ブックマーク / sunaharay.hatenablog.com (9)

  • 地方政府の民主主義 - sunaharayのブログ

    このたび,初めての単著を出版させていただくことになりました。『地方政府の民主主義』という大仰なタイトルで,中身がタイトルについていっているのかは,読者の皆様のご高評にお任せしたいと思いますが,タイトルを思いついたときには,自分では20代のときに考えてきたのはそういうことだったのかな,と思ったものでした。大学院生のときに,指導教員の先生方から,「修士論文はなるべく大きめに構想したほうがよい,どうせ問題意識がそこを越えることはなかなかないから」と言われておりましたが,たしかにその通りで,自分では修士論文以来引きずった問題意識について,一応の答えを用意することになったのではないかと考えています。 内容は,付けていただいたオビのとおりで,「首長と地方議会からなる二元代表制の下で地方政府の民主主義は,どのように機能しているか」ということで,「予算配分,公共事業の見直し,新規課税の導入などの検討を通し

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  • 移行について - sunaharayのブログ

    最近,天川晃先生のこれまでの論文をまとめて読んでみたり,牧原先生の時評を読んだりして,強く刺激を受けたのだが,ここのところの特に政治学・行政学の研究者が考えるべき問題として,移行の問題というのが重要なのではないかという気がしてきた。まあそんなの当然だ,と言われるとそれまでなのだけれども,これまで明示的に「移行」が論じられてきたのっていうのは,僕はあんまり詳しくないが,マクロの体制変動論,みたいなやつが多かったのではないかと思う。特に経済学の分野では,少し前に共産圏の市場経済への移行を議論するということで,RolandTransition and Economicsとか,大学院生のとき周りが結構みんな読んでいたような気がするし,最近ではこの20年間のTransition Economicsのレビューのような書籍も出版されているらしい。 Transition and Economics: P

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    hidedayo
    hidedayo 2011/02/15
    transition managementに繋がる話だと読んだ。
  • 今年の○冊 - sunaharayのブログ

    もう2010年も暮れようとしていて,最近はTwitterに押されつつあるブログ界隈でも,いろいろと「今年の○冊」という紹介が多くて,興味深く読んでいるところです。僕も「今年の○冊」をやろうかなぁ,とも思ったのですが,読んでるの範囲があまりに狭すぎて面白くないので,印象に残ったを選ぶというよりも,印象に残ったのまとまりを紹介してみようかなぁ,と。 なぜだかよくわからないのですが,2010年は主に博士論文をベースとした,若手の政治学研究者が出したが非常に多かったのではないかと思われます。単なる印象というだけなのかもしれませんが,僕が研究を開始してからたぶん去年あたりまでは,博論をベースにした政治学研究者の単著ってそれほど数が多いわけではなくて,例えば戦前の政治史みたいに特定の分野で継続的に出版されているような印象がありました。それに対して今年は,明らかに現代政治(特に日政治)を扱って

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  • ネットと政策過程 - sunaharayのブログ

    僕は一応政治学の中でも政策過程論というのにも関心を持ちつつ研究していることになっていると思うわけですが,最近のソーシャルメディアの発展は,この政策過程論についても刷新を求めているような気がする。ブログやTwitterは,単に政策過程に一定の透明性(あくまで「一定の」)を与えるのみならず,政策過程における当事者の共通理解を促進して合意へと向かわせる可能性もあると思うし,反対にお互いの「好き嫌い」を増幅させることで,従来であればまとまり得るものですらまとまらなくなる可能性も出てくる。後者については,地方分権改革推進委員会を観察していたときにも思ったが,当事者がインターネットを通じて見えない「世論」のようなものを意識し始めると話がややこしくなる傾向はある。しかし,前者についてももう少し考えてみるべきかもしれない。 で,最近の観察対象である大阪の地方政治についてもインターネットが一定の影響を与えて

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  • 行政の執行過程研究 - sunaharayのブログ

    先日も少し触れたが,最近行政の執行過程に関する若手研究者の非常に興味深い著作が連続で出ている。行政の執行過程については,これまでなかなか研究がなされておらず*1,僕自身も行政学の講義では,政策のライフサイクルにおけるミッシング・リンクで…とか言ったりしてるわけだが,ここにきて執行過程についての興味深い研究が出てくるのは必ずしも偶然ではないと思われる。それは,地方分権が意識される中で(「進んでいる」というのは微妙かもしれないが),地方自治体がどのように実際の行政を執行しているのかが,ひとつの社会的な焦点になりうる状態が出現しつつあるからではないか。 行政上の義務履行確保と訴訟法務「強制する法務・争う法務」 作者: 鈴木潔出版社/メーカー: 第一法規株式会社発売日: 2009/10/20メディア: 単行購入: 2人 クリック: 26回この商品を含むブログ (17件) を見る行政法の実施過程―

