生後6か月の赤ちゃんにハチミツを混ぜたジュースを飲ませたことで、乳児ボツリヌス症を発症してしまった事例が報告されました。ボツリヌス菌は、瓶詰や缶詰などの身近な食品で増殖して、食中毒の原因となります。ハチミツは、ボツリヌス菌を含んでいることがあるため、1歳未満の赤ちゃんに与えてはいけません。今回は、このボツリヌスについてのお話です。 ボツリヌス菌の重要な特徴として、酸素が嫌いだということが挙げられます。このため、ボツリヌス菌は、瓶詰めや缶詰、あるいは真空パックなど、空気に触れにくい食品で増殖しやすいのです。さらに、酸素のある環境では芽胞(がほう)という、ヒマワリの種のような殻に覆われているのですが、低酸素状態になると発芽し、強力な毒素をつくるのです。 ボツリヌス菌の毒素は神経に作用し、ごく少量でも呼吸に必要な筋肉を麻痺(まひ)させます。わずか500グラムで人類を滅ぼすこともできるといわれ、