ページを繰らなくても、ボタン一つで言葉の意味を教えてくれる電子辞書。便利さや携帯性が受け、売り上げは既に紙の辞書の3倍に達するが、搭載辞書の偏りなどの問題点も指摘されている。(佐藤憲一) 家電量販店に賑(にぎ)やかに並ぶ電子辞書。多いものは外国語から百科事典まで紙の辞書の内容を100冊分も搭載し、最近は音声が出る機種が人気だ。 だが詳しく見ると、使用頻度の多い国語や英和辞典では特定ブランドへの集中が目立つ。主要4メーカー79機種のカタログを調べたところ、国語辞典は『広辞苑』(岩波書店)が55、英和辞典では『ジーニアス英和辞典』(大修館書店)関連3種が70と圧倒的。紙の辞書がそれぞれ10以上の出版社から出ているのに比べ、選択肢も限られる。 多様性薄れ、改訂困難に? ある辞書出版社は、「新しい紙の辞書を作っても、電子辞書メーカーはトップブランドだけで十分と搭載したがらない。いくつもの紙の辞書出