ブックマーク / www.chikumashobo.co.jp (13)

  • 柄谷行人の上方気質/小林敏明|筑摩書房 PR誌ちくま

    私がはじめて柄谷行人に出会ったのは一九八九年の暮れごろだった。昭和天皇が逝き、天安門事件があり、そしてベルリンの壁が崩れたその年、しばらく休刊していた雑誌『情況』を再刊する動きがあり、私は恩師廣松渉氏の強い要請で、雑誌立ち上げ数号分の企画を手伝うことになった。 雑誌の開放化をめざした私がどうしても駆り出したかったひとりが柄谷行人氏である。さっそく彼とは旧知の間柄にあった当時の編集長古賀暹氏を介してインタヴューを申し込み、聞き手を私が務めることになった。場所は雑誌事務所があった東中野の場違いともいうべきけばけばしい結婚式場の別室を借りておこなわれた。厳しい予算のなか、これは「破格」の待遇だったことになる。だが、正直いって、そのとき私が違和感を覚えたのは、その場違いな結婚式場以上に、柄谷氏人であった。 インタヴューの間、ネームヴァリューとは裏腹にシャイな彼はほとんどこちらの目を見ることなく、

  • 荻上チキ「「マタハラ問題」への解決の第一歩──小酒部さやか『マタハラ問題』(ちくま新書)」 - 筑摩書房 PR誌ちくま

    新しい概念が発見され、社会に浸透していく。社会問題が認知され、解決に向けての議論が進んでいく。セクハラ、ひきこもり、孤独死、介護離職、ブラック企業、リベンジポルノ――。あらゆる社会問題も、最初は名前がついておらず、あくまで個々人の悩みとして処理されていた。そこに言葉が与えられ、苦悩を抱えている者が多数いるということがあぶりだされてきた。 「マタハラ」(マタニティハラスメント)は、最近になって光を当てられ、また急速に議論が進展しつつある社会問題のうちの一つだ。書の著者である、小酒部さやか氏がその立役者であることは疑いようがない。彼女は「マタハラNet」を組織し、自分自身がマタハラの被害にあったことを訴えると同時に、多くのマタハラ被害者の声を集め、それをメディアや政府に届けている。そうした活動の甲斐あって、二〇一五年は急激にマタハラの認知度が増し、政治的にも大きな一歩を踏み出すこととなった。

  • クルーグマンが教えてくれる経済学の驚き/山形浩生 - 筑摩書房 PR誌ちくま

    ぼくの訳した『クルーグマン教授の経済入門』は、原著はもう二〇年も前のだ。昨年ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン若かりし日の名著となる。テーマはアメリカ経済。ぼくの訳が初めて出たのも、十年以上前になる。にもかかわらずこのは未だに古びていない。もちろん時事ネタは仕方ない。でも書は時事ネタそのものの話よりも、それをどう見るかという経済学的な考え方にこそ価値がある。そしてぼくを含む多くの経済学素人は、かれの教えてくれる経済学、特にその限界についての記述に心底驚かされたのだった。 特にみんながびっくりしたのは、生産性がなぜ上がるかよくわからない、という話だ。素人の多くは、生産性くらいすぐに上げられると思っている。ITを入れれば、教育をよくすれば等々。でもそうじゃないという。多くの人は、これをはっきり言ってもらったことで救われた。やり方がわかっているのにそれができないなら、単なる無能

    クルーグマンが教えてくれる経済学の驚き/山形浩生 - 筑摩書房 PR誌ちくま
  • 筑摩書房 PR誌ちくま

    僕らは教室にいた。と、そこへ先生がはいって来て、いまちょうど三十年が経過したけれど先生のお姿は何も変わっていない。先生が毎年最初の授業で出す映画クイズのその年の第一問は「P.C.L.とは何か」で、三十年前それについての知識が皆無だった者が三十年の間に世界最大の音響機器メーカーに売却されたそのフィルム現像の企業を職場とした経験を持ったどころか業界の総デジタル化によってその業務に実体を失ったいまも会社は自宅近所にその名を残して存在する。もしあれから変わったことがあるとすれば先生と親しく、といってもこちらは相変わらず他の誰に対してより圧倒的に緊張しながらであるが、ともあれ言葉を交わしたりメールを交換したりするような関係を得たことであり、それもこちらが映画監督を名乗り始めたここ十年のこと。そんな関係の最初の話題が長嶋茂雄についてだったのはそれが神宮球場の近くだったせいだろうか。あるいは当時の六大学

