カタルーニャ語 小さなことば 僕の人生スペイン北東部カタルーニャ州と日本の間に、橋を懸けようと奔走する人生だった。日本初のカタルーニャ語辞典を編(へん)纂(さん)し、カタルーニャ語で書かれた文学作品を紹介した。 本書は、銀行員からカタルーニャの専門家となった田澤さんの自伝であり、〈カタルーニャ学事始め〉とでもいうべきものだ。 「言語人口が600万人という〈小さなことば〉ゆえ、日本には専門的にやる人がいませんでした。それが幸いして、カタルーニャに関するさまざまな分野の仕事を手掛けることができました」 外国語を学習する際にビジネスに役立つかどうかを重視する風潮に対し、「ことばは役に立つから偉いというものではない」と異議を唱える。背景にある文化に魅力を感じ、より深く味わいたいという欲求こそが大切だと主張する。 カタルーニャ語はフランコ政権時代に禁じられ、人々は公の場ではスペイン語の使用を強制され