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  • <書評>『酒を主食とする人々 エチオピアの科学的秘境を旅する』高野秀行 著:東京新聞デジタル

    少々不便でも、日よりも気楽に楽しく暮らせるところはないだろうか。そんな思いに囚(とら)われたら、高野秀行氏のを開く。 誰も行ったことのない未知の場所を訪ね歩くことを標榜(ひょうぼう)する著者は、これまでも重箱の隅ならぬ地球の隅をつつくようにして誰も知らない国家や地域を訪ね歩き、紹介してきた。

    <書評>『酒を主食とする人々 エチオピアの科学的秘境を旅する』高野秀行 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/30
    “トラブルが発生するのだが、これが猛烈に面白い。調査研究やドキュメンタリー映像では「失敗」として切り捨てられる出来事までもが、著者の筆にかかるとその土地ならではの現象として開陳されてゆくのだ”
  • <書評>『増補新版 終戦と近衛上奏(じょうそう)文 アジア・太平洋戦争と共産主義陰謀説』新谷卓(あらや・たかし) 著:東京新聞デジタル

    敗色濃い昭和20(1945)年2月に、元首相の近衛文麿が、昭和天皇に早期和平と共産革命への警戒を直接訴えたのが「近衛上奏文」である。昭和天皇の容(い)れる所とはならず、戦争はあと半年続いた。 吉田茂も関与した「上奏文」は空疎な妄想なのか、「アカ」をめぐる陰謀論なのか。書は、近衛の中で、上奏内容が形成される過程を丁寧に、詳細に検討していく。

    <書評>『増補新版 終戦と近衛上奏(じょうそう)文 アジア・太平洋戦争と共産主義陰謀説』新谷卓(あらや・たかし) 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/30
    “近衛文麿が、昭和天皇に早期和平と共産革命への警戒を直接訴えたのが「近衛上奏文」…。本書は「『陰謀論』の歴史的な事例研究」としても書かれた。陰謀論の解毒剤としても…”
  • <書評>『政策の哲学』中野剛志(たけし) 著:東京新聞デジタル

    大変なである。現役の経産官僚で思想家の著者が、近年の日の国家政策は「疑似科学的なドグマ」に導かれていて的外れが多く、来たるべきグローバルな複合危機には対応できないと叫んでいる。 日だけでもない。今や主要国の政策が裏付けとする主流派経済学は、新自由主義そのものだ。規制緩和や民営化、貿易・資移動の自由化等々を絶対視する思想に、各国政府はおろか中央銀行や国際機関、チェック機能としてのジャーナリズムまでもが、囚(とら)われきった感がある。 書によれば、しかし、主流派経済学は「科学」とは似て非なるものであるという。経済活動には通常、貨幣が不可欠なのに、主流派の「一般均衡理論」が想定するのは物々交換の世界だし、自由貿易の意義を説く「比較優位の原理」ときたら、「世界には二国、二財、一つの生産要素(労働)のみ存在する」「常に完全雇用」「運送費はゼロ」など、非現実的な仮定がなければ成立しない代物だ

    <書評>『政策の哲学』中野剛志(たけし) 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/30
    “主流派経済学は「科学」とは似て非なるものであるという。経済活動には通常、貨幣が不可欠なのに、主流派の「一般均衡理論」が想定するのは物々交換の世界だし、自由貿易の意義を説く「比較優位の原理」ときたら…
  • <書評>『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』橋本麻里、山本貴光 著:東京新聞デジタル

    の橋麻里氏は展覧会や美術館の企画にも関わる学芸プロデューサー。夫の山貴光氏は哲学や文学などについての文章を執筆。仕事でも私生活でもと切り離せない人生を送る2人が選んだのは、「のための家をつくる」ことだった。 湘南に土地を求め、建築家の三井嶺氏に設計を依頼する。そうして出来上がった<森の図書館>は、中心に1日の大半を過ごす「閲覧室」があり、その周りをずらりと棚が囲む。

    <書評>『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』橋本麻里、山本貴光 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/23
    「本書には<森の図書館>をつくるのにいくらかかったのかが記されていない。自分には真似できないと諦めがつくので、ぜひ公開してほしかった」。評:南陀楼綾繁。
  • <書評>『労働廃絶論』ボブ・ブラック 著:東京新聞デジタル

