ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (30)

  • 『はじめてのおつかい』がアメリカで巻き起こした大論争 NEWSWEEK

    <保護責任が厳しく問われるアメリカでは、子どもを一人でお使いに出すことは「非常識極まりない」はずだが......> 日のNTV系列が放送している長寿番組『はじめてのおつかい』の中から、諸条件に合致したエピソードの放映権がNetflixに売却され、この4月1日から「Old Enough」(「(単独行動をするには)十分に大きい」)というタイトルで世界各国で視聴されるようになりました。一番幼い場合は3歳児未満という幼児が、親に頼まれて「一人でお使い」に行くというリアリティー・ショーですが、アメリカでは大変な話題になっています。 アメリカでは、州によって若干の違いはありますが、基的に13歳未満の子供に対しては保護者の監視が義務付けられています。ですから幼児に一人で街路を歩かせていることが判明した場合には、その幼児は即座に保護され、保護者は逮捕されるばかりか、そのような「危険な状態を見て見ぬふり

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  • トランプのSNSアカウント停止に、アメリカ国内で異論が出ない理由

    13日にツイッター経由でビデオメッセージを出したトランプ大統領 The White House via Twitter/REUTERS <トランプ派の暴動は首都ワシントンだけでなく、全米各州の「差し迫った」危機となっている> 先週6日に発生した、米連邦議会の議事堂に暴徒が乱入した事件では、トランプ大統領に対する連邦下院の弾劾決議が可決されました。議会への「進軍」を扇動したことが「内乱扇動罪」であるとして、民主党議員の全員に加えて共和党議員からも10人の賛成が出た結果です。 弾劾案は上院に送られ、上院は最高裁判所長官を裁判長とする弾劾裁判所を開くことになりますが、現時点では早い時点での審議が行われるかどうかは不透明です。また上院(弾劾裁判所)での有罪の評決には100議席中の67票の賛成が必要ですが、共和党議員17人の賛成を得る見通しは立っていません。 現時点では、弾劾裁判の再開は「バイデン

    トランプのSNSアカウント停止に、アメリカ国内で異論が出ない理由
  • 敗北を認めないトランプを共和党議員団が支持し続ける理由

    ボス格のマコネル上院院内総務(写真中央)ら共和党議員団は大統領選について沈黙を続けている Ken Cedeno/REUTERS <年明けに予定されているジョージア州上院選の決選投票が、トランプを支持せざるを得ない状況を生んでいる> トランプ大統領は、大統領選の結果について依然として沈黙しています。今週11日は「ベテランズデー(退役軍人記念日)」でしたが、公式セレモニーには出席したものの、特にコメントは出していません。とにかく選挙における敗北を認めないので、バイデン次期大統領は引き継ぎ作業ができずに困っています。 けれども、負けず嫌いで奇手を好むトランプ大統領のことですから、起死回生を狙って法廷闘争に訴えるなどの抵抗を続ける姿勢についても、特に不自然とは思えません。問題は、共和党の主要な政治家たちが同じように沈黙していることです。 報道では、共和党の中でもバイデン氏を次期大統領として認め、ト

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  • あまりにも悲痛な事態を前に言葉を失うアメリカ社会

    セントラルパークの芝生に臨時病院の白いテントが設営される様子は、驚きをもって受け止められた David Delgado-REUTERS <政権対策チームの専門家による「死者数が10万~20万」という悲観的な見通しを受けて、まるで米社会全体が立ちすくんでいるよう> アメリカの週明けは、重苦しい雰囲気に包まれました。その伏線は、この3月29日の日曜日にありました。トランプ政権の専門家メンバーの1人である、アンソニー・ファウチ博士が、日曜朝の政治インタビュー番組に出演した際に「(新型コロナウイルスによる)アメリカでの死者は10万人から20万人単位となる」とコメントしたのです。 あまりにも悲観的な見通しのため、このニュースはすぐに各社が報じました。そして、その日の夕刻にはホワイトハウスの前庭で、大統領を中心としたコロナウイルス対策の定例会見が行われました。大統領から、医療器具の輸送体制に民間の運送

    あまりにも悲痛な事態を前に言葉を失うアメリカ社会
  • 日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?

