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ブックマーク / daktil.hatenablog.com (47)

  • 『神様になった日』 - オネミリエ

    作品としての品質の問題はいろいろあるが置いておいて(ひなとの日々はそんなに楽しくなかったように思われるし、「ひと夏の思い出」って他の言い方ないのかよと思うし、Airの後継だとかゲーやバッドエンドの美学だとかいろいろ言えるのかもしれないが)、作品外の文脈に大きく依存する作品だと思う。 僕以外には全く必要のない情報で恐縮だが、結婚してよかったなと思うのは、例えば、休日とかにお互いに別の部屋にいて静かに過ごしていて、時折手を打ち鳴らして相手がいるか確認すると相手も手を打ち鳴らして応答するというようなとき、あるいは用はないけど単に顔を見に行って、5秒くらい一緒にいてまた戻るような、まったく意味ないやりとりがうまくいったときだったりする。恋愛とか大げさなものではなく、単に知っている他人の存在のぬくもりを確認するだけのような瞬間だ。あるいは、運動不足を解消するために腕立て伏せをやろうと思い立ち、

    『神様になった日』 - オネミリエ
  • 『天気の子』 - オネミリエ

    テレビ放映の録画を見た。せっかくなので何か感想を書いておきたいのだけど難しい。一番難しいのは、ストーリーやキャラクターの好悪というよりは、美術面のディレクションというか詩学のようなものだと思う。新宿を中心とする東京の風景があまりに写実的過ぎて居心地が悪い。特に作中に夥しく氾濫している様々な店やブランドの広告やロゴだ。僕たちの目は日頃から広告という視覚的暴力にさらされて傷ついていると思っている人間にとっては、アニメという物語作品に事あるごとに仕掛けられている広告は目の凌辱のようなものなのだが、それは新宿と舞台とする物語なら同時に自然な風景なので受け入れるしかなくて、非常に居心地が悪い。純粋な商業広告だけではなく、例えばJRの身近な駅の看板のロゴは通勤を思い出させてそれだけで疲労を与える。僕は通勤に新宿駅を使っているので反射的にそうなるだけで、地方の人とかならこの作品を見て東京の生活に憧れたり

    『天気の子』 - オネミリエ
  • エヴァは終わってない(シン・エヴァンゲリオン感想) - オネミリエ

    エヴァが終わった。終わったといってもいろいろニュアンスはあるだろうが、もう物語が完結して続きがなくなったという意味では終わった。今日ははじめから終わりを見届けるために映画館に足を運んだわけで、自分の中では終わらせたくなかったし、今でも終わらせたくない気持ちは残っているので、観劇するにあたって特に高揚感はなく、むしろ避けられない終わりを前に少し気持ちが沈んでいたと思う。エヴァを喪失するためにエヴァを観るというのはおかしな話だ。 エヴァを初めて知ったのは、大学1年か2年の頃、家庭教師のアルバイト先の中学生の男の子の部屋でマンガ版の1巻から3巻くらいまでを読んだ時だったと思う(男の子の姉が集めていたそうだ)。絵が繊細でなんだか難しそうな話だったので覚えていた。やがて家庭教師の期間が終わり、エヴァのことは忘れた。当時はまだ僕は自覚的なオタクでもなかった。次にエヴァに出会ったのは、テレビ東京で深夜に

    エヴァは終わってない(シン・エヴァンゲリオン感想) - オネミリエ
  • 和香様の座する世界 (75) - オネミリエ

    ビックリマンシールは僕が小学1~3年生くらいの頃に流行っていた気がする。大量に買ってチョコをゴミ箱に捨てる問題も話題になった直撃世代だった。一番かっこいいのはヘッドロココ。ホログラムの迫力があったのは魔肖ネロ。ググってみたら、他にもサタンマリアとか聖フェニックスとかシャーマンカーンとか懐かしい画像が出てきた。ヘッドシールのきらきらした背景装飾は、あの時代に子供だった自分には宝石のようにきれいだった。ビックリマンチョコはそんなにたくさん買った覚えはないし、買えるほどお小遣いがあったわけではなかったけど、気がついたら最終的には1000枚くらいはあったと思う。飽きた人からもらったりしたのかな。それも中学生の頃にはなくなっていた。 どこかから来て、どこかへと去っていった小さな神々たち。裏の変な説明文は全く意味が分からなくて、何かの呪文のように個々の単語から断片的に雰囲気を感じ取っていただけだった。