    友だちと山菜採りにいく。急斜面をよじのぼって山菜をとる。すってんころり。ときに転げ落ちて泥まみれ。ゲラゲラ笑う。またのぼってまた落ちる。それをなんども繰り返していると、われを忘れ、時間も忘れて夢中になる。もう玄人も素人もない。会社も肩書もなんにもなくなる。誰がどれだけとれたのかも関係ない。どうせこのあと、みんなでうのだ。独り占めもありえない。山は誰のものでもない。勝手に生えてくるものを、必要に応じてとればいい。上でもなく下でもなく、競争でも所有でもなく。ただその行為自体によろこびをおぼえる。それが遊びだ。 さて、書はボブ・ブラック『労働廃絶論』の新訳だ。1980年代に書かれたアナキズムの古典を、訳者ホモ・ネーモさんが文よりも長い、気合パンパンの解説をいれて、現代につなげている。最高だ。

    <書評>『労働廃絶論』ボブ・ブラック 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/23
    “「誰一人として労働すべきではない」。ここでいう労働とは「強制された苦役」のことだ。わたしの命じたことに従え。さもないと、食いっぱぐれて死ぬよ。恐怖を突きつけられて、…強いられる。苦痛だ”。評:栗原康
  • 事実はどこだ?ネットに流れる「クルド人批判」 記者が現場を歩き、投稿者に会って事情を尋ねた結果は:東京新聞デジタル

    埼玉県川口、蕨両市周辺に暮らすクルド人へのヘイトスピーチの温床になっているのがネット空間だ。街角で無断で撮影されたクルド人の写真や動画のほか、クルド人が交流サイト(SNS)に投稿した私的な写真などが無断転用されるケースが目立つ。子どもでも顔をさらされ、事実のはっきりしない中傷の言葉が並ぶ。こうした写真などにまつわる現場を歩き、当事者らに取材した。(森智之)

    事実はどこだ?ネットに流れる「クルド人批判」 記者が現場を歩き、投稿者に会って事情を尋ねた結果は:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/16
    後半の埼玉県戸田市議・河合悠祐(ジョーカー議員)の言動も酷い。杉田水脈もそうだが、こんな人物がなぜ議員になっているのか…。
  • <著者は語る>見上げれば幸せに 『こころにそっとよりそう 星空の話』 プラネタリウム解説員・永田美絵さん(61):東京新聞デジタル

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    <著者は語る>見上げれば幸せに 『こころにそっとよりそう 星空の話』 プラネタリウム解説員・永田美絵さん(61):東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/16
    “「天文学は人を謙虚にします。宇宙、地球を知ることは世の中を少しでも良くすると信じています」とほほ笑む”。イースト・プレス。
  • 杉田水脈氏を次は参院選に擁立…自民党の狙いは? 数々の差別発言、裏金に関与しても国会に戻したいワケ:東京新聞デジタル

    今夏の参院選比例代表で、旧安倍派の元衆院議員の杉田水脈(みお)氏(57)の擁立を決めた自民党。杉田氏と言えば、アイヌ民族や在日コリアンなどへの差別的発言を繰り返し、たびたび物議を醸してきた人物だ。議員としての資質を問う声もやまない中で自民党が杉田氏を公認した背景とは。(木原育子)

    杉田水脈氏を次は参院選に擁立…自民党の狙いは? 数々の差別発言、裏金に関与しても国会に戻したいワケ:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/11
    「自民の岩盤といわれる保守票を固める必要があった。同時に党内の保守派議員にも譲歩し、批判を抑えたいなど党内事情もあった」(泉宏)
  • 攻撃背景に植民地主義 パレスチナ問題の本を邦訳、出版 一橋大・鵜飼名誉教授:東京新聞デジタル

    イスラエルはなぜ1年3カ月にわたり、多くの犠牲をいとわずパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けたのか-。その背景には「植民地主義」があると、一橋大の鵜飼哲名誉教授(フランス文学)が主張している。昨年10月には、見解を同じくするカナダ在住のユダヤ教徒の歴史学者ヤコヴ・ラブキンさん=写真=がフランス語で著した『イスラエルとパレスチナ』を邦訳し、岩波書店から出版。紛争の原因を虚心に見極め、平和のために声を上げるべきだと訴える。 (林啓太) ユダヤ人は、ナチス・ドイツのホロコースト(大虐殺)の被害に遭った「弱者」とその子孫だと考えられがちだ。しかし鵜飼さんは「多くのユダヤ人がナチスの絶滅政策の犠牲になったのは、紛れもない事実」と強調した上で、19世紀末から今に至るユダヤ人側の「暴力の系譜」も指摘する。 19世紀の後半から20世紀初めにかけて、ロシアやポーランド、ウクライナでは、キリスト教徒らがユダヤ人

