ブックマーク / tanakahidetomi.hatenablog.com (92)

  • 高校生や大学入学前の勉強はこれで十分、他はほぼ不用:坂井豊貴『ミクロ経済学の入門の入門』

    経済学をまったく知らないと、経済学の教科書の冒頭の諸概念(機会費用、需要供給の分析など)を理解すると、なんでこんなことを勉強しなければいけないのか? と素朴に思うことがあるだろう。あまり現実の課題と結びつかないという印象がある。 特に高校生のおそらく終わり近くで、すでに推薦などで経済関係の大学にいく人達、または高校を卒業して新しく大学に入る就学前の人達には、どうしても独学で勉強する時期があるだろう。そのときに上記の素朴な疑問がかならずでてくるはずだ。実は僕もそうだった。 書は、経済学の主要三部門(ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学)の中で、最も初心者が取組みに努力が必要な(その多くはなぜこの概念が経済学の理解に必要なのかでためらいがあることだろう)基礎的な概念を、著者の体験やまたシンプルな政策的応用を見据えて解説していてとても親切である。 このときの「親切」はよくある非専門家たちの書

    高校生や大学入学前の勉強はこれで十分、他はほぼ不用:坂井豊貴『ミクロ経済学の入門の入門』
  • 坂井豊貴『「決め方」の経済学』

    坂井さんから献頂きました、ありがとうございます。坂井さんは名著『社会的選択理論への招待』(日評論社)で個人的にはだいぶお世話になっています。また世間でも高評価されている『多数決を疑う』(岩波新書)では、個人的には村上泰亮の社会的選択理論の概要を知ることができて、経済思想史的な分析にも役立ちました。 今回の書籍は『多数決を疑う』の姉妹書的な位置にあるとのことで、さらに時論的な色彩が強い内容になっています。特に憲法改正の日でのハードルが法制度的に思われてるほど高くないことが指摘されているなど、これは前著でも話題になっている問題でしたが再論されています。いまの参議院選挙で多数決や三分の二の意味が問われている中では恰好の教材ですね。 また書で最も面白いのは、マンションのエレベーターの改修費用を各階の住民がどのように負担するのか、という現実にも発生した問題(一階住民の負担の問題)が白眉ではな

    坂井豊貴『「決め方」の経済学』
  • デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス『経済政策で人は死ぬか?』

    著者二人は経済学の専門家ではなく公衆衛生学の専門家である。経済政策の失敗が公衆衛生を悪化させることで実際に人を病や死に追いやることを実証的に分析した名著とよべるものである。従来でも経済政策の失敗が不況をもたらし失業者や過重労働などを生み出すことは知られていた。他方で失業などが多くの人を自殺、自殺未遂、自殺を考えざるをえない環境に追い立てていることも実証分析がすすんでいた。しかし前者と後者を因果関係から結び、不況そのものよりも不況の中での経済政策の失敗が人を殺すものであることを考え、実際に検証した業績はあまりなかった。 不況そのものについては著者たちは、国民の健康を害する面と反対に健康促進の面があることを指摘している(後者は所得減少でアルコール摂取が制限されることなど)。しかし不況で職を失う事(所得減少よりも大きい)が、その人の生きがいを奪うことで自死に追いやることを統計的に示している。 処

    デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス『経済政策で人は死ぬか?』
  • 竹森俊平『欧州統合、ギリシャに死す』

    ギリシャ危機、そして共通通貨ユーロの行方を考える良書。独白形式なので読みやすい。自国の経済的利益を最優先としてユーロ圏の現状維持を志向するドイツ文化的利益を優先するフランスによって成立しているユーロという歪んだ通貨をめぐる分析。ギリシャ危機も簡単に言うと先延ばしされただけ、という大方の見方を竹森さんらしく深く分析している。 数年前のギリシャ危機から今年の危機の再発までの時系列的事象が詳しく、今回の「救済」のフレームも丁寧に解説しているので便利。緊縮財政はGDPを減らすことで結局はギリシャ危機を継続させるが、同時にギリシャ危機を解決しないとフランスの離脱という形でユーロが消滅する可能性もあり、そのユーロ離脱の手法も書では丁寧に説明していて、通貨とは何か? を考える上で多くの人のいいテキストになるだろう。 欧州統合、ギリシャに死す 作者: 竹森俊平出版社/メーカー: 講談社発売日: 201