  • 筑摩書房 『ボヴァリー夫人』論 Madame Bovary de Gustave Flaubert

    蓮實 重彦 著 JANコード:9784480838131 A5判 850頁 定価:6400円+税 『ボヴァリー夫人』を徹底的に読み抜くことによって、 その「テクスト的な現実」に露呈するさまざまな問題を縦横に論じる。 歳月をこえた書き下ろし2000枚、遂に完成! 詳細を見る 刊行に寄せて 蓮實重彦先生からオリジナルメッセージを頂きました! 反=日語論 蓮實 重彦 著 ちくま学芸文庫 JANコード:9784480092243 定価:体1200円+税 仏文学者の著者、フランス語を母国語とする夫人、日仏両語で育つ令息。三人が遭う言語的葛藤から見えてくるものとは? 【解説: シャンタル蓮實 】 詳細を見る 映像の修辞学 ロラン・バルト 著 , 蓮實 重彦 訳 , 杉 紀子 訳 ちくま学芸文庫 JANコード:9784480089366 定価:体800円+税 イメージは意味の極限である。広告写真

    筑摩書房 『ボヴァリー夫人』論 Madame Bovary de Gustave Flaubert
  • webちくま「1995年」速水健朗【第一章】政治2

    連載 2024/7/25 蓮實 重彦 日国憲法という醜い日語のテクストはどうしても好きになれないが、それでも憲法違反は憲法違反として、あくまで追及されねばならぬと思っている

    webちくま「1995年」速水健朗【第一章】政治2
  • webちくま

    連載 2024/1/29 堀越 英美 〈15〉ネットに悪口を書き込むのがやめられません ☞ スティーヴンソン『ジキルとハイド』がオススメ

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  • 筑摩書房からのお知らせ / INFORMATION&TOPICS

    2012年8月に刊行いたしました『当の経済の話をしよう』(若田部昌澄/栗原裕一郎著、ちくま新書)の内容に誤りがございました。 1)第17講「あなたは「幸福」の国ブータンに住みたいですか」の、古市憲寿氏『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)を取り上げた箇所に、古市氏が「World Value Surveys(世界価値観調査)」を知らなかったのではないか、という主旨の記述がございます(P.241)。これは『絶望の国の幸福な若者たち』P.150にWVSを参照した箇所があり、事実に反しておりました。 2)上記の箇所で、古市氏が、現在の若者の生活満足度が高いことを指摘するにあたって内閣府の「国民生活に関する世論調査」に拠っている点について、「なぜこの調査に基づいたのか説明がない」「WVSのほうが信頼度が高いはずなのに」との記述がございます(P.240)。 これについて著者宛に古市氏より、「同じ質問

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    NEW ためし読み 2024/8/1 デーヴィッド・マークス 「文化の普遍理論書」が遂に邦訳! 人間がもつ「ステイタス」への根源的な欲望を探求し、文化の発生過程を描き出す 書より「日の読者に向けた序文」を公開

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    helioterrorism
    helioterrorism 2012/05/15
    《第22講 人文系は市場で生き残れるか?》
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    書評 2024/8/2 動物豆知識bot カルチャー愛好家のための新たな重要文献 デーヴィッド・マークス『STATUS AND CULTURE』書評

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    helioterrorism
    helioterrorism 2012/02/12
    《第16講 経済学で一番大事なことは金本位制が教えてくれた、あるいは10分でわかる世界経済史》
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    コラム 2024/2/14 海野 農 File119.冬眠の途中で目が覚めてしまった時に読む トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』

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