来月11日より、映画『さよなら、アドルフ』が公開される。物語の舞台は第二次大戦直後のドイツ。ナチス高官の家庭に生まれた14歳の少女ローレは、敗戦後、両親の身柄を連合国軍によって拘束される。残された彼女は幼い弟や妹を連れ、900キロ離れた祖母の家まで歩いていかなければならなくなる。本稿はそんな『さよなら、アドルフ』を観る際の背景・視点を紹介する。映画を観る上での参考になれば幸いである。 背景知識:戦後ドイツを生きた「ヒトラーの子どもたち」とは 本作の主人公ローレは政府高官の娘として育ち、祖国の勝利を心から待ち望む。劇中の言い回しを借りれば、彼女はいわば「ヒトラーの子ども」である。本作ではそんな彼女を戦後待ち受けていた試練が描かれている。 ナチスに加担した人物の戦後を描いた作品としてはB・シュリンクの小説『朗読者』や、アラン・レネ監督の映画『二十四時間の情事』などがよく知られている。これらの作