    和香様の座する世界 (75) - オネミリエ
  • [少女]ノラと皇女と野良猫ハート2 (75) 2017-12-31 - オネミリエ

    前作の感想は何だかやや中途半端なままになってしまい、その後、マルセルさん、残響さん、こーしんりょーさんとの討議(残念ながら中断)でも個人的に準備が不十分だったのだが、続編である作は期待したとおりの佳品だった(特に言葉と詩的イメージが元気なアイリスルート)。2017年にクリアしたのはわずか3作(+ロシア製1作)。2018年は積みゲーを崩すだけで、1も買うことすらなく終わる可能性もあるが、噛み締めてプレイしていきたい。とりあえずは聴き飽きなそうなOP曲とピアノアレンジ曲集にも感謝。 アイリス が好き、勉強が好き、絵を声に出して読み聞かせたときに立ち上がってくる場が好きなエクリチュールのパトリシア。彼女が目指すものと同じものに、別の入り口から近づいていくのがパロールのアイリスというとりあえずの対置。 −−ねぇってば、ねぇおぼえてる? おぼ? ねぇおぼ? 音声としての記憶は、固定するための

    [少女]ノラと皇女と野良猫ハート2 (75) 2017-12-31 - オネミリエ
  • [少女]サクラノ詩 (70) 2015-11-14 - オネミリエ

  • [少女]家族計画~そしてまた家族計画を~ (80)2015-09-30 - オネミリエ

    なんか細かいことは無視して真に受けたくなる。真に受けて引きこもりたくなる。きれいなお話じゃないですか。現実ってのはこんなに美しくないじゃないですか。少なくとも僕はこんな現実を築きあげることはできそうにない。でもこの作品は別にきれいなお話を読んで気持ちよく泣きましょうね〜といっているわけではなく、少なくとも表層的なメッセージとしては、「あんま期待すんな」、「利益のほうが大きいんだから多少のことは我慢しろ」と言っているわけで、そこから先で幸せを手にすることができるかどうかは運次第だという。司は自分が恵まれていたことを自覚して噛み締めていたし、だから周りにもその幸せを広げる努力をした。つとめ上げた。「つとめ上げた」なんて僕には言えそうにない言葉だ。 10年前に編をやったときの言葉のリズムはかなり忘れてしまった。作は何だか後の田中ロミオの文体のように思えて、その心地よさを堪能しつつ読み進めてい

    [少女]家族計画~そしてまた家族計画を~ (80)2015-09-30 - オネミリエ
  • [diary]超人になる女の子・・・元長柾木『荻浦嬢瑠璃は敗北しない』

    荻浦嬢瑠璃は敗北しない 作者: 元長柾木,目黒三吉出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2008/03/25メディア: 単行購入: 4人 クリック: 123回この商品を含むブログ (35件) を見る(ネタバレ注意) 作者自ら豪語するとおり、かなりの奇書になっている。『きみとぼくの壊れた世界』以来かも。未来にキスをからまた先に進んだというか、よく分からないけど、あのテーマをまだ捨てていなかったことがなんだか嬉しい。 それと同時に、エロゲー・ラノベ界隈で真面目なことをやってみることの業の深さもさらに際立ってしまったように思った。「革命」「打倒」「批判」「勝利者の王国」「死の欲動」・・・この手の言葉は、人文系の学術書とかで語られればちょっとガマン汁が出ているもののとりあえず普通の言葉としてきちんと収まり、ラノベの地の文で語られれば「中二病」的なカッコイイファンタジー設定の言葉として軽薄に響き、

  • [少女]驚きのギズモ:猫撫ディストーションが見せる目的論と因果論(2011年) 2015-09-23 - オネミリエ

    then-dさん主宰のtheoria発行『恋愛ゲーム総合論集』(2011年、C80)に寄稿させていただいた小文を公開します。then-dさんは丁寧にチェックしてくださったのですが、掲載稿のファイルが手元にないので他のものです。誤字等が残っているかもしれませんがご容赦ください。 8000字程度。内容に特にいじっておりません。的外れなことを書いたかもしれませんが、背伸びをしようとしていてかっこ悪いことを除けば、自分としてはそれなりに気に入っています。何かの通過点や痕跡に過ぎない文章ですが、意図したことと違う意味であっても、何か前向きなものを見出してもらえれば嬉しいです。お暇な方はどうぞ。 以前にも書きましたが、then-dさんなしにはありえなかった文章であり、改めて感謝を申し上げたいと思います。どうか安らかに。 あとがき 論集向けの文章なのに先行文献やライター陣の過去作にあたるのをサボりました

