遠野市には全国から支援物資が集まり、沿岸部への物資供給でも重要な拠点となった=4月、同市の稲荷下屋内運動場 民話の里・遠野市が東日本大震災以降、後方支援の一大拠点として機能している。被害の大きい岩手県南の沿岸6市町が半径約50キロ圏内にある地理的条件に加え、震災前から後方支援の構想を掲げ、提言や防災訓練を行ってきた。津波常襲地帯である沿岸部の背後地としての自覚と備えが、「後方支援のモデルケース」と評される取り組みを可能にした。(久道真一) ◎背後地、自覚と備え奏功 <運動公園開放> 3月11日の震災発生からわずか14分後の午後3時。市は遠野運動公園の開放を決めると、照明設備や発電機の設置など自衛隊を受け入れるための準備を進めた。 翌12日、北東北3県や北海道などから陸上自衛隊の部隊が集結。警察や消防隊も全国から集まり、市を活動拠点にした要員は3月20日時点で約3500人に上った。陸上自