    攻撃背景に植民地主義 パレスチナ問題の本を邦訳、出版 一橋大・鵜飼名誉教授:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/09
    「パレスチナ人への差別を反省し、国家の前提としている排他的な民族観を根本から改めることが必要だ」「(『イスラエルとパレスチナ』著者の)ラブキンさんは、変化への鍵がユダヤ教の伝統の中にあるとみている」
  • <著者は語る>はぐらかしの背景に分断 『誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治』 言語哲学者・藤川直也さん(45):東京新聞デジタル

    「私の真意とは異なり誤解を招いたことは大変残念」「広く募ってはいたが募集はしていない」。政治家が口にする、言い訳になっていない言葉の数々。なぜ言い訳が通用するときとそうでないときがあるのか、なぜ別の意味にも受け取れる会話が成立するのか-。新著で言葉の質を考察した背景には、政治と社会への危機感がある。

    <著者は語る>はぐらかしの背景に分断 『誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治』 言語哲学者・藤川直也さん(45):東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/09
    「言葉の軽視が進んだ先にあるのは、本当に誤解だったときにそれを説明しても聞いてもらえない、言語コミュニケーションが成立しない社会だ。」
  • <社説>国際女性デーに考える 自己決定権実現に向けて:東京新聞デジタル

    トランプ大統領が1期目に連邦最高裁判事に保守派3人を任命。その後、最高裁は人工妊娠中絶を憲法上の女性の権利と認めた1973年の判決を覆しました。 中絶可否の判断は州レベルに委ねられ、14州では全面禁止に。このうち9州に住む女性はレイプ被害者でもほかの州に移動し、中絶手術を受けなければなりません。

    <社説>国際女性デーに考える 自己決定権実現に向けて:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/09
    “イタリアの世界的文学者、ダーチャ・マライーニさんはエッセー「堕胎に関する手紙」で、男性の家長が権限を持つ家父長制下では女性は従属物で、中絶は男性の力が強い社会の歴史的産物だ、と指摘しています。”
  • <書評>『一〇の国旗の下で 満洲に生きたラトヴィア人』エドガルス・カッタイス 著:東京新聞デジタル

    第2次世界大戦後、バルト3国の一つ、ラトビアで日中国の文芸文化の紹介に活躍した著者は、満洲(現中国東北部)に生まれ育った。文字通り「一〇の国旗の下で」過ごした前半生を回想したのが書だ。 1904年、勃発した日露戦争は、帝政ロシア支配下のラトビアから1人の機関士を満洲に呼び寄せた。ロシアが敷設した東清鉄道沿線の小さな村で23年、著者は機関士の息子として生まれた。3年後、父はハルビンに転勤。空に揺れていた中華民国旗は、やがて蔣介石国民党政府の旗に代わった。31年9月、著者はアメリカ国旗の立つYMCAギムナジウムの門をくぐった。ロシア正教の学校で、祝祭日には帝政ロシアの三色旗がはためいた。在留ロシア人と中国人子弟が大半、ユダヤ人やポーランド系などの生徒もいた。同じ9月、日の関東軍が満洲事変を画策。翌年にはハルビンの空に日の丸と満洲国旗が翻った。

    <書評>『一〇の国旗の下で 満洲に生きたラトヴィア人』エドガルス・カッタイス 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/02
    “様々な民族が出入りしたハルビンの日常…。著者は満洲を「二度と繰り返されることのない地球のすばらしい一郭(いっかく)」と呼ぶ”。評:鈴木貞美。作品社。
  • <書評>『遊びと利他』北村匡平(きょうへい) 著:東京新聞デジタル

    「遊びと利他」という書名に違和感を覚える人がいるかもしれない。確かにこの二つの言葉を架橋する世界観をまだ、私たちは持ち合わせていない。しかし、そこに書の独創性と革新性がある。 ここでの「遊び」とは単に楽しむことを意味しない。それは「学ぶ」ことであり、また、自分を生きることでもある。人はそれを真の意味における「遊び」のなかで会得していくと作者は考えている。 利他はもともと仏教の言葉で、「利益(りやく)」を他にもたらすことを指す。ただ、仏教では利他はしばしば自利利他といわれ、自己の救いと他者への救いが同時に生起することが強調される。作者も指摘するように一方的な利他は、世にいう「ありがた迷惑」に陥ることも少なくない。