    [少女]驚きのギズモ:猫撫ディストーションが見せる目的論と因果論(2011年) 2015-09-23 - オネミリエ
  • [少女]Fate/hollow ataraxia (70) 2014-08-14 - オネミリエ

    Fate/stay nightの話をだいぶ忘れてしまった上に、かなり漫然とプレイしてしまって、申し訳ないけど理解しきれていないと思う。個々のフレーズにしてもそうだし、それ以外でも例えば、ライダー、ランサー、キャスター、葛木の回想があったけど、なぜいまさら語られたのか、「日常」を彩るためにキャラクターを膨らませるだけの装飾的でサービス的な要素だというのなら、何だかもったいない気がする話だったような(実現しない文化祭とかセイバーの編入とかも含め、舞台裏という位置づけだったのね…追記)。とはいえ、せっかくなので簡単な感想くらいは残しておく。 最近プレイしたギャングスタ・アルカディアでは、ループ構造を生きることを演劇の持つ再現性になぞらえて、個々の周回はその都度気で演じられるものであって、偽物ではない、だからループの中で味わう喜びは肯定すべきものだ、そしてループは解明すべき謎ではないという話が出

    [少女]Fate/hollow ataraxia (70) 2014-08-14 - オネミリエ
    highcampus
    highcampus 2014/08/14
    ギャングスタ・アルカディアへの言及が少々
  • [少女]ギャングスタ・アルカディア (60)2014-07-31 - オネミリエ

    前作の感想:http://d.hatena.ne.jp/daktil/20130811 選択肢にもあったけど、ループがあることが善いか悪いかという問題なのではなく、ループは一度生じてしまったらそれが存在しないような世界も想像させる可能性を生まざるをえない、反省的な代物であり、その意味において言語と同じようなものだ。勝手な思いつきだけど、ループが発生した7万年前は言語が発生した時期であり、共有ループと農耕が始まった1万5000年前は文字テクストが誕生した時期なのだろう。共有ループは、他人と同一の時間の流れを獲得する手段であり、つまり線的な歴史認識の共有を可能にする手段だ。ループ自体が反復を前提とした円環状のものであっても、ループから一緒に抜けることで結局は線的な時間感覚を身につける。歴史は文字テクストの発生によって誕生した。そして文字テクストは情報を蓄積する装置であり、情報を「記号」と「上演

    [少女]ギャングスタ・アルカディア (60)2014-07-31 - オネミリエ
    highcampus
    highcampus 2014/08/01
    "でもシャールカがはにかむとき、彼女は大人と子供の間にいる。叶の思いが、「彼女の中にある」からだ。" /ダメ出しが手厳しい。
  • [少女]Pretty x Cation (45) 2014-04-30 - オネミリエ

    エロゲーを海外では「デート・シム」ということがあるそうで、それを聞いたときには自分がパソコンでデートの練習をしているかのようなまとめ方に反感を覚えたものである。エロゲーが物語を失ったとき、残ったのはヒロインの出現先や趣味を追いかける作業という「ストーカー要素」と、ほとんどの行為が消費行動に帰結してしまう世界で従順な消費者として振舞うための効率的な指針としての「商品カタログ」だった。ヒロインとの距離を縮めるための胸躍る物語や深刻な問題が都合よく起こってくれるわけではない。「可愛いなあ」と思ったたらひたすらヒロインの出現先に足を運び、服を買ったりスイーツをべたりファッション誌を買ったり行楽地に出かけたりといったバカらしい消費行動で自分を成長させ、何かの偶然が起きてヒロインと仲良くなり、頃合を見計らって「好きです」「私もです」「今日[告白したその日]、泊まりに行ってもいい?」というそれなりにあ