    竹森俊平『欧州統合、ギリシャに死す』
  • 『21世紀の資本』と日本の経済学

    以下は『電気と工事』(オーム社)の三月号に寄稿したものの元原稿です。 ーーーー フランスの経済学者トマ・ピケティが書いた『21世紀の資』(みすず書房)が大ベストセラーだ。五百頁を超える分厚い格的な経済の専門書が、発売ひと月で十数万部も売れたらしい。テレビのニュースでもとりあげられ、雑誌では特集が組まれたり、また解説や便乗が多く出された。 ピケティの主張は実に明瞭で簡潔だ。主に三点に集約できる。 1)世界中で所得と富の分配の不平等化が進んでいる。2)その原因は経済成長率<資収益率にある。つまり経済の大きさが拡大するよりも資の取り分が大きくなる。例外は1914-1945年のふたつの世界大戦とそれに挟まれた期間だけである。3)この世界的所得格差を是正するためにグローバル資産課税やまた累進課税を促進すべき、というものだ。 ピケティは「経済成長率<資収益率」は、資主義の動態的な法則で

    『21世紀の資本』と日本の経済学
  • ピケティをミスリードするひと

    稲葉振一郎さんが「ミスリードするな」とつぶやいてたので何のことかと思ったら、以下の記事で、『週刊東洋経済』の野村明弘副編集長が「――日はどちらかと言えば金融政策に頼りがちです。アベノミクスは資産バブルを誘発しています。」といったり、「――日は政府債務残高がGDP(国内総生産)の200%を超え、先進国で最悪の財政状況です。」といったりしたことを指すと思われる。特に前者は、まったく根拠がない。いったい何を指して「バブル」といっているのだろうか? ピケティが指摘するアベノミクスの弱点http://toyokeizai.net/articles/-/58906 残念ながら、このブログの過去ログでも明らかだが、ゼロ年代のある時期から『週刊東洋経済』の編集は明白に財務省均衡予算主義や旧日銀的なリフレ否定論に大きく傾斜していると思われる。この副編集長の発言はその姿勢を端的に示すものだろう。 ピケティ

    ピケティをミスリードするひと
  • ウリ・ニーズィー&ジョン・A・リスト『その問題、経済学で解決できます』

    今年読んだ経済書の中でも最も面白いもののひとつ。 ニーズィーとリストはランダム化実地実験という手法で、保育園の送り迎え、女性差別、子供の成績を上げる方法、寄付金が増える方法などにそれを応用して目覚ましい成果をあげている。 経済学は一般にインセンティブ(動機づけ)に関する学問だ。インセンティブには、金銭に関わるもの、社会的なもの、宗教的なものなどいくつかのものがある。特に重要視されているのが、金銭的インセンティブだが、かれらは重要なのはこの金銭的インセンティヴをうまく活用する仕組みに注意すべきだとしていることだ。それをランダム化実地実験で実証している。 例えば資産家の寄付をもとに彼らは金銭的報酬の多寡によって子供たちの学習がどれだけ影響をうけるかを実際の教育現場で試している。金銭的インセンティブを活用する仕組みがうまく働かないと、他の重要なインセンティブが衰退してしまい、むしろ人間関係や組織

    ウリ・ニーズィー&ジョン・A・リスト『その問題、経済学で解決できます』
  • ピケティとエンゲルス

    『書斎の窓』の最新7月号に掲載されている若田部昌澄さんの「経済学史の窓から」。今回は「世界的格差拡大でマルクスとエンゲルスは復活するか?」でトマ・ピケティの『21世紀の資論』を取り上げています。 ピケティの主張はすでに経済学の教科書(ジョーンズの『マクロ経済学』)にも紹介されていますが、若田部さんの要約を以下に。 1)世界中で所得と富の分配の不平等化が進んでいる 2)原因は経済成長率<資収益率にある(資主義の根矛盾…ピケティ)。つまり経済の大きさが拡大するよりも資の取り分が大きくなる(例外は1914-1945年の戦時期&戦間期)。 3)この世界的所得格差を是正するためにグローバル資産課税をすべき。累進的課税。 若田部さんはこのピケティの議論を19世紀の経済学者と経済学批判者たちの議論と関連させて論じていきます。エンゲルス(革命)、マルクス、カーライル(指導者による労働の軍隊組織化