    <公衆衛生への国民の意識が高いからか、クラスターの封じ込めに傾注する対策が当たっているからか......> 新型コロナウイルスに関しては、まだまだ分からないことが多いわけです。ですから、3月19日に専門家委員会が表明した、日は感染拡大の加速にはいたっておらず「持ちこたえて」いるが、「オーバーシュート(爆発的な感染拡大)」の危険はあり、依然として厳しい警戒が必要という指摘は、真剣に受け止めないといけないと思います。 日の新型コロナ対策に関しては、PCR検査の数が抑制されているという指摘があります。このため今後拡大するかどうかについては、議論があります。ですが、明らかに指摘できるのは、日の場合は人口当たりの新型コロナの死亡率が非常に低いことです。 中国の場合は湖北省とその他を通算した平均値はほとんど意味がないので除外しますが、その他、現在まで大規模な感染が発生している国や地域の死亡率と比

    日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?
  • 新型コロナ拡大に備える、アメリカ流「悲観論」の読み方

    <危機に際して徹底した「悲観論」を掲げておいて、予想よりもプラスに推移しているという認識に持っていくのは、アメリカでは良くある手法> アメリカにおける新型コロナウィルス感染拡大の状況としては、当初はワシントン州とニューヨーク市北部が中心だったのが、市中感染が各州に拡大しているのが現状です。そのアメリカの対応ですが、稿の時点では、「国家非常事態」が宣言された上で、 ▼10人以上の集合は自粛(学校と職場は除く) ▼バー、レストランは休業を要請 という全国レベルの「準ロックダウン(閉鎖)」になっています。感染ピークの中国や、現在のイタリアやフランスよりは緩い対応ですが、日の対応よりは相当に厳しいものと言えます。ニューヨーク市内など感染が拡大しているところは別としても、この時点では全米一斉にここまで厳しい対応をするのは、アメリカ社会の特性を反映していると考えられます。 その特性とは、1つには「

    新型コロナ拡大に備える、アメリカ流「悲観論」の読み方
  • 銃規制の代わりに透明バックパックを強制された高校生たちの怒り

    <2月に銃乱射が発生したフロリダの高校で、透明ビニール製のバックパックが義務化され、銃規制運動の先頭に立ってきた生徒のたちのさらなる怒りを呼んでいる> フロリダ州フォートローダーデールから内陸に入ったパークランドという町の公立高校で銃乱射事件が発生し17人が死亡したのは2月14日、バレンタインデーのことでした。 事件の舞台となったのは、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校という、フェミニストで環境問題の運動家でもあった女性の名前を冠した学校です。そうした命名の経緯が示すように、南部とは言ってもこの地域はリベラルな風土の土地柄で、学校自体のレベルもかなり高い学校です。 事件後、この高校の生徒たちは銃規制推進運動の先頭に立ちました。特に首都ワシントンDCで3月24日に開かれた「私たちの命のための行進」は、大規模なものとなり、連帯する形でニューヨークなど米全土の主要都市でもデモが行われました

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  • 小池新党の攻勢に、自民反攻の一手はあるか?

    <仮に勢いに乗る「希望の党」が大連立を持ちかけてきた場合、自公が中道にシフトして連立を拒否すれば、国民にはようやくまともな二大政党の選択肢が示される> 発足したばかりの「希望の党」ですが、比例での投票先としては支持率が伸び悩んでいるものの、実際の投票となれば旋風を巻き起こす可能性は十分にありそうです。また、先日このコラムで議論したように、自民党内に「手を突っ込む」だけでなく「大連立」を持ちかけて参院も含めてのみ込むという戦略も当然考えているでしょう。 では、自民党というのは防戦に回る一方なのでしょうか? 仮に「希望の党」の勢いが止まらない場合には、逆転の方策はないのでしょうか? この点に関して言えば、「希望」には一点だけ弱点があるように見えます。 それは、自民党が総選挙で敗北した場合、岸田前外相などを中心に「中道自公路線+軽武装+国際協調主義(特に日韓関係重視)」を掲げて、「中道寄り」から

