前回は、「誇大なナルシズムの投影装置としての人形」と「共感と親和性の投影装置としての人形」の差異、後者の台頭に見る欲望への嫌悪と禁欲の精神が前傾化していく予感について述べました。 今回は、その社会傾向ゆえにいっそう際立つ、「バービーになりたい」欲望を実現した女性たちについて、ヴァレリア・ルカノワ、ブロンディ・ベネット、アンジェリカ・ケノバの三人の例をあげながら考えていきたいと思います。 無性でありたい女性 まずは、近年ネットで話題のリアル・バービーの代名詞である、ウクライナのヴァレリア・ルカノワから紹介します。 ずいぶんオーバーラインなアイメイクに細すぎるウエストと、重力を無視しはちきれそうな丸い胸、過去写真から自然に成長しているとは思いがたい顔と身体ながら、「胸を1回整形しただけで、他は整形していません」と表明しているヴァレリア・ルカノワ。70年代お色気SF映画のヒロインのような極めてタ
![バービー化したい女性たち。無性、無我、成熟の拒絶、「正しく健康な女性」から逃れること - messy|メッシー](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/837bd34ca34b9da95850ed602a8cbbb0a92c1fdf/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fmess-y.com%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2016%2F04%2Ftus0401.jpg)