東京電力福島第一原発二十キロ圏で、被ばくした牛の世話を続けてきた福島県浪江町の「希望の牧場・ふくしま」が、今後どうしていけばいいのかを思いあぐねている。被ばくした牛に、家畜としての価値はない。牛を世話する人間も被ばくする。そこに意味はあるのか。悩みながらも、牛をどう生かすかの模索が続く。 (片山夏子) 福島第一まで十四キロ。希望の牧場からは、原発の排気筒や作業中のクレーンが見える。事故発生当時、ここにいた吉沢正巳代表(59)は、3号機の水素爆発のごう音を聞いた。自衛隊ヘリによる海水投下も目撃した。
【ウィーン共同】東京電力福島第1原発事故の健康への影響を調査している国連科学委員会は31日、放射性ヨウ素による周辺住民の甲状腺被ばく線量(等価線量)について、影響を受けやすい1歳児でも最大数十ミリシーベルトで、ほとんどが50ミリシーベルトを大きく下回ったとする推計を発表した。将来、事故による被ばくを原因とする「がん患者の増加は考えられない」とした。 委員会は事故当時、周辺住民が素早く避難したことで、被ばく線量が10分の1程度に減ったと指摘。放射性物質で汚染された食品の摂取が早い段階で防げたことも被ばくの低減につながったとした。
妊婦は生肉や生ハムを食べない方がいい。妊娠中に、生肉などについている寄生虫「トキソプラズマ」に感染すると、胎児の発達が遅れたり、脳神経系に障害が出たりすることがあるからだ。感染しても妊婦の症状自体は軽く、医師の危機意識が低いことも問題となっている。 (細川暁子) 東京都豊島区の歯科医師、渡辺智美さん(32)は、妊娠中に寄生虫「トキソプラズマ」に感染した。生後、長女(2つ)の感染も分かり、「先天性トキソプラズマ症」と診断された。長女は右半身に軽いまひがある。 二〇一〇年夏、結婚三年目で待望の妊娠。順調に経過し、妊娠六カ月からは胎動もよく感じていた。ところが妊娠九カ月で胎児に異常が見つかった。脳室が通常の二倍以上に拡大。母体の血液検査で感染が分かった。 トキソプラズマは哺乳類と鳥類に感染する単細胞の寄生虫。肉眼では見えない大きさで、卵はネコ科動物の腸管の中でのみ作られる。感染したネコのフンに触
十四日に亡くなった三国連太郎さんは一九五〇~六〇年代の日本映画黄金期に活躍。その後も「釣りバカ日誌」シリーズの社長役などで人々を魅了する一方、徴兵の経験から反戦の立場を貫いた。 「手がアップになるから爪の色を気にされていた」。三国さんは遺作「わが母の記」(二〇一二年)で老父を演じたが、原田真人監督は撮影時をこう振り返る。細部にこだわる三国さんらしいエピソードだ。 「釣りバカ日誌」を三本撮った本木克英監督は「三国さんの台本は書き込みで真っ赤だった」。せりふもどんどん変え、最良の表現を求めた。喜劇がいかに難しいか繰り返し語った。「『釣りバカ』は一本でやめるつもりだったが、喜劇の魅力にひかれていったようです」と言う。
旧制中学を中退し、伊豆の家を飛び出したのは十六歳の時だった。釜山で駅弁を売っていた時に日中戦争が始まった。次々と到着する臨時列車に、不安げな眼をした若い日本兵が詰め込まれてゆく▼数年後、徴兵忌避を図るも失敗。見送った兵隊と同じ道をたどった。八路軍に攻撃され、肥だめに一晩漬かって命拾いしたこともある。原隊を出発した千数百人の戦友のうち、半数以上が戦死した▼九十歳で亡くなった俳優の三国連太郎さんは、戦死者の犠牲の上に自らが立っているという引け目や責任感を背負ってきた人だった。その感覚は、どんな役を演じても通奏低音のように響いていたように思う▼俳優としての名声を確立した四十代の後半、足が宙に浮いているように感じて旅に出た。インドやパキスタンなどを三カ月間放浪し、広大な砂漠の中で人間はごみのような存在だと思い知らされる▼「大自然の中では、人間は河床の砂の一粒みたいなもので、私という個人の苦悩なんて
文部科学省は二十六日、二〇一四年度から使われる高校教科書の検定結果を公表した。東京電力福島第一原発事故を取り上げたのは、地理歴史や公民(政治・経済)、外国語などの教科書百三十二点のうち25・8%の三十四点。準備期間が少なかった前年度検定の二百十八点中十六点(7・3%)に比べ大幅に増えた。「脱原発すべき」と書いた教科書には検定意見が付き、記述を大幅に修正した。 検定意見を受けて記述を修正したのは、実教出版の公民(政治・経済)。 原発事故で「『安全神話』は完全にやぶれた」とし、使用済み核燃料などの処理技術が確立していないことにも言及。「新規の立地をとめ、災害危険地域と老朽化した設備の運転は停止し、脱原発すべきである」と書いた。 この記述に対し文科省は「誤解する恐れがある」と意見を付けた。文科省教科書課は「一つの考えを断定的に述べている」と説明している。 実教出版は「脱原発をすべきだとする国民
子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種を受けた東京都杉並区の女子中学生(14)が、歩行障害や腕のしびれなどの症状が出て一年三カ月間、登校できない状態だったことが分かった。無料接種した区は「予防接種の副反応」と認め、救済制度を設けて補償する方針。法定ではなく任意の予防接種で、自治体が独自に補償するのは異例。開会中の区議会で明らかになった。 ワクチンは三回接種する「サーバリックス」。母親によると、二〇一一年十月、区内の病院で二回目の接種を受けた直後からしびれなどの症状が出た。その後、歩行困難な状態になった。入院も二十日間に及んだ。今年一月には登校できるようになった。 厚生労働省によると、英社製のサーバリックスは〇九年十二月に販売開始。昨年八月末までに六百六十三万人が接種し、九百五十六人の副反応が報告され、うち一人が死亡している。症状は失神が多く、運動障害、手足の痛みなどもある。
首に掛けるだけでウイルスや菌を除去できる「空間除菌」効果をうたった「ウイルスプロテクター」を使用した人がやけどを負う事故が発生しているとして、消費者庁は18日、直ちに使用を中止することを呼び掛けた。 商品は金沢市の「ダイトクコーポレーション」が1月25日から販売。千葉県で幼児の胸の皮膚が化学熱傷でただれ重傷を負うなど、今月6日以降、6件の事故情報が寄せられた。既に国内で70万個以上、販売されており、厚生労働省が同社に自主回収を指導する予定。 プレート内に漂白剤に使われる次亜塩素酸ナトリウムの錠剤が包まれ、汗に触れると皮膚に刺激を与えるとみられる。
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