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2023年2月5日のブックマーク (5件)

  • <書く人>「思い」読み取って 『古典モノ語り』 京都先端科学大教授・山本淳子さん(62):東京新聞 TOKYO Web

    牛に引かせた移動用の車「牛車(ぎっしゃ)」や、とばりのある寝台「御帳台(みちょうだい)」など、平安時代の生活空間にあった物にスポットライトを当てた。歴史学の成果を踏まえた解説と合わせて、その物が文学作品などに登場する場面を数多く紹介する。 例えば、『源氏物語』で光源氏の正・葵(あおい)の上と長年の愛人・六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)、それぞれの牛車の一行が見物の場所を巡ってトラブルになる場面。要所の原文と現代語訳を併記しながら、惨めな思いをさせられる六条御息所の心情をたどる。山さんは「古典文学の中に表れる物には、それにまつわる人の思いが込められている。知識だけじゃなく、思いを読み取っていただけたら」と話す。 とりわけ伝えたかったエピソードの一つが、「物への書き付け」として取り上げた平安末期の日記文学『讃岐典侍(さぬきのすけ)日記』の一場面。病のため二十九歳で崩御した堀河天皇に仕

    <書く人>「思い」読み取って 『古典モノ語り』 京都先端科学大教授・山本淳子さん(62):東京新聞 TOKYO Web
    hharunaga
    hharunaga 2023/02/05
    「一つは、今は消えてしまった昔の物、という珍しさ。もう一つは、しかし、人間の思いというのは変わらないという普遍性。二つの面白みを味わっていただける」。笠間書院。
  • <書評>『十二支外伝』福井栄一 著:東京新聞 TOKYO Web

    著者は上方文化評論家。二〇二〇年に十二支の動物の妖しい話を集めた『十二支妖異譚』を世に送り出した。今回は十二支からもれた動物たちの不思議な話を『古事記』『日書紀』から説話集、随筆、旅行記、浮世草子に読まで古典を渉猟して抽出した。彼らが夜な夜な夢枕に立って執筆を催促し、おちおち眠れなかったそうだ。そんな「まえがき」から始まる書は、気楽に楽しみたい。 十二支に入り損ねた動物と言えばである。まずは「の章」から幕は上がる。とくれば犬といきたいところだが、こちらは前掲の『十二支妖異譚』でどうぞ。さらに「里獣の章(いたち、かわうそなど)」「熊狼(おおかみ)の章」と続いて、最も充実している「狐狸の章」になだれ込む。 「を狂わせる術」や「鼠(ねずみ)に咬(か)まれたら、の涎(よだれ)を塗ると治る」など、真偽はともかく、ちょっと気を引く小話が盛りだくさん。酒席で披露したい気の利いたジョークっ

    <書評>『十二支外伝』福井栄一 著:東京新聞 TOKYO Web
    hharunaga
    hharunaga 2023/02/05
    “十二支に入り損ねた動物と言えば猫である。まずは「猫の章」から幕は上がる”。評:内藤麻里子。ほかに、「狐狸の章」「里獣の章(いたち、かわうそなど)」「熊狼(おおかみ)の章」その他があるという。工作舎。
  • <書評>『山の今昔物語』工藤隆雄 著:東京新聞 TOKYO Web

    グランピングやソロキャンといった言葉が巷(ちまた)を賑(にぎ)わしている。バブル期以来のキャンプブームの再来である。人びとは無意識のうちに自然とのわずかなふれあいを求めている感がある。それは日常に横たわる重い空気、自分の力で抗しきれないあまりにも大きすぎるコロナという空気に抱かれている、その自覚の現れかも知れない。澱(よど)みなく、濁りない、清らかな空気を求めての小さな抵抗。 加えてここ数年、異界としての山や森の世界が急激に浮上してきている。その現れの一つが書のような異界空間での体験や伝承を語り伝える物語の多出であろう。 書は「今は昔、…………となむ語り伝えたるとや」という決まり文句で時代の世相や不思議の語りを集めた古典『今昔物語』を模して、現代の伝承、人びとによって語られた異界としての山の語り集である。全体で十章八十六話が収められている。

    <書評>『山の今昔物語』工藤隆雄 著:東京新聞 TOKYO Web
    hharunaga
    hharunaga 2023/02/05
    “「今は昔、…………となむ語り伝えたるとや」という決まり文句で時代の世相や不思議の語りを集めた古典『今昔物語』を模して、現代の伝承、人びとによって語られた異界としての山の語り集”。評:田口洋美。
  • <書評>『シチリアの奇跡 マフィアからエシカルへ』島村菜津 著:東京新聞 TOKYO Web

    シチリアマフィアといえば、映画『ゴッドファーザー』だ。フィクションだとわかっているつもりでも、もの悲しいメロディと共に「美学のある悪」というイメージが脳に染み付いている。現実のマフィアはどうなのか。 マフィアのルーツは中世から続く秘密結社というのは都市伝説に過(す)ぎず、実は歴史は案外浅い。封建制社会から近代国家へと移行する過程で、労働者を安い賃金で管理したり、農産物を運ぶ際に私的護衛をつけるために生まれたのだという。時期としては一八六一年のイタリア統一以後のこと。以来大戦を経て大企業や政治家と繋(つな)がり、暗躍する。 書の前半ではマフィアと戦い殺された人々を、反マフィア活動を展示した施設と共に紹介。爆殺、誘拐、遺体を酸で溶かす、などなど身も凍るエピソードが満載で、しかも田舎らしい人間関係の狭さの中で多くの人が犠牲になった。恐ろしくて沈黙せざるをえなかった人がほとんどだったろう。それで

    <書評>『シチリアの奇跡 マフィアからエシカルへ』島村菜津 著:東京新聞 TOKYO Web
    hharunaga
    hharunaga 2023/02/05
    「著者がずっと追い続けてきたあるべき食の形が社会正義と直結するのはわかっているつもりだったが、時として命懸けとなるとまでは思い至らなかった」。評:内澤旬子。新潮新書。
  • 「目で覚える 動きの美術解剖学」書評 身体の多様な表情汲み取る知性|好書好日

    「目で覚える 動きの美術解剖学」 [著]ロベルト・オスティ ギリシャ彫刻の傑作の一つである神官・ラオコーン。制作時期は、紀元前2~紀元1世紀とされる。ラオコーンの表皮を剝(は)いだと仮定すると、その下から精密な解剖図が現れるという。上腕二頭筋の下にある小さな筋肉「烏口腕筋(うこうわんきん)」まで再現されているのだから驚きだ。 人体解剖が積極的に行われるのは14~16世紀のルネサンスである。しかし紀元前のギリシャ彫刻家は、それ以前から皮膚下の様相を正確に理解していた。彼らも解剖を行っていたのか? 真実は闇の中だ。 「解剖」と聞くと、すぐに医学を予想する。しかし、書を通じ気付いた。解剖は医学だけのためにあらず。走ったり、笑ったり、考えたりする時、身体はそれに合わせた表情をとる。解剖とは、身体の多様な表情を誠実に汲(く)み取るための知性であり、私たちをあっと驚かせる芸術も、その基の先に生まれ

    「目で覚える 動きの美術解剖学」書評 身体の多様な表情汲み取る知性|好書好日
    hharunaga
    hharunaga 2023/02/05
    「ギリシャ彫刻の傑作の一つである神官・ラオコーン。…表皮を剝いだと仮定すると、その下から精密な解剖図が現れるという」。評:磯野真穂。著:ロベルト・オスティ。パイインターナショナル。