作にまつわる文化音楽について話していければと思います。まず、前者は、93年に始まっ

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  • Sexy Zoneがミスチルを抜いたCDシングルランキングをどう考える? さやわかが歴史的視点から提言

    Sexy Zoneがミスチルを抜いたCDシングルランキングをどう考える? さやわかが歴史的視点から提言 Sexy Zoneの新シングル『君にHITOMEBORE』(11月19日発売)が初週で約33.6万枚を売り上げ、同日に発売されたMr.Childrenの新シングル『足音~Be Strong』の売り上げ11.4万枚を上回り、12月1日付けのオリコン週間CDシングルランキング1位に初登場したことが、一部で波紋を呼んだ。(参考:2014年12月01日付オリコン週間CDシングルランキング) Sexy Zoneが初回限定盤4種に加え、通常盤と限定流通商品の〈Sexy Zone Shop盤〉など、セット販売を含めて計33形態で販売する、いわゆる“複数販売形式”を展開したことに対し、Mr.ChildrenはCD1種類のみという対照的な販売方法だったため、そのランキングに疑問を抱く声が多く挙った形だ。ネ

    Sexy Zoneがミスチルを抜いたCDシングルランキングをどう考える? さやわかが歴史的視点から提言
  • アイドルの禁忌を正面突破した清竜人25 擬似恋愛もガチ恋も超えた「夫婦の営み」とは?

    「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第6回 清竜人25『ハーレムフェスタ2014 vol.2』 2014.11.13 11:00 清竜人が「夫」であり、6人の女性メンバー全員が清竜人の「」として清姓を名乗るという、一夫多制スタイルで登場したアイドルグループ、清竜人25。2014年11月11日に渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された『清竜人ハーレムフェスタ2014 vol.2』での清竜人25のライヴは、「アイドル」と「アイドルを見る側」の一般的な関係性を豪快に破壊するかのような痛快なステージだった。 この日は、pixivによる「つくドル!プロジェクト」から誕生した虹のコンキスタドールがオープニングアクトを務め、私が会場に着くと乙女新党とCheeky Paradeが続けてステージに立った。編のこの2組とも、いわば王道的なアイドルグループである。 驚

    アイドルの禁忌を正面突破した清竜人25 擬似恋愛もガチ恋も超えた「夫婦の営み」とは?
  • 軍歌は国をあげてのエンタメだった!? 新たな史観を提示する新書『日本の軍歌』を読む

    大阪の私立幼稚園が、園児に教育勅語や五箇条の御誓文を暗唱させ、君が代や軍歌を合唱させるといった極めて保守的な愛国教育を施していることが話題になっている。個人的には右も左も極度に偏向したイデオロギーにはゲンナリなのだが、それはひとまず措き、どんな軍歌が選ばれているのか見てみよう。 YouTubeにアップロードされている動画では、「同期の桜」「日の丸行進曲」「愛国行進曲」などが歌われていた。その他行進には「ラデツキー行進曲」が使われていた。また、ジャニーズの忍者が1993年にリリースした「日」(秋元康作詞、三木たかし作曲)も歌われていた。春夏秋冬、季節のごとの自然や風物を賛美して「ああ日、ああ日、この国に生まれてよかった」と歌うたわいない曲だ。 官民がしのぎを削った軍歌ビジネス 「同期の桜」は実は替え歌である。そもそもは1938(昭和13)年に『少女倶楽部』(講談社)に発表された「二輪の

    軍歌は国をあげてのエンタメだった!? 新たな史観を提示する新書『日本の軍歌』を読む
  • 音楽における「サブカル」とは? 円堂都司昭が戦後カルチャー史から紐解く

    近年、“サブカルチャー”あるいは“サブカル”という言葉を巡って様々な議論が交わされている。NHK・Eテレが『ニッポン戦後サブカルチャー史』を放映するなど、メディアで特集が組まれる機会も増えている。しかしながら、その言葉の定義はジャンルや論者によって大きく異なり、共通の理解が成立しているとは言いにくい状況ではないだろうか。そこで今回は文芸・音楽評論家の円堂都司昭氏に、“サブカルチャー”と“サブカル”の意味内容の変遷を歴史的に振り返ってもらいつつ、特に音楽における用法の現状について聞いた。 ――そもそも“サブカルチャー”あるいは“サブカル”とは、どのような背景で出てきた言葉なのでしょうか。 「1960年代には先進諸国で学生運動が盛んになり、ベトナム戦争に対する反戦運動もあって、この時期にフォークやロックが若年層に広く聴かれるようになりました。この時代の反体制的で反抗的な、社会に対して異議申し立

    音楽における「サブカル」とは? 円堂都司昭が戦後カルチャー史から紐解く
  • 初音ミクは確かにそこに実在した 大観衆を魅了した『マジカルミライ 2014』レポ

    (C) Crypton Future Media, INC. www.piapro.net / (C) SEGA / Graphics by SEGA / MARZA ANIMATION PLANET INC. / Organized by TOKYO MX / Crypton Future Media, INC. 「初音ミク」を取り巻く創作文化の“今”を発信するイベント『初音ミク「マジカルミライ 2014」』が8月30日にインテックス大阪、9月20日に東京・東京体育館で行われた。 同イベントの特徴は、コンサートにとどまらず、展示エリアやグッズ販売も大きく展開されていること。メインとなる大阪会場では、来場者が自由にイラストやメッセージを描き込める『piaproの壁』の設置や、等身大の初音ミクフィギュアの展示、これまでに制作されたグッズの展示などが行われた。さらに、コラボレーション企業のブー

    初音ミクは確かにそこに実在した 大観衆を魅了した『マジカルミライ 2014』レポ