環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)への関心が年々高まっている。しかしそこでは重要な観点が抜け落ちている。うんこのことだ。「トイレを普及させて、野外排泄をゼロに」という話――ではない。ではなぜうんこが重要なのか? キノコやコケなど菌類・隠花植物専門の写真家兼自然保護運動家として長年活動し、1974年から今日までノグソを続ける“糞土師(ふんどし)”伊沢正名氏と、『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか 人糞地理学ことはじめ』(ちくま新書)を刊行した法政大学人間環境学部教授・湯澤規子氏が語り合った。 なぜ気候変動や循環社会を考える上でうんこが重要なのか? 自然に還元可能な“正しいノグソ”の方法とは? いま、うんこが無視できない理由 伊沢 私は1970年から自然保護運動を茨城で始めたんですけれども、1973年暮れ近くに屎尿処理場建設に反対する住民運動をニュースで知りました。 だけどうんこをする