    <書評>『遊びと利他』北村匡平(きょうへい) 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/03/02
    “利他は人と人の間でだけ生起するのか。…作者にとって「遊び」とは、人が「場」と新しくつながり直す契機にほかならない。そこに利他という出来事が生まれるのである”。評:若松英輔。
  • <書評>『イスラエルの自滅 剣によって立つ者、必ず剣によって倒される』宮田律(おさむ) 著:東京新聞デジタル

    こののタイトルは極めて衝撃的で挑発的な印象を与える。軍事的にも技術的にも強大でガザさらにレバノン、シリア、イランへの軍事行動を意のままに展開しているように見えるイスラエル、さらに米国の強力な支援を受けているこの国が、自滅の危機に晒(さら)されていると言っているからだ。しかしすべての現象において表の強さの裏には弱さが隠されている。その関係を立体的にみようというのが書の狙いだ。 ガザのパレスチナ人は筆舌に尽くしがたい人道的危機に直面してきた。しかし軍事行動を主導するイスラエル側にもその大きな反作用があっても不思議ではない。極右政治家が政権のキャスティング・ボートを握っている政治の歪(ゆが)み、イスラエル兵の間でも従来以上に広がる犠牲、人質解放より戦闘継続を優先する政策、次第に拡大する経済的負担の増大、米国など世界各地のユダヤ人の間に拡(ひろ)がるイスラエルの行動に対する違和感と反発、そして

    <書評>『イスラエルの自滅 剣によって立つ者、必ず剣によって倒される』宮田律(おさむ) 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/02/23
    「本書は力の絶頂にあるかのようなイスラエルが置かれている影の部分、それも増大しつつある影の部分に光をあてようとしたもの」。評:清水学。光文社新書。
  • <書評>『そこから先は別世界 妄想映画日記2021-2023』樋口泰人(やすひと) 著:東京新聞デジタル

    ママチャリでサンダルはいて「爆音ゴダール」に通った東京・吉祥寺のバウスシアターが閉館してから、もう11年たった。仲間はみんな、拠点を失ったboidの経営を心配したけれども、いつの間にかプロデュースする爆音映画祭は全国に広がり、樋口泰人はボヤキながら還暦をとうに過ぎても息災で、映画上映すらできないコロナ禍もなんとか切り抜けようとしていた。しかし、神様は残酷である。川上未映子が推薦文に「あらゆる失われ」と形容する通り、またまたとんでもないピンチが訪れた。 「盟友」青山真治が世を去り、「親友」中原昌也が瀕死(ひんし)の病で入院して、自身もがん宣告を受け手術し闘病生活へ。凶事は連鎖して襲いかかる。「満身創痍(まんしんそうい)」の記録は、深刻な事態や心情へ踏み込むのは繊細に避け、システムに包囲された社会の理不尽にときたま憤りつつ、乾いた筆致で綴(つづ)られる。「病院はまだ衝撃的にまずい」といわれれ

    <書評>『そこから先は別世界 妄想映画日記2021-2023』樋口泰人(やすひと) 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/02/16
    “「満身創痍(まんしんそうい)」の記録は…、乾いた筆致で綴(つづ)られる。しかし…、なぜか、明るい光の粒子が降り注いでいる”。評:風元正。boid。
  • <書評>『課税と脱税の経済史 古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論』マイケル・キーン、ジョエル・スレムロッド 著:東京新聞デジタル

    書評>『課税と脱税の経済史 古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論』マイケル・キーン、ジョエル・スレムロッド 著

    <書評>『課税と脱税の経済史 古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論』マイケル・キーン、ジョエル・スレムロッド 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/02/16
    “昔よく使われた一橋大学の財政学者、井藤半彌(はんや)の言葉では、財政とは「強制獲得経済」に他ならない”。評:根井雅弘。みすず書房。
  • <書評>『鬼谷子(きこくし) 全訳注 中国最古の「策謀」指南書』高橋健太郎 著:東京新聞デジタル