    ピケティとエンゲルス
  • 岩田規久男日本銀行総裁を実現せよ

    『正論』の2013年2月号に寄稿したものを以下に掲載しました。 掲載から二か月ほどですが、特に日銀行総裁人事については、いまいわれている武藤敏郎、黒田東彦、岩田一政、伊藤隆敏の各氏や、また財務省OBや過去に審議委員(中原伸之先生抜かす)だったり副総裁だった人を抜かすべきだと思っています。 欧米や日の合理的な推論ができる人はすべて上記の人はデフレ脱却に黄色からどすぐろい赤信号までともってしまいますが、僕は標題にあげたように、岩田規久男先生であれば、その総裁指名自体が、市場を含めて明瞭なアベノミクスの強化として好感をもって迎えられると思います。財務省筋のながす、組織運営だとかいうナンセンスな話は噴飯ものです。日経済という肝心要のマネージメントを失敗してきた日銀、財務省の官僚やその走狗の政治家たちにそんなことをいう資格は微塵もないですね。 岩田(規)先生の日銀総裁実現を願う、それが僕のいま

    岩田規久男日本銀行総裁を実現せよ
  • クルーグマンを利用している嘘つきたち

    10年以上、似たような光景を目にしているが、またもや反リフレというかデフレ志向の人たちの「デマ」「確信犯的な嘘」の流布が止まらない。理論的・実証的そして現実の単純な観察のいろいろな側面で、反リフレ的な人たちが合理的な推論で負けている状況があると思う。 最近では、「人口減少デフレ」とか「金融政策に依存しない名目経済成長率目標」(ただのバカだが)、「ハイパーインフレ」「日人はデフレ好き」などがネットなどで流布している。こういった理を尽くすものよりも、単純な印象操作をてこにした脱デフレ「批判」は、素人やまたなんらかのこだわり(イデオロギー)を持つ人たちがとくにひっかかってしまっているものだ。 さてその最新のモードは、以下のふたつの論説を舞台にしている。「嘘」だ。 以下では原文と正しい訳文のリンク先を貼っておく。 http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareas

    クルーグマンを利用している嘘つきたち
  • 財政政策ならば防衛支出を増やす方が望ましいのではないか?(田中秀臣、飯田泰之、原田泰諸氏の主張再考)

    現状のデフレ脱却については日銀行の政策転換という金融政策の在り方を変えることがデフレ脱却の必要条件と考えている。 しかし財政政策をあえて積極的に行うならば、それは公共事業の景気拡大効果という「神話」にすがるべきではない。もちろん社会的に必要なインフラ整備は行う、復興事業に必要なものは行う、更新投資も必要なものはすればいいだろう。しかし政策目的が、デフレ脱却ならば、その効果は効率的なもの、すなわちできるだけ社会的に無駄でないものが望ましい。その点で公共事業に依存するのは誤りだ。この政策目的と手段の割り当てが、公共事業中心主義の人にはまったく理解されていない。 多くの間違いは、政策目的に、デフレ脱却、復興目的、災害対策、更新の必要性などが一括してあたかもひとつの目的としてくくられているからだ。その混在一体としたごちゃごちゃなんでもかんでも混ざった目的に対応するのが公共事業だ、というわけだ。ま

    財政政策ならば防衛支出を増やす方が望ましいのではないか?(田中秀臣、飯田泰之、原田泰諸氏の主張再考)
  • 「日本の国債報道は0.1%の長期金利上昇も許せない」

    異常報道だと思う。たかだか0.1%の上昇でも国債リスクを大喧伝する最近の国債報道の在り方。まさに典型的な国債市場関係者の視野狭隘私感で日経済を見る見方にしかすぎない。歴史的にまれにみる低金利の続行はデフレ期待の反映であり、昨今の情勢ではデフレ=不況(失業率の高止まりなど)だ。つまり今後、景気がよくなり、物価が上昇すると予想されるならば、当然に長期金利も緩やかに上昇していく。これは自明のことだ。このときには景気がよくなるのだから、失業率は低下し成長率は安定し、また税収も改善していく。このような好循環が訪れれば、当然にプライマリバランス(財政の健全化のひとつの指標)も改善していく。当たり前だが景気回復すればその国の財政指標が改善する。つまりいまの日の国債報道が、現状の長期金利1%以下の水準での0.1%や0.2%の上昇を、さも国債リスクの増加と報道すること自体が常軌を逸した異常な報道姿勢ーつ

