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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (50)

  • 解雇規制緩和はジョブ型雇用とセットでなくては機能しない

    仕事を標準化すること、高度な業務のスキル教育を実現することが条件となる> 解雇規制緩和の議論が始まっています。この議論ですが、来であれば、バブル崩壊後の変革期に始まっても良かったのです。少なくとも1990年代において、電算化と国際化の中で、対応のできない人材を別の分野に適正化させる一方で、新しい世代の若い労働力に入れ替える必要があったのです。仮にそうなっていたら、これだけの超長期にわたって日経済が衰退することもなかったと考えられます。 では、解雇規制を緩和して、企業の社内も、また労働市場も完全に実力主義にしていけば、それが全体最適なのか、問題は単純ではありません。日型雇用の硬直した制度が改革されさえすれば、全体が成長してゆく中で個々人にもトリクルダウンと機会の拡大という恩恵があるのかというと、そう簡単ではないのです。解雇規制の緩和を成功させるのには、どうしても一つの条件が達成されな

    解雇規制緩和はジョブ型雇用とセットでなくては機能しない
  • ブラジルに続く?...「X」即時停止命令は他国にも広がるのか EU高官は「禁止もあり得る」と警告

    イーロン・マスクとブラジル当局の数カ月にわたる緊張状態の末、ブラジル全域で「禁止」されることになったX(旧ツイッター)。各国で規制が進むが、停止命令を出す国は出てくるのか──> ブラジルの最高裁判所は8月30日、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に対し、同国内でのサービスを即時停止するよう命じた。こうした禁止措置が他の国、とりわけアメリカと欧州でも取られる可能性はあるのだろうか。 ブラジル最高裁は電気通信事業を規制する政府機関に対して、2億1200万人が住むブラジル全域でXをシャットダウンするよう命じた。Xが裁判所命令違反を繰り返し、ヘイトスピーチと偽情報を拡散させたことを理由として挙げている。 停止命令は8月31日に実施されたが、その日に至るまでの数カ月間、Xを所有するイーロン・マスクとブラジル当局の間では、コンテンツモデレーション(投稿コンテンツの監視・排除)の取り組みを巡って緊

    ブラジルに続く?...「X」即時停止命令は他国にも広がるのか EU高官は「禁止もあり得る」と警告
  • コロナ後遺症ここまで分かった...「感染時は軽度」が90%以上、倦怠感から心不全まで影響は200以上

    <今年前半に出た報告書や科学論文によって、この複雑な慢性疾患の解明が進んだ。かかる確率は以前より下がったが、何年にもわたり複数の身体機能に健康影響を引き起こす可能性もあり、決して油断はできない> 2020年以降、新型コロナウイルスの後遺症は世界中で大きな問題になっている。何百万人もの人々の健康や生活の質(QOL)に影響を与えただけでなく、労働生産性や労働力全体の低下をもたらし、経済に数十億ドルの損失をもたらしてきた。 コロナ後遺症は科学的にもかなり注目されており、これまでに2万4000以上の論文が発表されている。人類史上、4年間でこれほどまでに集中的に研究が行われた健康状態は他に例を見ない。 SARS-CoV-2ウイルスへの感染によって引き起こされる、長期的な健康への影響の総称が新型コロナウイルス後遺症(long COVID)だ。 息切れなどの長期的な呼吸器症状から、衰弱性疲労やブレイン

    コロナ後遺症ここまで分かった...「感染時は軽度」が90%以上、倦怠感から心不全まで影響は200以上
  • 「未完の代名詞」サグラダ・ファミリアが工事開始から140年以上を経て完成へ

