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私は半世紀にわたり発達障害を研究し、たくさんの子どもたちを診察してきました。25年前に出版社からの依頼で初めて「発達障害」をテーマに執筆したとき、専門書以外に類書はほとんどありませんでした。近年、テレビや新聞などを通じて、今までにないほど、一般の方にも発達障害への認知・理解が広がっていることを実感しています。 一方、発達障害への認知・理解が広がるほど、正しいものと、必ずしもそうではないものが混在し、頭を抱えたくなるようなこともあります。 拙著『子どもの発達障害 誤診の危機』では、発達障害にまつわる誤解、あまり知られていない真実についてお伝えしています。なかでも最も伝えたいことは、医療現場で起きている発達障害の誤診・過剰診断についてです。 発達障害が広く知られるほど、受診者が増え、これまで取り残されていた当事者が診察を受ける機会を得たのはよいことですが、現場では、発達障害とは言い切れない子ど
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「声優ブーム」と言われるようになって大分たちました。今がいったい第何次ブームなのかよく知りませんが、声優に憧れる人は相変わらず大変多いようです。現場ですれ違う新人の数も、この10年ほどで把握しきれないほどに増えました。少し前までは、「今の“新人枠”に入るのはあいつやこいつ……」となんとなく顔くらいは浮かんだものなのですが。 声優志望者や若手声優と話していて不思議なのは、「声優になる」ことを、まるで就職でもするかのような感覚で捉えている人が多いことです。 声優志望者の甘すぎる未来予想図 話を聞くと、彼らは極めて無邪気に、こんな青地図を思い浮かべているのですね。 まず声優学校に入り、養成所に進んで、いい声の出し方や演技の仕方を教えてもらおう。そして大手の声優プロダクションに所属し、マネージャーがとってくる端役の仕事をこなしながら“出世”のチャンスをうかがおう。 最初のうちは安い仕事しかないだろ
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映画『ジョーカー』の勢いが止まらない。映画は先週末、北米で10月の公開2週目成績としては史上最高の5500万ドルを売り上げた。他国でも好調に売り上げを伸ばしており、世界興収は早くも5億5000万ドル弱に達している。 これは、ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスの個人記録。アカデミー賞候補入りもささやかれている今作が、フェニックスのキャリアにおける代表作となったのは、もはや疑いない。 最初は役を受けるか迷っていた しかし、フェニックスは、このオファーを受けたとき、すぐに承諾してはいない。それどころか、相当に迷い、何度かトッド・フィリップス監督とミーティングを持った末に、決断を出している。「自分にできるかわからなかったし、このキャラクターをどう理解していいのかわからなかった」(フェニックス)のが、理由だ。 一方で、フィリップス監督にとって、主人公のアーサー役はホアキン・フェニックス以外にい
日々、産業医として診察をしていると、学生時代に優秀だった人が、社会人になってストレスに悩み、心身ともに疲弊し潰れてしまうというケースを見かけます。一方、学生時代には目立った成績ではなかった、クラスの平均かそれ以下だった人が、社会人になり結果をしっかり出し、人望も厚くどんどん昇進していくこともあります。 この違いはどこにあるでしょうか。産業医として、通算1万人以上と面談するなかで見えてきたのは、子ども(学生)時代の過ごし方に影響しているということでした。 どのような子ども(学生)時代を過ごし、どのようなスキルを磨けば高いストレス耐性が身に付くのか、ここにお話しさせていただきます。 認知能力を超える非認知能力を持っている 比較的ストレスに強い人に子ども時代について聞いてみると、多くの人が、認知能力だけでなく、非認知能力を継続的に育まれてきたという共通点がありました。 認知能力とは、テストの点数
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アイメン・アファウイはウーバーイーツのバッグを背負い、パリのレピュブリック広場から自転車をこぎ出す前に、いちばん早いルートをスマートフォンで調べた。時は金なりだ。そして18歳の移民であるアファウイには、まさにその金が必要だ。 「食わなきゃいけないから、この仕事をしている」。その日最初の配達を数分早く行えるルートを見つけると、アファウイは言った。「盗みをしたり、通りで物乞いをするよりましだ」 アファウイは労働許可証を持っていない。その日の賃金の半分より少し多い額が彼の取り分となり、残りはウーバーイーツのアカウントを持っているフランス人の配達員に支払う。 フランス人の配達員は、ウーバーイーツの賃金(配達1回当たり3.5ユーロに、距離に応じた料金が加算される)が安すぎるので、自分では配達をせずにアファウイに下請けに出している。アファウイはチュニジアからフランスに来て、廃棄された車の中にここ1カ月