    「日本の国債報道は0.1%の長期金利上昇も許せない」
  • 岩田規久男「白川日銀総裁は間違っている」『新潮45』

    中森さんの対談を読んでいたら偶然に岩田先生が寄稿しているのを見つける。これもすごくまとまっていて、最近の安倍氏のリフレ的発言とそれに対する白川日銀総裁の発言を批判的に論評している。 安倍:2-3%の物価上昇を目指すインフレ目標 白川:安倍に反論し、「物価上昇率はバブル期の1980年代後半すら平均1.3%だった」として2%以下のプラス領域で、当面1%目指す。 自民党マニフェスト(2%以下は望ましくない)vs日銀(2%を下回ってもゼロ以上であればいい)の対立になる。 岩田先生は安倍氏が目標については幅でいくかポイントでいくかは専門家と協議するという国際的によくみられる政府と中央銀行との協議という柔軟な姿勢を持つことも指摘している。キーポイントは、(上方バイアスを加味すれば)どのインフレ目標を採用している国も1%以上を最低でも維持することを目標にしていることだ。 岩田先生は、白川総裁の任期期間で

    岩田規久男「白川日銀総裁は間違っている」『新潮45』
  • ジョン・クイギン(山形浩生訳)『ゾンビ経済学』

    リーマンショックにより従来の経済政策や経済学会で主流を占めていた5つの経済思想がまったくダメだということが証明され、死亡宣告が出されたのにもかかわらず、やつらはゾンビのようによみがえってきた、というのが書の大枠である。その5つのゾンビ的経済思想とは、1.大中庸時代(1985年に始まる時期は、前代未聞のマクロ経済安定の時期だという発想)、2.効率的市場仮説、3.動学的確率的一般均衡、4.トリクルダウン仮説(金持ちにとって有益な政策は、最終的には万人の役に立つ)、5.民営化(いま政府が行っているあらゆる機能は、民間企業のほうがうまくこなすという発想)である。これら5つの経済思想は、ひとまとめに「市場自由主義」と書ではくくられている。 書はこれら5つの経済思想=市場自由主義に対して、リーマンショックの教訓から混合経済の仕組みを主張している。それは人々が直面する社会的なリスクを福祉国家が適切

    ジョン・クイギン(山形浩生訳)『ゾンビ経済学』
  • 韓国経済のメモ(成長、貿易関連)

    昨日の阿佐ヶ谷トークイベント用のメモの一部 昨日のトークイベントでも冒頭で話題になったが、、愛国系の議論では、韓国の経済が明日にでも崩壊する(by古谷ツネヒラさんの紹介より)という発言が多い。しかし、そういう危機予言はさておき、もう少し冷静に韓国経済のデータや実体をみてみたい。こと金融面については、やれるだけの政策をちゃんとやっているという事実があるんじゃないかと私見では思っている。 リーマンショック以降もどう割り引いてみても経済は急回復している。キャピタルフライト的状況を懸念すれば、通貨スワップの拡充に邁進しているし、インフレ懸念にも対処するなど、政策の割り当てとそのスピードも適切に思える。具体的に経済のパフォーマンスはよく、この30年の平均成長率は7%近い(マイナス成長は80、98年)。 韓国の実質経済成長率は70年〜80年は平均9%、80〜90年は9.7%、70年代から2010年まで

    韓国経済のメモ(成長、貿易関連)
  • 宮崎哲弥・山形浩生・田中秀臣:ポール・クルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』を読む(ニコニコ生放送14日金曜19時30分)

    ニコニコ生放送の公式番組です。今週の9月14日金曜の夜19時30分開始になります。詳細は以下に http://live.nicovideo.jp/watch/lv107129123?ref=top&zroute=index だいぶ昔からの知人ですが、なんと三人で集うのは今回が初めてです。いつも会った気がしてますが 笑 どんな話がとびだすか、まったくわかりません。 僕もとても楽しみです。少なくとも衣装だけは工夫しようかな? 笑) さっさと不況を終わらせろ 作者: ポール・クルーグマン,山形浩生,Paul Krugman出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/07/20メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 12人 クリック: 404回この商品を含むブログ (54件) を見る

