ノーベル経済学賞の受賞者で、狭い意味での経済分野にとどまらず政治哲学などの分野でも積極的な発言を行っているアマルティア・センの政治哲学分野における代表作。 とにかくセンの凄さを感じさせるのが冒頭の謝辞。ジョン・ロールズやケネス・アローからはじまり、ピエロ・スラッファ(ウィトゲンシュタインの後期への転換のきっかけをつくったとされる経済学者)、さらにバーナード・ウィリアムズ、クワイン、ノージック、サンデル、ドウォーキン、デレク・パーフィット、イアン・ハッキング、トマス・ネーゲルといった哲学者に、アンソニー・アトキンソン、ジョージ・アカロフ、アルバート・ハーシュマン、スティグリッツといった経済学者、加えてキャス・サンスティーンの名前まで。ほとんど「20世紀の英米圏学者名鑑」のような趣になっています。 そして、もちろんこれは人脈を自慢するものではなく、著者の思考や知識と本書の扱う内容の広さを反映し