    6つの中央塔の最後の1つ「イエス・キリストの塔」は高さ172.5メートル。2026年の完成を目指してリープヘル社のクレーン2台が作業を続けている LIEBHERR <ガウディの描いた夢が最新技術の力でついに現実へと近づいている。完成時期の見込みと残された最後の課題とは?> 140年以上も建設が続いているスペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア聖堂。その完成がついに視野に入ってきた。 カタルーニャの偉大な建築家アントニ・ガウディが設計したこの驚くべき聖堂(バシリカ)は、ゴシック様式とアールヌーボー様式を融合させたもので、地上で最も美しい建築物の1つとの呼び声も高い(イギリスの作家ジョージ・オーウェルは世界で最も醜いと評したことがあるが)。 現在は世界的建設機械大手リープヘル社製のクレーン2台を駆使して、完成予定の2026年に向けて順調に工事が進んでいる。 23年11月には4つの「福音書記者

    「未完の代名詞」サグラダ・ファミリアが工事開始から140年以上を経て完成へ
  • 「ガラパゴス音楽」とは呼ばせない ...日本人アーティストに全米が夢中──BAND-MAID/新しい学校のリーダーズ/YOASOBI/藤井風/XG

    アメリカ市場への参入に腰を入れてこなかった日音楽産業だが、配信サービスやTikTok、アニメ人気の流れに乗って躍進中。フェスにテレビ、ホワイトハウスに招かれるアーティストも> 日音楽産業は長いこと、アメリカに次いで世界第2位の規模を誇ってきた。しかし国で大成功を収めた日のミュージシャンがアメリカに進出しても、なかなか人気を獲得できずにいた。 韓国のKポップはアメリカで大成功を果たし、マンガやアニメをはじめとする日のほかのエンターテインメントもアメリカ人の間で大人気。そうした背景を考えると、日のミュージシャンは海外で成功するチャンスを逃してきたようにも思える。 そもそも、日音楽産業は今まで海外市場へのアプローチにあまり関心がなかった。アプローチしたとしても、アメリカのような大きな市場にインパクトを与えようと腰を入れてはいなかった。 アメリカ進出を目指すミュージシャン

    「ガラパゴス音楽」とは呼ばせない ...日本人アーティストに全米が夢中──BAND-MAID/新しい学校のリーダーズ/YOASOBI/藤井風/XG
  • 人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」

    暇空茜氏は都知事選に立候補し、一度も公に姿を表さないまま11万票を集めた(7月6日、東京銀座) Damon Coulter / SOPA Images via Reuters Connect <訴えられて損害賠償を命じられてもペイするというビジネスモデルの背後にいるのは誰か> 一昨年から始まる「不正会計」デマをきっかけとして、貧困やDVなどの困難を抱えた10代女性を支援する団体Colaboが様々な誹謗中傷を受けている問題で、7月18日、誹謗中傷のきっかけをつくった「暇空茜」を名乗る人物に対して損害賠償を求めた裁判で、暇空氏に220万円の賠償と投稿の削除を命じる判決が出た。昨年3月に出た、Colaboの会計に不正はなしとした東京都の監査結果と合わせて、暇空氏のデマによって女性支援団体の活動が妨害されたという事実が、公的に認められたことになる。 しかしこれで問題が決着したわけではない。暇空氏と

    人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」
    hiroujin
    hiroujin 2024/07/29
    暇空はこの記事を書いた北守を訴えるべき。colaboの不適切会計は国ですら事実として認定してる。/民間企業のブックオフですら不適切会計で謝罪記者会見を開いた。税金で事業してるなら、不適切会計はあってはならんよ
  • フランスの「極右」が「極右」と呼ばれなくなる日