    小池新党の攻勢に、自民反攻の一手はあるか?
  • アメリカの部活動は、なぜ「ブラック化」しないのか

    <日と同じように部活動が過剰になる要素もあるアメリカだが、試合や発表の機会に重点が置かれていることなどで「ブラック化」は避けられている> 日の中学や高校における部活動は、ともすれば練習時間が長時間に及んだり、勝利至上主義に陥ったりする問題点を抱えています。アメリカでも事情は同じです。例えば、スポーツの場合は大学の体育会からスカウトされる可能性があり、その場合は奨学金がつきますし、大学での活躍はプロ入りに直結することになります。 一方で、オーケストラやマーチングバンド、演劇、ミュージカルといった部門では、州大会や全国大会があり、活躍すれば、パフォーマンス・スクールや音楽学部への進学に有利になります。進学ということでは、名門大学をはじめとする多くの大学において部活の活動履歴は重要な要素です。さらに、フットボールやバスケットボールなどの花形種目の場合、試合で勝っていくことには全校の期待、いや

    アメリカの部活動は、なぜ「ブラック化」しないのか
  • 民主党予備選、サンダース逆転の秘策はあるのか?

    共和党ではドナルド・トランプ候補が「事実上の統一候補」となっていますが、党内の大物、特に大統領経験者や下院議長が不支持を表明していて、まだ「トランプ降ろし」や「保守系無所属候補」の可能性も取り沙汰されています。 一方の民主党は、数字の上ではヒラリー・クリントン候補が「ほぼ統一候補の座を手中に収めている」わけですが、それでもバーニー・サンダース候補は選挙戦から撤退する気配がありません。では、具体的にサンダースには何らかの勝算があるのでしょうか? まず現在の獲得代議員数ですが、民主党の場合は「予備選結果を配分したものに拘束されるプレッジド代議員」というものが主で4051あります。この他に「スーパー代議員」714を加えた4765というのが代議員総数で、その過半数超えに必要な2383が「マジックナンバー」となっています。 現在の数字(現地5月9日時点)はどうなっているのかというと、 ―ヒラリー・ク

    民主党予備選、サンダース逆転の秘策はあるのか?
  • 「ケリー広島献花」を受け止められなかったアメリカ

    ケリー国務長官はG7外相会合の他の参加メンバーと共に原爆死没者慰霊碑に献花した Jonathan Ernst-REUTERS 今週11日、G7外相会議で広島を訪れたアメリカのケリー国務長官は、G7外相の一員として広島の原爆死没者慰霊碑に献花しました。また前後して、原爆資料館も見学しています。しかしこのニュース、アメリカの各メディアから基的にスルーされました。 日米の時差を考えても、アメリカの11日朝のニュースや朝刊には間に合わせようと思えばできたはずです。しかし朝の時点での扱いはほぼゼロでした。その代わり、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどは日中になって電子版で論評を出しました。 テレビに関して言えば、報道は極めて限られています。CNNが短く編集したニュースをウェブに出しており、この映像は午後から夕方のニュースで放送した可能性はありますが、夕方以降の7時台、8時台のニュースで

    「ケリー広島献花」を受け止められなかったアメリカ
  • こんなはずではなかった「3.11からの5年間」

    震災から5年経った今も、日社会は原発に関する「最適解」を見つけられずにいる kokouu-iStock. 2011年3月11日の「あの日」から5年の月日が経ちました。震災の時点では、私はアメリカにおりましたが、アメリカからこの枠を通じて、様々な議論を続けた一方、航空便の行き来が再開されて間もなくの被災地にうかがって、より真剣なディスカッションに参加したりもしました。 それから5年の月日が流れました。ですが、現状に関しては「こんなはずではなかった」という思いが消えません。未曾有の自然災害が国土に発生したというのは、国の、あるいは社会のあり方について「根から考え直し」の機会であり、また「根から考え直す」ことなくしては、真の復興はあり得ないと思うのです。 ですが、5年という時間の中で、そのような「考え直し」は起きませんでした。「こんなはずではなかった」というのは、そんな意味です。 まず、エ

