ブックマーク / traindusoir.hatenablog.jp (9)

  • ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(1) - 備忘録

    ※コメントいただいた点について、随時修正を行います。 いま、猪木武徳「戦後世界経済史」を読んでいるのですが、はしがきに次のような記述がありました。 滞っていた書の執筆に踏み切れたのは、中央公論新社の新書編集部の高橋真理子さんに「構成目次」をお渡ししてから七年の歳月が流れてしまったことにわれながら驚いたこと、昨年秋に偶然手にした米国の経済学者、ベンジャミン・フリードマン(Benjamin F.Friedman)のThe Moral Consequence of Economic Growth(Alfred A.Knopf, 2005)を読んで大きな刺激を受けたことが影響した。同書は、今時の金融危機の発生以前に書かれているが、経済成長とモラルの関係を取り上げており、経済学が、法学や倫理学、道徳哲学から枝分かれした学問であることを改めて想い起こさせてくれた。 戦後世界経済史―自由と平等の視点か

    ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(1) - 備忘録
  • ダロン・アセモグル「技術と不平等」──解題のようなもの - 備忘録

    ※「◆」以降を追記しました(12/25/08)。グラフを差し替えました(12/27/08) http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20081216/1229440307 これは、全米経済研究所(NBER;National Bureau of Economic Research)のホームページに掲載されているDaron Acemoglu“Technology and Inequality”(NBER Research Summary)の全文を訳したものである。オリジナルの論文には、このほかに脚注として、参照された論文が明記されている。 ここでは、この論文の内容を簡単に振り返るとともに、あわせて、我が国経済と不平等の現状と将来を考える上で焦点をあてるべきことは何かについて整理することにしたい。 技術革新と不平等の拡大 近年、多くの先進諸国で不平等(格差)の拡大がみら

    ダロン・アセモグル「技術と不平等」──解題のようなもの - 備忘録
    hidedayo
    hidedayo 2009/02/22
    "技術革新と不平等との関係を考える上で、技術革新を「内生的」にみることの重要性を示唆する"
  • 間宮陽介「ケインズとハイエク 〈自由〉の変容」 - 備忘録

    ケインズとハイエク―「自由」の変容 (中公新書) 作者: 間宮陽介出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1989/01メディア: 新書 クリック: 9回この商品を含むブログ (3件) を見る第1章 喪われた世界 功利主義者は、「善い」を快によって定義するのに対し、ムア倫理学では、功利主義の前提とする「善い」の定義可能性を否定。「善い」は、直覚に拠って、直示することに拠ってしかその内容は分からず、「...である」という形では定義できない。ムア倫理学では、「善い」をある有機的統一を成している全体である、とみるが他方で、理想を最大最高の善とし、その不可欠の要素として、人間の交わりと美的享受を挙げる。 ハイエク感覚論の特徴は、感覚を外部世界の刺激が与えた感覚器官への刻印とはみず、それが神経系により識別分別され、別の秩序に変換されたものとみる点。カントは、世界を人間精神の構成物とし、世界を構成する

    間宮陽介「ケインズとハイエク 〈自由〉の変容」 - 備忘録
  • 稲葉振一郎、立岩真也「所有と国家のゆくえ」(その1) - 備忘録

    所有と国家のゆくえ (NHKブックス) 作者: 稲葉振一郎,立岩真也出版社/メーカー: 日放送出版協会発売日: 2006/08メディア: 単行購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (56件) を見る まだ第1章読了段階だが、特に立岩氏の議論について、自分にとってなじみのない(或いは違和感のある)展開がでてくるので、取りあえずメモしておく。 まず、国家がなすべきこととして「分配」があり、その上で、各自に交換するだけの手持ちがある場合には、交換は有益とされる。この点については、稲葉氏の議論の中にも「所有が市場の前提」という言葉が出てくる。また、この所有に関する立岩氏の補足説明の中には、「誰が最初にどういうものを持ってていいってことになってんの、という問題こそが基的な問題」という発言がでてくる。これらの論点は、初期状態における手持ちの「資産」を所与として考える思考に慣れきっ

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  • 安達誠司「脱デフレの歴史分析 「政策レジーム」転換でたどる近代日本」(その1) - 備忘録

    脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日 作者: 安達誠司出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2006/05メディア: 単行購入: 4人 クリック: 68回この商品を含むブログ (26件) を見る第1章 基コンセプトとしての「政策レジーム」の重要性 経済政策の「レジーム」概念を明確にしたのは、T.サージェントであり、彼によれば「政策当局が、経済政策を遂行するに当たって選択する(経済状況の関数で表現される)ルールの体系」を意味する。経済政策のレジーム転換は、経済主体の属する経済圏の先行きに対する「予想」形成のパターンを変化させることで、経済主体の意志決定、ひいては経済行動そのものを変化させる。民間経済主体と政策当局者の「認識ギャップ」は、合理的期待形成学派では、経済政策遂行に対する信頼の度合い(例えば、明確なコミットメントの有無)に大きく依存。 戦前期の日の政策レジー