  • 飯田泰之&雨宮処凛『脱貧困の経済学』(ちくま文庫)

    ちくま文庫の仲間入りでまずはおめでたいことです。といってもまだ発売前なので手にしてません(笑)。以前の単行のときはろくなコメントをしてないことに気が付き、当時よりもいま現在の方が、より重要な著作だと思いここでご紹介。なぜ重要かというと、一部の心無い(当に空っぽだと思うが)人たちの生活保護バッシングをみるにつけ、日貧困問題へのいわれなき罵倒が目立つからだ。 さて書は09年9月に初版だから、世界経済危機後一年後に出ていて、ちょうどいまから三年前だ。最初に言い切りたいが、僕が読んできた対談の中でも屈指の出来だと思う。 飯田泰之さんは経済学者で、雨宮処凛さんは作家で社会運動家的な側面が強い。雨宮さんは当時、プレカリアート運動でも著名だった。なんとなく水と油的なイメージがあるが、書の対談はかなりかみ合ってて面白い。ただだいぶ編集の手が入っている印象もある。なぜなら同時期に、雨宮さんが佐

    飯田泰之&雨宮処凛『脱貧困の経済学』(ちくま文庫)
  • いまの日本に徴兵制を実施したらどうなるか(簡単な経済学的視点から)

    Twitterで徴兵制導入すべし、という意味不明の発言を最近よくみるようになった。基的に、ただの若者には根性や防衛意識が足りないなど、無責任な発言によるものが大半だ。ただし知的な関心もある。徴兵制をいまの日に導入すればどうなるだろうか。それをポール・ポーストの『戦争経済学』を利用して簡単にみておく。 最初に結論でいうと、いまの日に徴兵制をひくと、1)防衛力が低下する可能性、2)若い世代の人的資の蓄積が歪む(ムダが発生)する可能性があるということだ。 ポーストのは、主に徴兵制からAVF(総志願軍)への転換という先進国の主流の流れを分析したもので、日の一部の無責任な論説のように徴兵制への転換とは異なる。なのでこのポーストの視点を逆転させる必要がある。 まず総志願軍の場合は、他の公務員の賃金やまた民間の賃金との競合を考えなければいけない。それに対して徴兵制は基的にその問題はそれほ

    いまの日本に徴兵制を実施したらどうなるか(簡単な経済学的視点から)
  • 片山さつき・城繁幸・赤木智弘「本当に生活保護を受けるべきは誰か」in『Voice』八月号

    ちょっと前の号ですが、気になっていた対談で備忘録も兼ねてここに引用と簡単なコメントを書いておきたいと思います。この三者の組み合わせというのは面白いですね。 対談の記録はここで今の段階ではここに掲載されてます。 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120720-00000001-voice-pol http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120720-00000002-voice-pol http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120720-00000004-voice-pol 片山氏の立場を整理すると 1.ポピュリズム的傾向。河準一氏の事例を狙い撃ちにして、「不公平」という「庶民」感情を前提に批判を強める。 「経済的困窮者に対して、民法877条では

    片山さつき・城繁幸・赤木智弘「本当に生活保護を受けるべきは誰か」in『Voice』八月号
  • 学校選択制といじめ(メモ書き)

    松尾匡さんがホームページのエッセイで「学校選択制の外部性が大津いじめ事件を生んだ」http://t.co/UicP0sI9というものを書かれた。簡単にいうと市場の失敗としていじめをとらえている。 以下、抜粋。 学校選択制が事件の隠蔽をもたらしたのではないかということが書いてあります。 これはそのとおりだと思います。こんなふうに言うと、「教育には競争原理わぁ〜」とかの神学論争が始まるのかとお思いのかたもいらっしゃるでしょうけど、そんなこととは関係なくて、全くもって身もふたもない「経済学」の理屈でこれが言えるのです。 普通の商品で市場メカニズムがうまく働くのは、コストや便益が取引当事者にだけかかってくるからです。 取引当事者の外にまでコストや便益が及んでしまうことは、「外部性」と呼ばれ、これがあると市場メカニズムはうまく働かなくなります。例えば「公害」なんかが典型的例として言われます。 この「

    学校選択制といじめ(メモ書き)