![長文日記](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5cf269ba4e005914ad78e2e448ed10d2e21eef1a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F413S1XHY70L._SL160_.jpg)
まだ年度が替わっていないので振り返るには早いのだが、2015年は研究する生活が軌道に乗ってきた年だったと思う。 30歳で子宝に恵まれてから、研究者としてはペースダウンしてしまった。子供を産むことが女性研究者にとってハンディになることはわかっていたが、周囲の例を見て大丈夫だと踏んでいた。私は母か姑をあてにしていた。また、常勤になればお金で解決するつもりだった。 しかし実家では弟が家業を継ぐことになり、母はその手伝いに必死で孫の面倒を見る余裕がなくなった。そして全く予想できなかったことに、義理の両親が乗っていた車が飲酒運転の車に追突され、舅は長らく意識不明、姑は亡くなってしまった。婚家で乳飲み子を抱えて遺品整理をしながらの病院通いがしばらく続き、研究どころではなかった。後から振り返るとこの時から自分の人生のあれこれが狂ってしまったと思う。 保育所には入所することができたが、時間外や病気の時に頼
8月の『日本経済新聞』水曜夕刊で「ロックと日本語」という全4回の短期連載をしました。はっぴいえんど 英語派と「論争」で創始者に http://www.nikkei.com/article/DGKKZO90167170V00C15A8BE0P00/サザンオールスターズ デタラメ英語、常識破る http://www.nikkei.com/article/DGKKZO90411190R10C15A8BE0P00/ザ・ブルーハーツ シンプルさに絶大な支持 http://www.nikkei.com/article/DGKKZO90702440Z10C15A8BE0P00/椎名林檎 アナクロな存在感で異彩 http://www.nikkei.com/article/DGKKZO90976420W5A820C1BE0P00/歌詞を扱うというと、詞の解釈や、それから派生した社会反映論みたいなものになりが
デヴィッド・フィンチャー最新作『ゴーン・ガール』。自分もエントリーを上げたが、多くの人もまた大きく心動かされてエントリーを上げている。内容的には理解出来ないような物ではないが、一筋縄ではいかないキャラクターや展開に韜晦させられている人も多い。 また、フィンチャー過去作との比較をしているものもあったのだが、奇をてらった解釈が流行りなのか、首をかしげざるをえないものも少なからずある。そこで、フィンチャー作をデビューから最新作まで俯瞰して、ごくごく一般的なデヴィッド・フィンチャー作品の解釈・テーマの読み解きをしようと思う。 失敗したデビュー 『エイリアン3』(1992) ●「体内のヘビ」よもう一度 エッジの効いたPVを作るフィンチャーならMTV感覚のクールな映画を作るだろうと監督起用されたが、待っていたのはスタジオの過度な介入と、いくつもの案をツギハギにした歪な脚本。誰がやっても暗澹たる結果にな
さて、はっきりいって、廃棄物放置場所と化しており、全く更新してなかったこの日記でありますが、 いしかわじゅん氏「安彦良和は動きがかけない」⇒安彦氏「アニメーターの僕に、動きが描けないだって?」(「王道の狗」白泉社版4巻から) こっちのエントリを読んで思う事があったので更新しときます。内容は「映像コンテンツにおける動き」です。 まあ、上記のエントリの話は、いしかわじゅんが「安彦良和は動きがかけない」って批判してるわけなんですけど、これねえ、 こっちでアニメーターの西澤晋が全く逆のこと言ってて面白いんですがね(ちなみにこの本はとても良い本で絵を勉強してる人なら一読の価値があります)。どんな話かってーと、この本の野球のバッティングの4サイクルプロセスって話の所なんですが、引用しますが、 アニメの場合はすべての行程を描くことができますが、漫画はその中の一枚ないし二枚で動きを表現します。しかも、すべ
永沢光雄が亡くなりました。 それって誰? という向きには、『AV女優』の著者、とだけ言っておきましょう。いや、言っておきましょう、ったって、正味のハナシがほんとにそれだけ、としか言いようのないようなもの、なんですが。 『AV女優』というのは、『ビデオザワールド』誌その他に連載されていた、AV女優のインタヴューをまとめた一冊。版元の白夜書房も、それが単なるエロ出版社であり、そしてその「エロ」とは今みたいにお手軽なシロモノでもなく、それ自体がある種のサブカルチュア、言葉本来の意味でのブンカ創造の触媒になり得た状況での、誇りあるろくでなしたちの梁山泊だったりもした時期の、象徴的な仕事ではありました。 『AV女優』は、今じゃ文春文庫だかにおさめられているバージョンしか入手できないようですが、もとはビレッジセンター出版局から単行本として出したもの。 http://www.villagecenter.