    <フランスの総選挙における「極右」国民連合の大躍進の背景には、国民連合がもはや「極右」とはみなされなくなってきたフランス国民意識の変化がある> 7月7日に行われるフランス総選挙の決選投票では、「極右」国民連合が第1党となることが確実視されるが、もし単独で過半数(絶対多数)の議席まで獲得するようなことになれば、マクロン大統領はその国民連合のバルデラ党首を首相に任命せざるを得なくなり、まったく政策や主義主張が異なり、政治的に鋭く対立する大統領と首相の野合政権が誕生することとなる。 「極右」に対する国民意識の変化 ここまで「極右」とされる国民連合が党勢を拡大してきたことの背景には、国民連合を必ずしも「極右」とはみなさなくなってきたフランス国民意識の変化がある。 それは特に右派支持層の中に顕著に見られる。 左派支持層と中道支持層の中では、依然として「極右」に対する拒否感・警戒感は根強いが、右派支持

    フランスの「極右」が「極右」と呼ばれなくなる日
  • 大統領選討論会で大惨事を演じたバイデンを、民主党が差し替える3つの方法

    今すぐバイデンは身を引くべきだ(6月27日の討論会後、夫人と共に退場) BRIAN SNYDERーREUTERS <米大統領選テレビ討論会は、バイデン大統領と民主党にとって比類なき大惨事だった。極めて異例だが、バイデンが撤退して他候補と交代する時間的な余裕はまだ十分にあり、その方法は3つある> 6月27 日に行われた米大統領選テレビ討論会は、バイデン大統領と民主党にとって、そしてこの国の民主主義の未来を案じる全ての人にとって、現代アメリカ政治史上比類のない大惨事だったと言わざるを得ない。トランプ前大統領との討論に臨んだバイデンは、救いようがなく混乱していて、見る者の不安をかき立てた。 バイデンは直ちに身を引くべきだ。11月の選挙を戦う民主党の大統領候補を正式に決める民主党全国党大会の開幕は8月19日。バイデンが大統領選から撤退して、ほかの誰かと交代する時間的な余裕はまだ十分に残されている

    大統領選討論会で大惨事を演じたバイデンを、民主党が差し替える3つの方法
  • イスラエルに根付く「被害者意識」は、なぜ国際社会と大きくかけ離れているのか?

    <社会に内在化されている集団心理の原因、それを支える「社会装置」について。また、イスラエルに対して「親」や「反」で国際社会が分断しないためにすべきこととは> イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃によって、イスラエル社会に共有される根深い「被害者意識」が改めて浮き彫りとなった。 ポーランドの片田舎に人目を避けるように建設されたアウシュビッツの収容施設に立ち入れば、当時ユダヤ人が感じたとてつもない恐怖を強制的に想像させられる。ホロコーストは紛れもない事実であり、虐殺されたとされる600万人というユダヤ人犠牲者の規模はわれわれの想像をはるかに上回る。 国家としてのイスラエルには、この「恐怖」が深く根付く。5月5日、ホロコースト追悼祈念日「ヨム・ハショア」に向けて、イスラエル軍のハレビ参謀総長は声明を出した。 「われわれを滅ぼそうとする凶悪な敵に押し付けられた戦争で、突然終わった全ての命。しかし、今回

    イスラエルに根付く「被害者意識」は、なぜ国際社会と大きくかけ離れているのか?
  • 日本の大学教員だった父を突然、中国当局に拘束されて

    北海道教育大の袁克勤(えん・こくきん)教授は2年前の2019年5月、帰省先の中国吉林省で長春市国家安全局に突然拘束され、その後2020年3月まで全く消息不明だった。現在は詳細不明のスパイ容疑をかけられているが、中国籍であるがゆえに日政府も手が出せない。父を奪われた長男・成驥氏の慟哭と怒りの手記> 2019年5月29日、中国吉林省長春市内にある長春駅の近くで私の父、袁克勤は長春市国家安全局員によって突然身柄を拘束された。父はその4日前の5月25日に彼の母、つまり私の祖母の葬儀に参列するため中国へ一時帰国していた。突然の拘束は28日に無事に葬儀を終えて、日へ帰国する途上での出来事だった。 葬儀の翌日29日に長春駅の駐車場に到着した父は、その場にいた私の母とともに、突如、国家安全局の男たちに囲まれて、頭から黒い袋を被せられ、その場で彼等の車に押し込まれて連行された。その後、父の身柄は長春市

    日本の大学教員だった父を突然、中国当局に拘束されて
  • SNSにおける教養は「人を殴るための棒」...民衆に殺される時代に「ジャーナリズムの未来」はあるのか?

