東北をあらわす「陸奥」の元の意味は「道の奥」。「ミチノオク」とカタカナにしてみると「未知の奥」という意味合いも感じられる-。仙台市在住の私小説作家は、今回の作品のタイトルについて扉で解説している。 自身も被災した2011年の東日本大震災以降、水辺の災害の記憶をたどる旅を続けてきた。19年の『山海記(せんがいき)』では、十津川村(奈良県)を訪ねつつ東北に思いをはせた。「正面から東北の被災を書くには早すぎた。時間を経て、今度はいよいよ自分の生まれた場所を書こうかと思いました」と話す。還暦を迎える前後に重ねた旅をもとに私小説的な「紀行小説」に仕上げた。
![<著者は語る>私を通して書く「未知の奥」 『ミチノオク』 作家・佐伯一麦(かずみ)さん(64):東京新聞 TOKYO Web](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/a2aaf4d13d3f684cbb633aa1ebb2c96bd5a5a907/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fstatic.tokyo-np.co.jp%2Fimage%2Farticle%2Fsize1%2Fe%2F9%2F9%2F7%2Fe997df9634bde82a853718ed06254d04_1.jpg)