なんか博士号の話に触れようと思っていたらすごいことになってる……。STAP細胞案件,博士号にしても笹井さんにしても,タイトルに尽きるんじゃないかという気がしている。取り敢えず,剥奪されるべきものが剥奪されなかったという(今更の)話から。 小保方リーダーの博士号取消さず NHKニュース(リンク切れ) いやもうほんと,あまりに衝撃的な決定でした。特に,「(博士号を前提とする就職など)生活および社会的関係の多くを基礎から破壊することになる」という論理についてはお前は何を言っているんだとしか。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。要するにそれって,捏造でも剽窃でも何でもいいから博士号を取って就職しさえすれば勝ち,ってことですよね。早稲田で書かれた素晴らしい博士論文をいくつも読んできただけに,どうしてこうなってしまったのか……という思いでいっぱいです。早稲田大学内部で剥奪を求める声が上がっているのも当然ですし
マンガを読めない学生若い衆が増えている。そう言うと、ぽかん、とした顔をされます。嘘でしょ、冗談ですよね、といった大真面目な問いかけと共に。 そんな顔を目の当たりにするたびに、こちらはこちらで、ああ、やっぱりそういうことなんだ、と同じように呆然とします。マンガを読み楽しむのにも能力が必要なこと、メディアリテラシーのありように対する理解ってのがその程度に未だ「活字」「文字」前提でしか解釈されないことに、わかってはいるつもりでも改めて。 はい、本当です。何も最近になって起こり始めたことでもない、少し前、少なくとも概ね今世紀に入るあたりの頃からは学校現場で広く確認されていた現象です。 それどころじゃない、昨今ではアニメも「読めない」、おはなしの流れに沿って観ることができないことも、こんなの例外だろ、と無視できない程度に起こり始めています。紙のメディアに印刷された情報をうまく摂取できないだけでなく、
本年もどうぞよろしくお願いいたします。 今年は正月休みも長く、例年より少し長めに帰省したりできたので、多少時間も出来、iPadを使いながら原稿を書くようなことを試みたところ、ふと、次のような疑問がわいてきた。 「自分は、iPadを買ってから1年が経過しようとしているけれど、ほかの人たちはどんな風に活用し、あるいはどんなアプリを使って、研究なり調査なりに役立てているのだろうか?」 そこで、以前書いた「日本史研究とwebサービス」というエントリの続編として、また自分の手のうちを見せることで、よりよい発想を教えていただけると大変うれしいという魂胆から、懲りずに恥をさらしてみたい。 こんな使い方 使用しているiPadは第4世代iPadの32GB、Wi-fiモデルである。 日本史の研究に使うという観点で書くので、おそらく大多数のビジネススキルとか理科系の作法とかと著しく異なるところがあろうと思われる
年末のボカロシーン、最大のヒットになりそうなのがこちらである。 2013年12月22日「マイナーだけどハイセンスなボカロ曲集」 VOCALONOBISを運営する_Gissy氏が作成した本作は22日0時に投稿されると、再生数は5日間で7万を超えた。メドレー形式の曲紹介動画としては驚異的な伸びだ。リスニング目的のノンストップメドレーならまだしも、あくまで曲の紹介動画である。これはちょっとした事件と見るべきだろう。本作はスムーズな導入や選曲、曲順、編集など何かと気が利いていて、尺は長いが飽きることはない。タイトルのつけ方も挑発気味で「ハイセンス」と主張されれば人は自分の耳で確かめて、難癖のひとつでも付けてみたくなるものである。売り文句は大事だ。 _Gissy氏の狙いとしてはまず第一に、埋もれている、あるいは埋もれつつある「ハイセンスなボカロ曲」を迅速に見つけるには、VOCALONOBISこそが最
