さいたま地裁で13日に開かれた首都圏連続不審死事件の判決公判を記者席で傍聴して、残念だったことがある。判決の言い渡しが聞こえにくかったことだ。 報道各社の記者が終始出入りし聞きづらくしたことも事実で申し訳なく思う。だがそれにしても、裁判長の声は遠かった。 早朝から抽選に並び、約27倍の倍率で選ばれた一般傍聴者の中には、身を乗り出し、手を耳に当てて聞く人が何人もいた。70代の男性は閉廷後、「よく聞こえなかった」とがっかりした様子だった。 裁判員制度が始まって間もなく3年。その狙いの一つは、分かりにくかった司法を市民に身近に感じてもらうことだ。今回の判決は、裁判員らが異例の長い時間をかけて導き出した成果でもある。それだけになおさら、判決に至った理由をしっかり聞きたかった。【合田月美】