    [少女]Pretty x Cation (45) 2014-04-30 - オネミリエ
  • Clover Heart's (65) - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    こうして美少女ゲームの感想を書くのもこれで200作目だそうだ。この世界を知ったのは確かFate/stay nightが出た10年前の冬だが、思えば遠くまで来たものだ。今ではもう、2ちゃんねるのいろんな属性スレを見て勉強することも、秋葉原の紙風船やソフマップを歩き回って宝探しをすることも、残念ながらほとんどなくなってしまったが、Erogame Scapeでいろんな方の感想を読むことは続いている。300目を書くことがあるとすれば、おそらく10年後くらいだろう。 中古屋に通い始めた10年前の時点ですでに、Clover Heart'sは安い割にはそこそこ評判のよいエロゲーだったと記憶しているが、泣きゲーやシナリオゲーとしての評価を期待できなければ基的にスルーしていた当時の自分は、なんとなく気にはしていたけど特にとがったところもなさそうなので後回しにしていた。その後、自分のエロゲーの楽しみ方は広

    Clover Heart's (65) - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe
  • [少女]ギャングスタ・リパブリカ (80) 2013-08-11 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    僕らの欲望を巻き取る戦闘美少女たち。一見すると未来にキスをの地点から後退したようで面倒にも思われるが、エロゲーにおいて悪をやろうとすると、かえって見かけは真っ当になるということか。 まずは第2部の論戦を中心に各ヒロインに関して。 ゆとりは、自らは動かずとも王としての資質で自然と人を動かすというキャラクターなため、人と言い合いをして言い負かすという論戦には向いておらず、その意味で不憫な役回りだった。人の言葉で見せるということがしにくい。自分個人で物事を切り開いていこうという独立心に乏しく、論戦では相手の痛いところに付け込む憎まれ役を演じていたので共感しにくい。ゆとりの魅力は、それでもいいから、策略でも何でも張り巡らせ、使える武器は総動員して実は必死に求めていたというところなのだろう。彼女にとって「悪」とは、軽はずみでゆるふわな自分の欠点を武器に転じるための、起死回生の手段だった。きれいな声

    [少女]ギャングスタ・リパブリカ (80) 2013-08-11 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe
    highcampus
    highcampus 2013/08/11
    "誰も絶対的に正しい者はおらず、ヒロインを選ぶ選択肢は正しいから選ぶのではなく、寄り添いたいと思うから選ぶことになる。"/Nice entry.
  • [少女]かみのゆ (65) 2013-07-20 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    この前久しぶりに見返したNieA_7に続いてまた銭湯のお話。エロゲーの中でしかまともな風呂に入らないような野蛮人なので風呂にまつわることをほとんど何も知らないのだが、「いいお湯でした」というときの「いいお湯」とはどういうものなのだろう。神様たちによると、主人公が入るとお湯がとろりと気持ちよくなるのだという。お風呂は疲れと汚れを落としてさっぱりするところなので、きれいな場所でないと気持ちよく入れないものだが、汚れを落とすところなので汚れがたまる不浄の空間であるとの考え方もあるだろう。唐突にロシアの話をすると、といってもバーニャと言われるロシアサウナ風呂などに実際に入ったことなどはない半可通だが、かの国では昔の農民はペチカと呼ばれる暖炉の中が風呂をかねていて、だから暖炉は家庭を守り火と煤を生み出す場所であると同時に、水と汚れにも結びついているような、民俗学的にいろいろな機能を果たす場所であっ

    [少女]かみのゆ (65) 2013-07-20 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe
  • [少女]向日葵の教会と長い夏休み (75) 2013-05-04 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    メーカーの先行作品をそれほどプレイしていないので勝手な解釈だけど、『素晴らしき日々』との連続性を何かと感じる作品だった。ひとつ挙げると、「それは、ささやかな――希望」というBGMで、これはすばひびの「夜の向日葵」のアレンジのようだった。日常の喜びを噛みしめるような明るい曲で、これが流れると「田舎の夏休み」という特権的でプレイヤーにとっては非日常的な安らぎの時間が、与えられた幸せなのだなあというありがたみが感じられて感慨深かった。またひとつ挙げると、感情を投影する対象としての向日葵の役割で、やはり作ではつらいときに見守り、癒し包んでくれるものとしての向日葵畑が、特に詠と雛桜の話では繰り返し繰り返し登場していて、象徴としての深みが出ていくのがよかった。また、空もすばひびのようなバロック的な恐ろしい空ではなく、海とともにどこまでもやさしく包む存在だった。「朧白」という架空の土地になぜこれほど作

