牛に引かせた移動用の車「牛車(ぎっしゃ)」や、とばりのある寝台「御帳台(みちょうだい)」など、平安時代の生活空間にあった物にスポットライトを当てた。歴史学の成果を踏まえた解説と合わせて、その物が文学作品などに登場する場面を数多く紹介する。 例えば、『源氏物語』で光源氏の正妻・葵(あおい)の上と長年の愛人・六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)、それぞれの牛車の一行が見物の場所を巡ってトラブルになる場面。要所の原文と現代語訳を併記しながら、惨めな思いをさせられる六条御息所の心情をたどる。山本さんは「古典文学の中に表れる物には、それにまつわる人の思いが込められている。知識だけじゃなく、思いを読み取っていただけたら」と話す。 とりわけ伝えたかったエピソードの一つが、「物への書き付け」として取り上げた平安末期の日記文学『讃岐典侍(さぬきのすけ)日記』の一場面。病のため二十九歳で崩御した堀河天皇に仕
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