    『アステイオン』1986年の創刊号から、初期の原稿をたどり「ああ、寄稿者の多くがご逝去されていて、当によかった」と思ってしまった。あの方々がいま生きていらしたら、誰か一人くらいは民衆に殺されていただろう。 普段、イエロー・ジャーナリズムで日銭を稼いで暮らしている私だが、たまに堅気の文も書く。ちょうど数日前に初稿をあげたのは、日の「弱者男性」に関する特集で、日人の3人に1人は、障害や貧困などに苦しめられる、弱者男性によって占められているという話であった。 つまり、男性の過半数は何らかのハンデを背負って生きているという推計である。そんな彼らが、当時の好景気に後押しされた教養主義にあふれる創刊号を目にしたら、革命の狼煙があがったやもしれぬ。 2号には袴田茂樹氏の「『知識人群島』ソ連」が掲載されており、そこにはロシアの民衆へ、同情的な言葉が並ぶ。 「『不足経済』の状況下では、商品や物的環境は

    SNSにおける教養は「人を殴るための棒」...民衆に殺される時代に「ジャーナリズムの未来」はあるのか?
  • アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)とは

    <昨今のいわゆるウォーキズム(日の文脈に合わせると意識高い系とでも訳すべきか)へのカウンターとして「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)という概念が話題だ。ようやく米国の右派が、左派と勝負できるだけのナラティヴを手に入れつつある......> 米国で「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)という概念が話題になっている。元は2019年ごろににちょっと話題になったらしいのだが、私は見逃していた。それが提唱者のロブ・ヘンダーソンが最近自伝「Troubled」を出したこともあって見直され、昨今のいわゆるウォーキズム(日の文脈に合わせると意識高い系とでも訳すべきか)へのカウンターとして持ち出されているようだ。 ヘンダーソンの顔を見ると分かると思うが、ヘンダーソンという欧米系の姓の印象に反して、彼はアジア系米国人である。彼の母親は韓国からカリフォルニアに渡り、大学を中

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)とは
    hiroujin
    hiroujin 2024/06/05
    id:donovantree 歴史修正するな。リベラルはLBGTや女性、移民への福祉政策を推進する一方で、氷河期世代や貧困男性を社会的に差別・排除し、また福島に対しては10年以上風評加害を行い、福島県民を苦しめてきたのが事実。
  • 新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

    <東京・西新宿のタワーマンションで起きた刺殺事件。「結婚資金」として女性に約2000万円を渡していたと主張する加害者にネット上では「同情の声」が集まっているが、加害者擁護はどう考えても異常である> 東京・西新宿のタワーマンションで起きた刺殺事件で、和久井学容疑者(51歳)への同情の声が広がっている。和久井容疑者の父親の話によると、和久井容疑者は長年愛用していた自動車やバイクを売り払い、被害女性の平沢俊乃さん(25歳)におよそ2000万円の金を結婚資金として渡していたという。 和久井容疑者のFacebookの投稿などから、人生をともにした宝物を売り払ったことは事実なのだろう。が、それでも私は和久井容疑者に対して、ほとんど同情する気持ちが起きない。 2人は上野のガールズバーで客とスタッフとして知り合い、韓流スターのファンということで意気投合したという。もうこの時点で、すべてを察しなくてはいけな

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由
    hiroujin
    hiroujin 2024/05/11
    結婚詐欺を警察に相談したら、ストーカー認定されて、民事刑事ともに法的救済の道が断たれる法律のバグの方が異常だよ。女性の結婚詐欺やり放題。こうなると違法上等の自己救済しか無くなる。
  • 故郷・東北を「かっこ悪い」と感じる自分に困る...「かっこよくなった」沖縄、台湾、韓国との違いは?

