PR誌「ちくま」6月号から文筆家/ゲーム作家の山本貴光さんによる、大澤聡『教養主義のリハビリテーション』(筑摩選書)の書評を転載します。人文学を中心とした教養がいまこそ必要なのはなぜか、平易に解説します。 「教養」と聞いてなにを連想するだろうか。例えば一九八〇年代のいわゆるニューアカデミズム・ブームで、なんの役に立つかと関係なく現代思想を面白がった人と、大学で自分の専門に関係のない教養科目は無駄だと感じた人とでは、印象もおおいに違っているはずだ。 少し長い目でこの百年ほどの歴史を振り返ってみても、社会や技術を含む環境は大いに変化してきた。そうした中で教養もさまざまに形を変えてきた。『教養主義のリハビリテーション』という書名は、かつての教養を尊ぶ気風がいまでは廃れたという診断を反映している。そこからどう回復できるかというわけだ。 著者は大澤聡さん。『批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇』
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