(写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです) みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。ついにこの企画も10年め。考えてみればわれわれは10年もの長きに渡って、その年どの映画がおもしろいのかを問いつづけ、集計しつづけたわけです。それはさておき、年の瀬ですがお元気ですか。今年もたのしい映画がたくさんあったとおもいます。映画に順位をつけることの理不尽さをかみしめつつ、あえてランキングという非情な行為を行っていきたいとおもいます。毎年恒例となっています「ふりかえる」企画の結果の発表です。さすがに投票で上位に挙げられる人気作品となると、クオリティの高い映画ばかりですので、たのしい年末年始のDVD鑑賞の参考にしていただきたいとおもいます。このような質問内容でアンケートを募りました。 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント 2013年に劇場公開さ
内容に触れているので、未見の方は注意 コーマック・マッカーシーの小説『ブラッド・メリディアン』(早川書房)でもっとも印象に残っているのは、男たちが砂漠をひたすら移動しつづけるくだりだ。暴力的な描写の多い作品だが、もっとも身に沁みて過酷であると感じたのは、直接的な暴力よりも砂漠の移動場面だった。貴重な飲み水が尽き、飢えと乾きに苦しめられながら、砂ばかりの土地を移動するほかない男たちの姿を想像するにつれて、読んでいるこちらまで喉がからからになるような感覚がもたらされるのだ。水が飲めないことの恐怖が迫ってくるようだった。むろん、これは作者の筆力に拠る部分が大きい。このような感覚を、文章を通じて読者に与えることのできる書き手は限られるだろう。読了後、蛇口をひねれば清潔な水が出てくる自分自身の環境が、何か信じられないことのようにおもえたのを覚えている。 感覚に強く訴えるタイプの作品は記憶に残る。僕に
リメイク版『キャリー』日本公開版のレイティングがPG12になっています。アメリカでの公開時のレイティングはR(R15)です。日本とアメリカではレイティングの基準が違うので日本の一般公開で上映されるものと、アメリカで公開されたもので違いがあるのか、ツイッターの公式に聞いてみました。 3回。 全部無視です。 ちなみに『飛びだす 悪魔のいけにえ3D』に同様の質問をした時には、即答で 映画『飛びだす 悪魔のいけにえ』 @ikenie_mov6月18日 全くもって、してないけにえ。純度100パーです。よろしくいけにえ“@samurai_kung_fu: 『飛び出す 悪魔のいけにえ』公式 @ikenie_mov さんに質問です。本編映像にボカシ処理など日本公開に際しての画像処理は行われていますか?” と、返事をいただきました。100点満点の120点の回答です。この質問のあとで知ったのですが『飛びだす
音楽情報誌の権威(といっておく)『ミュージックマガジン』が「10年目のボーカロイド入門」なる特集を組むと知り、発売前から楽しみにしていた僕は今日、期待に胸を膨らまして書店に向かったのでした。 MUSIC MAGAZINE (ミュージックマガジン) 2013年 10月号 [雑誌]出版社/メーカー: ミュージックマガジン発売日: 2013/09/20メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る うーん・・・・・困った、面白くない。冒頭の「ボーカロイドはいかにして歌うキャラクターになったのか」論は "レコーディング芸術" の視点からボカロ音楽の「新しい/新しくない」部分を捉え直す試みですが、「入門」のわりにはさらっと読めないし、ざっくりと分かるには入り組んでいるし、これを読んで、ボカロ曲に興味を持って、聴きたくなるかといったら、ちょっと難しい。内容は興味深く、同意する点もあれど、導入に
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