    こんなはずではなかった「3.11からの5年間」
  • バス事故頻発の背景にある「日本式」規制緩和の欠陥

    規制緩和が過当競争を引き起こし、バス事故の頻発につながっているという批判が出ている Juergen Sack-iStock. 先週の軽井沢スキーバス事故の後、安い運賃で運行しているツアーバスの事故が頻発していることを受けて、規制緩和が誤りだったという声が出ています。中には、こうした規制緩和がアメリカ流の「拝金主義」や「新自由主義」による人命軽視の思想から出ているという批判や、あらためて官庁による強い規制を復活させるべきだという声もあるようです。 では、規制緩和は誤りだったのでしょうか? 市場の購買力が下がって格安運賃へのニーズが高まる、その一方で中高年労働力の市場でも価格破壊が進行するという現状の流れの中では、違法な安値競争が起こるのは「市場原理としては仕方がない」ので、あらためて政府の検査体制を拡充するしかないのでしょうか? ここに「日式」の規制緩和の問題が横たわっています。例えば、小

    バス事故頻発の背景にある「日本式」規制緩和の欠陥
  • 内容は腰砕けだった、オバマの「銃規制案」

    今週オバマは乱射事件の被害者や遺族をホワイトハウスに招いて、涙ながらに銃規制を訴えたのだが Carlos Barria-REUTERS 今週5日、新年早々にオバマ大統領はホワイトハウスに「乱射事件の被害者と遺族」を招いて、彼らに語りかける形を取りながら全国へ向けてテレビ会見を行いました。その際に「涙を浮かべながら銃の悲劇を繰り返すな」と訴える大統領の姿は、大きく報道されています。 ですが、この「オバマ銃規制案」の内容は「全くの腰砕け」としか言いようのないものです。 まず今回の提案は3点あるというのですが、具体的には「銃見市(ガンショー)やネット販売などでの銃購入者の身元確認の徹底を『業者』に義務付ける」、「違法な銃取引に対する取り締まりの徹底」、「保険適用の拡大など精神疾患に対する治療の充実」というのがその内容です。 要するに「銃規制」ということでは、1つ目の「購入時の身元チェックの強化

    内容は腰砕けだった、オバマの「銃規制案」
  • ピケティ賛否でわかるアメリカ経済の対立軸

    アメリカでトマ・ピケティの『21世紀の資』がブームになったのは昨年で、夏に著者人が来米した際には、ちょっとした騒動になりました。アメリカの場合は、日ほど盛り上がることはありませんでしたが、このピケティへの賛否を見ることで、アメリカ経済学・経済政策に関する対立軸が見えてくるのは事実だと思います。 まず、どうしてアメリカであまり盛り上がらないのかというと、基的に株式市場への信任というのがあるからです。代表的な批判は、ローレンス・サマーズ(元ハーバード大学学長、ビル・クリントン政権当時の財務長官)でしょう。 サマーズによるピケティへの書評 "The Inequality Puzzle" (「格差のパズル」、雑誌『デモクラシー』14年夏号電子版)によれば、要するに「r>g」(資収益率rが経済成長率gを上回る)ということはなく、中長期では「r=g」になるというのです。これは、アメリカの世

    ピケティ賛否でわかるアメリカ経済の対立軸
  • タカタ製エアバック「大量リコール」の問題とは?

    タカタ製エアバックに関する不具合問題ですが、私は2009~10年に起きた「トヨタの大量リコール問題」あるいは、2012年前後に発生した「GSユアサのB787バッテリー問題」などとは、トラブルの質が異なるように思います。 とりあえず現状を受けての感想を箇条書きにしておきます。 1)一部には「日系企業だから批判される」という見方があるようですが、私はこれには否定的な立場です。エアバックに関しては、タカタが第1人者であること、またリコール対象車種が、日系メーカーだけでなく、GMやフォード、クライスラーなどデトロイト勢、あるいは欧州車など多岐にわたっているからです。 2)ただ、各自動車メーカーとしては「自分たちはエアバックのことは詳しくは分からない」として、まるでユニットを「ブラックボックス」のように扱い、結果的にタカタに全ての責任を押し付けているという面は明らかです。 3)この問題ですが、全体的