    <独自の近代ナショナリズムや自意識の形成など、台湾のナショナリズムとイデオロギーから見えてくる、日の東北について> 毎日新聞に入社3年目の02年、青森支局員だったとき、東京で「沖縄反基地運動連帯」をかかげる団体を取材した。 取材後の雑談で「米軍三沢基地や使用済み核燃料再処理施設を抱える青森の立場は、沖縄に似ている」と言うと、相手は「考えたこともなかったです。沖縄と違って、青森はなんだか、かっこ悪いですしねえ」。 「かっこ悪い」――。あまりに率直すぎる言葉に、愕然とするよりも納得させられた。私も東北を「かっこ悪い」と思ってきた。だからこそ、ちょうど30年前の春、大学進学を期に、出身地である東北・仙台を逃げ出した。東日大震災の、あの津波が来るよりもはるか前に。 私は「かっこ悪い」東北出身である。と同時に東北から逃げて、結果として震災からも逃げ得た。その自分が後ろめたく、震災の死者に罪責意識

    故郷・東北を「かっこ悪い」と感じる自分に困る...「かっこよくなった」沖縄、台湾、韓国との違いは?
  • 日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

    外国の書店に漫画があるのは今や珍しい光景ではない(パリの書店、2022年) RICCARDO MILANI-HANS LUCAS-REUTERS <『SPY×FAMILY』や『鬼滅の刃』など、北米市場の45%を日作品が占める「波」はどう生まれたのか、翻訳者・兼光ダニエル真が語る> 近年、海外では日のアニメに加え漫画の売り上げが、特に北米で飛躍的に増加している。背景にあるのはどのような事情か、30年以上にわたり日漫画やアニメ作品を英訳してきた翻訳者で、欧米やアジアのオタク事情やビジネスに詳しい兼光ダニエル真に誌・澤田知洋が聞いた。 ──北米市場で、コロナ禍を機に『鬼滅の刃』など漫画の売り上げが急激に伸びている。これはなぜか? コロナ禍の巣ごもり需要を背景にネットフリックスなど配信サイトでアニメ視聴が増加し、その原作を買い求める動きが定着しつつあることが大きい。米メディアICv2が種

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」
  • マゾヒスト女性はその行為を真に欲望しているのか、それとも男性優位社会の社会通念を内面化した「被害者」なのか

    私はマゾヒストであり、この男性から完全に支配されることを望んでいます、と主張する女性がいたとする。私はサディストであり、この女性を縛り、鞭打つことを「愛情行為」として実践しています、と主張する男性がいたとする。これらの行為には同意があるとしよう。これらは、いわゆる「SM」と呼ばれる実践に当てはまる。 対等な成人同士による、同意の上の行為については、それがたとえ一般的な社会通念に沿わないものであっても尊重されるべき、という考えは、現在それなりに支持を得ている。しかしそうはいっても、支配や暴力行為に対する同意については、なんとなく不安を覚えることが多いはずだ。 そもそもその同意は当に人の意思なのか。男性のほうがかなり年上で社会的地位もある場合、女性の同意は信じられるのか。そもそもどのような関係が真に対等な関係と言えるのか。人の気づかないうちに、誘導されているのではないか。そもそも、なぜ支

    マゾヒスト女性はその行為を真に欲望しているのか、それとも男性優位社会の社会通念を内面化した「被害者」なのか
  • 世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

