先週、ボストンカレッジの入学式で行なわれたバーナンキの演説が話題をよんでいる。彼は「きょうは金融政策については何も話さない」と前置きして、次のように語る(Murray Hill Journal訳):天気予報がそうであるように、経済予測というものも、極めて複雑なシステムやランダムに発生するショックと対峙せねばならず、我々が持っているデータや理解は常に不完全であると思い知らされる。見方によっては経済予測は天気予報よりも難しいかもしれない。なぜなら、経済というものは物理学の法則にしたがって行動する分子の集合体ではなく、おのおのが未来を考えおのおのが独自の予測に影響されて行動を起こす人間の集合体であるからだ。人間の行動が、脳という地球上でもっとも複雑なシステムによって決められる以上、その複合である経済の動きが単純な関数関係として表現できるはずがない。そう表現しないと分析できないことは確かだが、脳を