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2023年4月23日のブックマーク (3件)

  • <書評>『地霊を訪ねる もうひとつの日本近代史』猪木武徳 著:東京新聞 TOKYO Web

    旅先で古(いにしえ)に思いを馳(は)せ、歴史の深層にふれる喜びは何ものにも代えがたい。書はそんな期待に応える紀行エッセイ集である。経済史や経営史の知見を盛り込み、列島各地の鉱山跡地に「もうひとつの日近代史」の姿を探る。人と土地とが交錯する行路の妙に、旅心が疼(うず)く。 経済の土台となった金、銀、銅をはじめ、工業化を支えた鉄鉱石や石炭は、いずれも地底から掘り出された。地上の繁栄を支えながら、忘れ去られた地下を探る先に著者が聴くのは、地霊の声だ。 紀行の色調は、山作兵衛が地底を描いた『筑豊炭坑絵巻』のように明るい。美味(おい)しさの記憶は意外に薄いと著者はいうが、東京土産と思われがちな饅頭(まんじゅう)「ひよ子」は炭都・飯塚が発祥地で、直方(のおがた)の銘菓「成金饅頭」が石炭に絡むと示唆するなど、文化に息づく地霊の気配にも目配りを欠かさない。筑豊三都のもう一角、田川の羊羹(ようかん)

    <書評>『地霊を訪ねる もうひとつの日本近代史』猪木武徳 著:東京新聞 TOKYO Web
  • <書評>『映画のタネとシカケ』御木(みき)茂則 著:東京新聞 TOKYO Web

    映画は言葉ではなく映像がすべてを伝える。ベテランの映画カメラマンが、十一映画のすぐれたシーンをA4判の大きな判型に、多色刷りのイラストと平面図を駆使し、スクリーンサイズの選択、カメラの位置と動き、光の方向など映像に込められた緻密な工夫と現代の映画技法を解き明かす映画である。 例えば、『ジュラシック・パーク』の要のシーン、孵化(ふか)寸前の恐竜の卵が置かれた遺伝子研究室での期待と不安をはらむ一分足らずに、テクノロジー過信と生命倫理軽視への警鐘のテーマを、スピルバーグはどう忍び込ませたか。 『パラサイト 半地下の家族』で、上流階級に対する下層社会の反感、羨望(せんぼう)、憎悪は一瞬のワンカットにどう描かれたか。『透明人間』の見えない存在感、『ラ・ラ・ランド』の高速道路のダンスシーンの美しさ、『羊たちの沈黙』の残酷シーンの節度はどこにあるか……。

    <書評>『映画のタネとシカケ』御木(みき)茂則 著:東京新聞 TOKYO Web
  • 忍者はなぜ黒装束なのか 学際研究が示す本当の姿 活字の海で - 日本経済新聞

    頭まですっぽり黒装束で身を包み、手裏剣をシュシュッと投げ、人間離れした秘術で敵を打ち負かす――。そんなイメージの背後にある忍者の当の姿を、歴史的な資料から解き明かす試みが盛んになっている。忍者を正面から学問の対象にし、実像の解明をリードしているのが、三重大学の山田雄司教授を中心とする研究チームだ。その成果をとりまとめた『忍者学大全』(山田編、東京大学出版会)が発売された。「ひとつの学問分野

    忍者はなぜ黒装束なのか 学際研究が示す本当の姿 活字の海で - 日本経済新聞