契約書にも民法にも書かれていませんが、「義務」なので履行してください:「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(106)(1/3 ページ) 担当者の急逝によって所在が分からなくなったソースコードを引き渡せとせまられたベンダー。契約書に記載されていない納品物を渡す義務は果たしてあるのだろうか――。 連載目次 契約に存在する「見えない義務」 仕事の契約には契約書が存在する。契約書に記載された条項を守らなければ、契約を解除されたり受け取るべき費用を減額されたりすることがあり得る。では契約書の内容を順守してさえいればいいのかというと、そういうわけでもないのがソフトウェア開発だ。 例えば、納入したソフトウェアに不具合が見つかれば修補しなければならないという「契約不適合責任」などは、契約書に規定していなくとも受注者が負うべき責任として民法の条文に書かれている。契約書というものは本来、受注者と発注