    漢文や中国文学は、ビジネスの世界ではあまり人気がない。ただ、数少ない例外は『論語』と『孫子』だ。とりわけ孫子は、兵法書であるだけに実務に直結しそうなイメージがあるためか、同書の名を冠したビジネス書は無数に存在する。もっとも、中国古典世界における戦略の書は『孫子』だけではない。日での知名度は高くないが、『鬼谷子』もそのひとつである。 高橋健太郎『鬼谷子 全訳注』は、上智大学大学院で漢文学を専門とした著者が、『鬼谷子』文の全訳に初めて詳細な解説を付し、さらに解題を加えた労作である。 かつて春秋戦国時代、各国がしのぎを削るなかでさまざまな思想学派が生まれた。合従連衡(がっしょうれんこう)、すなわち合従策(当時の最強国である秦以外の国で同盟を締結する策)を唱えた蘇秦や、連衡策(合従策を破るために秦が個別の国々と同盟を結ぶ策)を唱えた張儀らの名で知られる「縦横(しょうおう)家」もそうだ。縦横家は

    <書評>『鬼谷子(きこくし) 全訳注 中国最古の「策謀」指南書』高橋健太郎 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/02/09
    “合従策(当時の最強国である秦以外の国で同盟を締結する策)を唱えた蘇秦や、連衡策(合従策を破るために秦が個別の国々と同盟を結ぶ策)を唱えた張儀らの名で知られる「縦横(しょうおう)家」”の師。
  • <書評>『編むことは力 ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎあわせる』ロレッタ・ナポリオーニ 著:東京新聞デジタル

    編むことは力。まさにそれを体現して立つこのは、編み物について、その創世記から、フランス革命や世界大戦を辿(たど)る“歴史書”である。と同時に、エコノミストであり熱心な編み手でもある著者が、その祖母から受け継いだ編み物とその力を持ってして、困難と絶望のただなかから、人生を一目一目編みなおし、ふたたび立ち上がってゆく物語でもある。

    <書評>『編むことは力 ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎあわせる』ロレッタ・ナポリオーニ 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/02/02
    「女たちの歴史は…、いま、ここに、この本に書かれ、ここにあるんだ! ということに、私は記念碑的な感動を覚えずにはいられない」。評:小林エリカ。
  • <著者は語る>仮想の「別世」をつくった 『蔦屋重三郎 江戸を編集した男』 法政大学名誉教授・前総長 田中優子さん:東京新聞デジタル

    私たちは、自身を取り巻く現実が人生の全てだと思い込みがちだ。でも見方を変えれば、愉快で新鮮な別の現実が立ち現れてくる。書で迫った江戸時代の出版業者・蔦屋重三郎(1750~97年)の仕事を、「日常生活において『別世(べつよ)』をつくった」と評価する。

    <著者は語る>仮想の「別世」をつくった 『蔦屋重三郎 江戸を編集した男』 法政大学名誉教授・前総長 田中優子さん:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/01/26
    “(吉原での買春は)「『性』の部分だけを切り離して消費する人権侵害だった」。それでも、遊女を草花に見立てる重三郎のまなざしには「遊女の人柄や、人間としての全体への関心を感じる」”
  • <書評>『韓国、男子 その困難さの感情史』チェ・テソプ 著:東京新聞デジタル

    韓国の大統領・尹錫悦(ユンソンニョル)が逮捕された。混乱の発端となった「戒厳令」発令には大統領だけでなく、国防相など複数の人間が関係したとされる。報道された限り、全員男である。尹錫悦には、大統領選出馬の頃からジェンダー平等や家族政策を担当する国家機関「女性家族部」の廃止を公約に20代男性の人気を得るなど、反フェミニズムで支持層を築いた背景がある。件から韓国における男性性の問題を連想するのは、飛躍ではないだろう。 ジェンダーの議論はもちろん、現代韓国の社会情勢の背景にある精神性に興味がある人にすすめたい書籍が翻訳された。「韓国」と「男子」の間に打たれた読点が印象深いタイトルは原書を踏襲したものだ。驚くべきことに、2語をつなげて略した「韓男(ハンナム)」は「有害でクソな男性」を揶揄(やゆ)する俗語として、侮辱罪も適用されるほどだという。

    <書評>『韓国、男子 その困難さの感情史』チェ・テソプ 著:東京新聞デジタル
    hharunaga
    hharunaga 2025/01/26
    “日本による植民地支配、軍事独裁政権による弾圧、IMF危機と、「勝てなかった」記憶を継いできた男性たちが、ありえたはずの男性性への哀愁から、女性嫌悪を加速させていると分析”。評:ひらりさ。