    タカタ製エアバック「大量リコール」の問題とは?
  • 中間選挙「共和党勝利」で、アメリカは右傾化するのか

    アメリカで4日に実施される中間選挙で、仮に上下両院ともに共和党が過半数を占めたと仮定した場合、アメリカにはどんな変化が起こると予想できるのでしょうか? 法的に言えば、オバマは大統領として2017年1月まで任期を残しているわけですから、その間は議会がどんな法案を通しても「拒否権」を使って阻止することはできます。また大統領令を出して簡単な制度改正を行うことも可能です。 ですが、下院の多数を共和党に握られた改選前の「ねじれ議会」でも、オバマは政局運営に苦労していたわけですから、仮に上院も取られてしまうとなると、もっと自分の政策を通していくのは難しくなります。上下両院を共和党が支配すれば、共和党の影響力が増すことは間違いありません。 その場合、アメリカはどんな方向へ向かうのでしょうか? 一般的に民主党はリベラルで、共和党は保守だというイメージが確立しています。では、アメリカは右傾化するのでしょうか

    中間選挙「共和党勝利」で、アメリカは右傾化するのか
  • 日本経済の競争力回復のために「労働時間規制」は強化するべき

    第一次安倍内閣の際に廃案になった「ホワイトカラー・エグゼンプション」が、今度は「残業手当ゼロ化」とでも言うべき拡大案として、再び検討されているようです。今回は、管理職一歩手前の年収1000万円超クラスに加えて、労使協定を行えば全社員にも適用可(その場合は時間の上限規制はあり)というものです。 この法案に関しては、過労死推進であるとか、日経済の総ブラック化といった言い方で批判がされているようですが、私はそのような批判では足りないと思います。現在の日社会で労働時間規制を緩和するということは論外であり、反対に徹底的に強化するべきです。そうではないと、日経済の衰退を加速する、そのぐらいの問題であると思います。 中には、当面は「高すぎる人件費の削減」の一環として「残業手当の廃止」を行うのは「企業の生産性向上と国際競争力回復」のためには仕方がない、それが日経済を延命させる唯一の現実的判断だ、と

    日本経済の競争力回復のために「労働時間規制」は強化するべき
  • 米ファストフード業界で「時給15ドル」要求ストをめぐる議論

    今年の夏以来、アメリカでは「ファストフード業界の時給を15ドルに」という要求を掲げた運動が続いています。この運動ですが、必ずしも組織された一つの運動というのではなく、色々なバリエーションがあります。 1つには、連邦政府として、つまりアメリカ全国に適用されるものとして「最低賃金を15ドルにせよ」という要求。 もう1つは、冒頭に述べたように「マクドナルドやウェンディーズ、KFC(ケンタッキーフライドチキン)などのファストフード・チェーン」あるいは「ファミリーレストラン・チェーン」に関して、「最低時給を15ドルにせよ」という要求。 更にこれ以外にも、ファストフード・チェーンに加えて「ウォルマートなどの低賃金雇用」に関しても「最低時給15ドルを実現しよう」という要求。 という具合です。ちなみに、3つ目の「ファストフードに加えてウォルマートなども」という主張は、ビル・クリントン政権当時の労働長官(日

  • 「オバマケア」のシステム不具合で窮地に立つオバマ

    現在のアメリカでは「オバマケア」の名前で呼ばれる医療保険改革の問題が連日のようにニュースのヘッドラインになっています。と言っても、改革を進めるのか、あるいは共和党の言うように新制度を「廃止」するのかという議論ではありません。 10月からスタートした「新医療保険」、つまりこれまで保険に入れなかったか、あるいは入っていても保険料が高額で困っていた人向けの「政府の補助付きの新型医療保険」、その「加入申し込みシステム」の不具合が解消されないのです。この問題は今となってはスキャンダルと化して、一日一日とオバマ政権への信頼感を傷つけています。 一番の問題は、「強制移行」の対象者です。旧制度の下で、企業や官公庁などの「雇用主が保険会社と契約して入る保険」でカバーされていた人々(実際はアメリカ社会の多数派ですが)は、今回の制度改定での影響は余りありません。問題は、これまで「全額自己負担」という個人契約の医