    世界一の人口と若年層の厚みは大きな強みだが(東部コルカタ) DEBAJYOTI CHAKRABORTYーNURPHOTO/GETTY IMAGES <中国経済が減速する中、年率7~8%で成長するインド。今後10年間で世界3位の経済大国になるという予想は実現するのか> 世界の2大新興国に関する金融市場やニュースメディアの見解の変化を表す表現として、スタンダード&プアーズ(S&P)が昨年発表した報告書のタイトル──中国は減速、インドは成長──ほど的確なものはないだろう。 中国が経済の減速に苦しむ一方、インドは繁栄を謳歌しているように見える。インドの株式市場は活況を呈し、国立証券取引所に登録された取引口座数は2019年の4100万から23年には1億4000万に急増した。 さらに、欧米企業が中国から撤退するなか、有力な代替としてインドが台頭している。年率7~8%前後の成長率を誇るインドは、今後10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由
  • 最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

    <火山の熱や深海の水圧、真空の宇宙空間さえ生き延びるクマムシは、驚くべきDNA修復メカニズムを備えていた> クマムシは想像を絶するほどの過酷な環境を生き延びることができる生物だが、その生命力の謎が解明される可能性が出てきた。 【動画】クマムシは宇宙の最強生物 クマムシはその愛らしい姿から、水グマやコケブタと呼ばれているが、極端な高温や低温、高圧・低圧、空気不足、放射線、脱水、さらには宇宙の真空状態に至るまで、ほとんどの生命体にとって死を招く環境に耐えることができる。 最近、学術誌『カレント・バイオロジー』に掲載された論文によれば、この頑健な生物が放射線を生き延びるメカニズムが解明された。 体長わずか0.5ミリのクマムシは、さまざまな環境で生息している。コケ、落ち葉、淡水や海洋の堆積物などに生息していることが多いが、高温の沸騰泉、ヒマラヤ山脈の頂上、水深4000メートルの深海でも発見されてい

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに
  • 『大吉原展』炎上とキャンセルカルチャー

    喜多川歌麿『吉原の花』 WADSWORTH ATHENEUM MUSEUM OF ART, HARTFORD. THE ELLA GALLUP SUMNER AND MARY CATLIN SUMNER COLLECTION FUND <脳科学者の茂木健一郎氏や漫画家の瀧波ユカリ氏の指摘で炎上した東京芸大美術館の『大吉原展』。「遊女の性的搾取軽視」とSNSで猛批判されたが、主催者は当に無自覚だったのか> 美術展の初日は雨だった。3月26日から東京芸術大学で始まった『大吉原展』の初日、担当学芸員の古田亮・大学美術館教授の目には戸惑いが浮かんでいるように見えた。 吉原の遊郭を描いた江戸期浮世絵を中心に「吉原文化」を正面から題材としたわが国初の大規模展示会である(東京新聞・テレビ朝日と共催)。構想・準備期間は5年。しかし前日の記者会見では、「吉原における売買春」に質問が集中した。著名な脳科学者

    『大吉原展』炎上とキャンセルカルチャー
  • キャッシュレス先進国アメリカで、「現金」が若者のトレンドに...大人たちからは「電子マネーを使え」の声

    <デジタルマネーでの支払い方法が全盛の今、リアルな現金を使う若者がアメリカで急増中> 今や、デジタルマネーの隆盛期。使う、ためる、投資する......お金のやりとり全てで、デジタルがもてはやされる時代だ。ところが最近、Z世代の若者たちが好んで現金を使うようになっている。 世論調査機関のハリス・ポールが昨年行った調査によれば、アメリカのZ世代(1990年代後半から2010年代初頭生まれ)で現金を前年より頻繁に使った人は69%に達した。買い物の半数以上に現金を使った人も23%に上っている。 この調査結果は、多額の現金を金融機関に預けず自宅で保管しようという風潮と合致する。TikTok(ティックトック)では、クレジットカードやオンライン取引より現金を使うことがブームになっており、無数のアカウントが「キャッシュ・スタッフィング」という現金をベースにした節約術を解説している。 キャッシュ・スタッフィ

    キャッシュレス先進国アメリカで、「現金」が若者のトレンドに...大人たちからは「電子マネーを使え」の声