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  • 政治学者のたそがれ?*1 - sunaharayのブログ

    昨日から微妙にアクセスが増えていたのでなんでかなぁと思ってたら,id:kihamuさんの政治学のたそがれ?というエントリにリンクが貼ってあったことによるらしい。エントリは興味深いと思いますし,一応政治学の関係者として名前とブログが出ていたので,お前が「政治学」を語るなんて◯十年早いと言われそうではありますし,僕もそのとおりだと思いますが少しだけ思ったことを。言い訳ちっくな話,普段ほとんど実名で好きなこと書いてるわけですが,関係ありそうな議論が出てると参加するのはやや躊躇しますねぇ。まあサクっと釣り上げられるのも仕事の一環ということで。 id:kihamuさんの当該エントリをざっとまとめると,まあこんな感じ。(1)ネットに政治学者(特にPolitical Scienceの専門家)はいない,(2)第一線で活躍する経済学者や社会学者がネット上で尖鋭な議論を交わしている,(3)誰もが政治を語りたが

  • 政治工学? - sunaharayのブログ

    ダイアモンドの,「若手学者が激論する!−経済学政治学・社会学のコラボレーションで日を変える」は,一応「若手学者」の端くれとしては興味を持って見ていたのだけど,一回目に続き二回目もなんだかなぁ…。これは「二大政党制はバラ色」っていうお花畑な主張と戦うのだろうか。まあそれは相当キツイ命題だろうから,検証したら違うっていうことになるのは同感だが,新しく「多党制はの方がバラ色かもしれない」っていう違うお花畑を作っても仕方がないのではないか。多党制は多党制で,拒否権をコントロールするのが難しくて政策決定が非常に現状維持的になりやすい,という問題をはじめとしたいくつかの難点があるわけだから,その辺にもちゃんと触れていくべきではないか。そもそも,最近の政治学の議論だと,政党制と選挙制度だけで権力の話をするのはいまやあまりに乱暴に見えるわけで,二院制や中央地方関係についての理解が外せなくなっている*1

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    hidedayo
    hidedayo 2009/10/30
    そんなに「政治工学」やってる人のいうことを,政治家は聞いてくれてると思うのかなぁ,ということ。小選挙区制は(~)やはりそのときの政治家の多数にとっての利益に合致したということではないか。
  • 千葉県知事選挙 - sunaharayのブログ

    千葉県知事の後継指名を受けた吉田平氏が立候補を表明したことで,千葉県知事選挙の構図がほとんど固まったらしい。朝日新聞の記事が丁寧にまとめている。この吉田氏を民主党が推薦する方向ということになり,当初,民主党主導で自民党と相乗りか,というかたちで擁立された白石真澄関西大学教授は,民主党部の相乗り禁止の指令によって民主党の支持は取りやめとなり,自民党の県議団が支持することになるらしい。ただ民主党が一枚岩で吉田氏を推し,白石氏は全く見ないかどうかはよくわからないところ。しかし一方の自民党もぐちゃぐちゃ。記事によれば基的には白石氏を推すようだが,一部は2005年に堂知事と接戦を演じた森田健作元衆議院議員を推し,さらに自民党県議から離党して出馬表明をしている西尾憲一県議もいる,と。 千葉県ではよくこういうグチャグチャの知事選挙が行われることがあり,2001年の選挙のときも迷走が続いた挙句自

  • よくわからない - sunaharayのブログ

    年末に入って,薬害肝炎の問題が連日メディアで取り上げられているものの,「一律救済」の意味がよくわからない。報道されるときにはなるべく注意深く聞くようにしているのだけれども,何をもって「一律」と呼ぶのかについて,どのくらい共通理解が存在しているのだろうか。というわけで,ちょっとだけ調べてみたことをメモ。 まず弁護団の提言を見ると,おそらく「血液製剤による肝炎患者(製薬会社推計で1万人)」が一律救済の対象であって,今回の「原告(160人)」の救済だけではダメだ,ということではないかと思ったりするのですが,そのすぐしたにはウィルス性の慢性肝炎の患者数が60万人存在して,その患者のための治療費自己負担分(年間?80万円)を政府が出すべきだ,という提言があります。どうやら,とりあえず僕が躓いているのは,「一律救済」の対象が,「血液製剤による肝炎患者」なのか,それとも慢性肝炎の患者全体なのか,というと

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