●これは抜群のおもしろさ。「素顔のカラヤン ~ 二十年後の再会」(眞鍋圭子著/幻冬舎新書)。サントリーホール・エグゼクティブ・プロデューサーであり、かつてカラヤン来日時のコーディネイト兼秘書役を務めた著者が、巨匠との出会いから別れまでを回想するという一冊。時代としては1975年から89年まで。描かれるカラヤンの人物像や知られざるエピソードはたいへん魅力的である。でもそれだけではない。今とは違うかつての華やかな「業界」の姿だったりとか、人と人の縁がもたらす運命の味わい深さであるとか、新書一冊にいろいろな読みどころがつまっている。ベースとなっているのはカラヤンに対する深い敬慕の念。気持ちよく読める。 ●現メトロポリタン・オペラ総裁のピーター・ゲルブが、コロンビア・アーティストの一員として出てくる場面があって、これが結構可笑しい。今はあんなに大物なのに、昔はこんなこと言ってたんだ、とか。 ●あと