辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。 15,500,000 件と 333,000 件。 なんの数だかおわかりであろうか。インターネットで「せっく」の漢字表記である「節句」と「節供」を検索した数である。前者が「節句」、後者が「節供」のヒット件数である。 「せっく」とは、人日(じんじつ=一月七日)・上巳(じょうし=三月三日)・端午(たんご=五月五日)・七夕(たなばた=七月七日)・重陽(ちょうよう=九月九日)のことである。 インターネットでなぜわざわざこのようなことをやってみたのかというと、「節句」の表記がどの程度広まっているのか知りたかったからである。インターネット上の検索であるので、この数字をうのみにすることはできないが、想像以上に「節句」が使われていることがわかる。 それも無理もないことで、新聞