現在の日本では地方の衰退ばかりが問題視されるが、かつては都市の過密の方が大きな問題だった。それゆえ、都市から地方へ様々な分配を行う政策が、国民に広く支持された。 しかし、都市の過密を政治的に抑制したことが、経済成長率の屈折、そして1990年代以降の停滞のひとつの要因となった。都市には集積の利益とともに過密の弊害がある。この外部不経済を取り込み、市場による問題解決を図れば、集積の利益を諦める必要はなかったはずだ。 1. 1960年、池田勇人内閣は国民所得倍増計画を閣議決定した。 国民所得倍増計画について 昭和35年12月27日 閣議決定 (1)計画の目的 国民所得倍増計画は、速やかに国民総生産を倍増して、雇用の増大による完全雇用の達成をはかり、国民の生活水準を大巾に引き上げることを目的とするものでなければならない。この場合とくに農業と非農業間、大企業と中小企業間、地域相互間ならびに所得階層間