「〇〇周年」という言葉は、普通は企業などがマーケティング用に連呼する常套句だが、今年2018年はパーソナル・コンピューターの歴史上、こうしたセールスとは無縁だが、忘れてはならない重要な「事件」が起きて50周年という意味深い年だった。 「すべてのデモの母」 1968年12月9日、サンフランシスコ市庁舎脇のブルックスホールでは秋季合同コンピューター会議の年次総会(FJCC)が開催されていた。この会合で基調講演を行ったスタンフォード研究所(SRI)の研究者ダグラス・エンゲルバートは、1200人もの観衆が集まる暗いホールに設置された当時は珍しかった大型プロジェクターの前で、NLS(オンラインシステム)という奇妙な仕掛けのデモを挙行した。 彼の発明したマウスというデバイスで動くカーソルが、文字をその場でコピペしたりリンクを張ったり、ウィンドウという画面を開くのを見て、タイプライターのようなキーボード