    安達誠司「脱デフレの歴史分析 「政策レジーム」転換でたどる近代日本」(その1) - 備忘録
  • 若田部昌澄「改革の経済学 回復をもたらす経済政策の条件」 - 備忘録

    改革の経済学 作者: 若田部昌澄出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2005/11/05メディア: 単行購入: 3人 クリック: 8回この商品を含むブログ (15件) を見る第1部 改革とは何か 経済学の2つの原則は、「人はインセンティブに反応する」と「ただのランチはない」。 年金の予算制約式は、(1人あたり年金支給額)={(現役世代人数)/(老年世代人数)}×(保険料率)×(1人あたり所得)。({ }内は、1+人口成長率と一致。)給付水準を維持するには、労働力人口を高めること、少子化対策は意味があるが、その政策効果は不確かであり、所得を増加させるためのデフレ対策がより望ましい。 生産性の向上を国の政策で実現するのは困難。もし可能であれば、社会主義の失敗はなかった。 出生率と1人あたりGDPの関係をみると、出生率はある所得水準までは下がっていくが、そこから先は安定する。(ブロダら

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  • 「超・世代論 橋爪大三郎×東浩紀」(読売新聞 01/05/06夕刊) - 備忘録

    東 僕は最近の階層化社会論は疑問に思っています。昔は、地の獲得にお金がかかったので、富の配分と知の配分は連動していた。ところがインターネットなどが発達した現在では、富の格差は必ずしも知の格差を意味しない。『動物化するポストモダン』で僕が言いたかったのは、現代社会では、ある領域で人間的に振る舞うことと、他の領域で「動物的」に生きることがひとりの中で両立してしまうことです。実際、ひきこもりニートが”下層階級”とは言えない。人間性と動物性が組み合わさった解離的な生活スタイルが、モザイク状に織りなすことで今の世界は作られている。こういう世界を分析するには、大変複雑な言葉が必要になります。 橋爪 そういう状況への対処法の一つが原理主義です。情報に勝手に優劣をつけ、単純に反応するようにする。政治では小泉さんや前原さんの手法がそれに似ている。 コメント 「富の格差は知の格差を表さない」傾向がかつて以上

    「超・世代論 橋爪大三郎×東浩紀」(読売新聞 01/05/06夕刊) - 備忘録
  • ブルーノ・フライ、アイロス・スタッツァー「幸福の政治経済学 人々の幸せを促進するものは何か」(その2) - 備忘録

    幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か 作者: ブルーノ S.フライ,アロイス・スタッツァー,沢崎冬日,佐和隆光出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2005/01メディア: 単行 クリック: 73回この商品を含むブログ (23件) を見る第7章 現行の政治経済プロセスと幸福の関係 左翼的な志向を持っている人は、インフレよりも失業に関心を注ぐ一方、右寄りの人は、失業率が上昇したときよりもインフレ率が上昇したときに、より大きな幸福度の低下を味わう。左寄りの人は、失業率1%ポイントの上昇の下で満足度を維持するには、インフレ率が1.8%ポイント低下することが必要であるが、右よりの人は、0.9%低下すればよい。 第8章 政治体制と幸福の関係 スイスの州別統計により、各州の民主的参政権に関する指数が幸福度に与える影響をみると、有意にかなり大きな影響を与えている。また、分析の枠外にお

    ブルーノ・フライ、アイロス・スタッツァー「幸福の政治経済学 人々の幸せを促進するものは何か」(その2) - 備忘録
  • ラスカルの備忘録 稲葉振一郎「「資本」論

    「資」論―取引する身体/取引される身体 (ちくま新書) 作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/09/06メディア: 新書購入: 5人 クリック: 50回この商品を含むブログ (100件) を見る第1章 「所有」論 ボッブズの考える「自然状態」が自然権と自然法が対立し合う「戦争状態」であるのに対し、ロックの考える「自然状態」では、自然法が成立しており、相手から奪うことで失われる機会費用が大きい。そこには、「世界の広さについての想定」というエコロジカルな条件の違い。ボッブズが想定しているような状況は、「成長の限界」に達したゼロサム社会とロックがモデル化した社会との中間にある(ゼロサム・マイナスサム社会では、私的所有、市場経済という仕組みがそもそもうまく働かなくなる)。また、ロック的な状況が必ずしも安泰というわけではなく、市民社会が何らかの理由で「成長の限界」に突き

    ラスカルの備忘録 稲葉振一郎「「資本」論
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