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  • [diary]走る列車から跳びだして 2013-01-22 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    ツイッターで流れてきたリンクを何気なく開けてみたら、昔モスクワで話をしたことがある若手作家の人が何か書いていて、この人メディアによく出るようになったなあと思いつつ読んでみたら、最近オランダで自殺した反体制活動家の遺族に話を聞きにいったルポだった。去年の大統領選のときに派手な抗議運動をして当局から目をつけられ、オランダに亡命しようとしたら拒否されて絶望したらしい。そんなに興味ある話題ではないので最後まで読まずに閉じて、休日なのでだらだらしつつ惰眠をむさぼった。すると夢の中で朝の通勤電車にプーチン大統領が乗り込んできた。僕はプーチン氏の後ろにいたのだが、奥のほうから「あーあー」と(いーけないんだー、のイントネーションで)大声で言っている人がいて、プーチン氏が興味深げにしていたので、「あれは誰か人のせいにしようとしてわざとあんなふうな声を出しているのですよ」とロシア語で教えてあげた。プーチン氏は

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  • [少女]夏空のペルセウス (65) 2012-12-27 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    普段はあまり書かないようにしているが、まずは小言を少し。ワンアイデアの短編集程度のスケールなので時間の経過の中でヒロインとの物語を積み重ねることができなかった、というのはないものねだりになるか。技術的な部分では、目パチ口パクは絵の統一性を損ねて不自然なのでいらなかった、あるいは、やるならもっと洗練させる必要があると思った。あとは特にメタゲーでもないのにエンディングロールの最後にThanks for all playersと出すのはヒロインとの恋愛物語を楽しんできた自分が「多数のプレイヤーのひとり」という枠にくくられてしまうようで無粋に感じた。それから、透香とのエッチシーンで礼拝の序奏曲みたいな厳粛できれいな曲が流れるのはわざとらしかった。 透香:傷つけ合ってもたれあってそれから好きだという気持ちが残る。ただし台詞は説明し過ぎで、あやめシナリオのような控えめなところがなかった。ストーリーもご

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  • [少女]Garden (80) 2012-11-11 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    キャラクターとしてはあざみんが、物語としての構成のよさでは小夜シナリオが一番のお気に入りだけど、ここはやはり絵里香を中心に感想を書いておこう。一番強烈で、作品の異常さを最も良く表しているように思えるから。 絵里香シナリオ(声なし修正版のみプレイ)をやったのは一番最後で、声がなかったのはさびしかったけど、名プレイに違和感がなくなったのは嬉しいことだった。それまでの他のルートでは、名を入れても音声はデフォルト名で読まれるので、可能な箇所では主人公の名前が読み上げられるよりも先にクリックして、音声をカットしようと涙ぐましい神経を使ったりしていた。それでも読み上げられた場合には、表示される名前と音声が乖離するので軽く興が冷める一方で、「テクストは音声に逆らって僕に当の名前を告げてくる」というキモくて倒錯的な楽しみ方も出来た。絵里香シナリオでは音声がないのでようやく落ち着いて読み進められたが、

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  • [少女]わーすと☆コンタクト (75) 2012-11-04 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe

    読んでいて飽きないおもしろい文章だった。あえて大雑把に3つに分けると、1つめはテンポがよくて楽しい日常の掛け合い。声優さんたちもテキストや絵面の濃さに負けていなくてよかった。空と海がひとつながりになるような青さと明るい日差しとみかんの島、そのありえないような夏の開放感が同時にどこかはかなさも感じさせるのは、楽しいだけの日常なんて日常ではないという何かの機制が働いてしまうからか。よく出来たドタバタコメディの宿命みたいなものか。2つ目はサラサとの不条理な会話。これも声優さんがうまくて、日語が通じない人の信用できない感じがよく出ていた。誤訳を正すコードが何なのか、そもそもそういうコードがあるのかわからなかったけど、その不条理な流れをあの不条理な空間で追いかけているだけでも面白かった。作中でも言われていた通り、中途半端に通じてしまうのが問題で、不安定なコミュニケーションはこちらを振り回し、無駄な

    [少女]わーすと☆コンタクト (75) 2012-11-04 - オネミリエ Onemir’e Mnogotsvetnoe