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平成もあと4カ月弱で終わろうというのに、テレビの世界は昭和のままで止まっているのだろうか。そんなことを思わせる番組がある。日曜昼に放送される情報番組「噂の!東京マガジン」(TBS系)で、素人の若い女性にレシピなしで料理に挑戦させる「平成の常識・やって!TRY」というコーナーだ。違和感を抱いているのは筆者だけではないようで、ネットで検索すると「やって!TRYは女性差別か」といったブログなどが散見される。 「平成の常識・やって!TRY」は、1989年に番組が始まって1年以内に加わった人気コーナーだ。内容は、町中にキッチンをセットし、数人の若い女性に定番料理を作らせるというもの。ロケのVTR終了後は、スタジオでプロの料理人による解説付きの実演がある。ロケの現場でセットされた調理台には、さまざまな食材、調理道具が並んでおり、その中には、目的の料理には必要がない食材や調理道具も含まれている。 失敗す
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iPadは6台、持ち物はなくすので最小限 借金玉:昨年、勝間さんが精神科医の岩波明先生と対談されていて、「軽度のADHD」と診断されたことを知りました。勝間さんのブログを読んでいると、かなり困っている症状を、なんとか工夫して「力でねじふせている」印象を受けます。iPadを何台か持っていらっしゃるのも、何か理由がありそうですね。 勝間和代(以下、勝間):はい、iPad Pro2台、iPad 2台、iPad mini2台の合計6台を持っています。それぞれダイニングテーブルの上のパソコンのそば、台所の洗濯機の上のパソコンのそば、台所の調理台の上、仕事部屋のパソコンのそば、寝室の枕元、車のダッシュボードに置いてあります。 6台ある理由は簡単で、すぐなくすからです。複数のデバイスをクラウドでひも付けられるiPadは、1、2台なくしても壊れても大した影響がないんですよね。昔は携帯電話も2つ持っていて、
今の日本は戦後かつてないほどの大きな課題を数多く抱えています。 内政的には1000兆円を超えるほど政府部門の財政赤字が膨らんでしまい、年金・介護・医療といった社会保障制度が超少子高齢化で持続可能性が危ぶまれ、人口減少で労働力不足や経済縮小が懸念されています。福島第一原発を皮切りに原子力発電の廃炉という長期国家プロジェクトが始まっています。 言うまでもなく長期的な国家的課題に一人ひとりが直接対峙して解決することは到底不可能ですから、国民としては一義的には政治家や官僚が危機を未然に防ぐことに期待せざるをえない立場にあります。 では「現在こうした長期的な課題について政治家や官僚は責任をもって戦略的に対処しているのか?」というと、結論から言えばその答えは「NO」ということになります。 十分予測されていた問題 こう言うと「日本政府はそんなに無責任だったのか、けしからん」とお怒りになる人も多いかもしれ
カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した映画『万引き家族』(是枝裕和監督)で主演を務めるリリー・フランキーさん。じつは5年のひきこもり歴があるひきこもり経験者でもある。『不登校新聞』の編集長・石井志昂さんと、10代、20代の不登校・ひきこもり当事者ら男女5人が「いまの自分の悩み」をぶつけた。リリー・フランキー流の「生きやすくなるコツ」を紹介する。 まったく自信がもてない、どうしたらいいでしょう 当事者A(10代・女性):今日はよろしくお願いいたします。私は中学2年生から不登校をしています。いじめを受けたせいか、まったく自分に自信が持てません。どうしたらいいのでしょうか? リリー・フランキー(以下、リリー):キミ、いまいくつ? 当事者A:18歳です。 リリー:18歳で自信満々なヤツなんて見ていてイライラするだけだから、そのままでいなさい。大人だって揺らぐし自分に自信がないのはいいことです。 当事者
無教養なビジネスパーソンは「危険な存在」 近代以降、ヨーロッパのエリート養成を担ってきた教育機関では長らく哲学と歴史が必修とされてきました。今日に至っても、たとえば政治・経済のエリートを数多く輩出しているオックスフォードの看板学部「PPE=Philosophy, Politics and Economics」(哲学・政治・経済学科)では、哲学が三学領域の筆頭となっていますし、フランスの高等学校課程=リセでは、理系・文系を問わずに哲学が必修科目となっており、バカロレアの第一日目の最初に実施されるのは伝統的に哲学の試験とされています。パリにしばらく滞在した人であれば、バカロレアの哲学試験にどのような問題が出されたか、自分ならどう答えるかがオフィスやカフェで話題になっているのを耳にしたことがあるのではないでしょうか。 あるいはアメリカに目を転じても、エリート経営者の教育機関として名高いアスペン研
日本のメディアはここのところ、森友学園スキャンダルが世界における日本のイメージに影響を与えるのではないかと懸念している。テレビの政治番組では、海外の新聞数紙に掲載された記事を引用しており、そこには仏ル・フィガロ紙に掲載された筆者の記事も含まれていた。 だが実のところ、森友スキャンダルは外国の報道機関ではほとんど取り上げられていない。この事件を特に取り上げた記事は昨年1年で12本というところだろうか。筆者が見つけた記事では、米ニューヨーク・タイムズ紙で1年に2本、ワシントンポスト紙で1本だった。 日本の国会は「老人ホーム」さながら 自分に関して言うと、ル・フィガロの編集者になぜこの事件に関する記事が重要なのかを丁寧に説明したうえで、掲載してくれないかと頼み込まなければならなかったくらいだ。今日、もしニューヨークやパリの街頭で森友に関するアンケートを行ったとしても、99%の人が、それが何なのか
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