華々しく登場したが、大きな成果は残せず舞台を去る。安倍晋三首相の最大の目玉政策、アベノミクスは、実を結ばずに散る「あだ花」のように終わる。 滑り出しは上々だった。2012年末の第2次安倍政権発足と同時に景気回復が始まり、1万円程度だった日経平均株価は5カ月で1万5000円台に急上昇した。 デフレ脱却を掲げた首相は大胆な金融緩和と積極的な財政出動を打ち出して、株式市場の期待を高めた。ニューヨークで投資家に「バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買い)」と誇らしげに呼びかけたのもこのころだ。 訪日観光客も急増した。政府によるビザの要件緩和に加え、日銀の異次元緩和で円安が進み、割安な旅行先と人気を集めた。「爆買い」は景気の追い風となった。 だが勢いは続かなかった。成長率は年平均1%程度と低いまま、今から2年近く前に後退局面に入った。政府が触れ回った「戦後最長の景気回復」も幻に終わった。 巨額の