日本の中央部に位置する愛知県で農業を営む岡本重明氏は、日本の農業制度とずっと戦い続けてきた。家業だった菊――天皇家の紋章――の栽培を止め、苺の栽培に切り替えたのは、菊栽培を続ける限り、農協(JA)から離れることができないからだ。農協は国を後ろ盾とする巨大協同組合で、日本の農業の多くに目詰まりを起こさせている*。岡本は、農協を通さずに販売することが可能な苺の栽培方法を学んだ。 だが政府は今では、農協と距離を置き、既存の制度に反旗を翻した岡本のような農家の言葉に耳を傾けるようになっている。安倍晋三首相は、日本経済再生計画の目玉の1つに「国家戦略特区」の新設を掲げている。岡本はこの戦略特区で進める農業改革の青写真を描く手助けをしている。 日本経済の再生計画は3つの柱(いわゆる「3本の矢」)から成る。第1の柱は金融政策だ。安倍首相は今年初め、長引くデフレから日本を脱却させるべく、日銀を促して「異次
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