突然だが、野外劇をご覧になったことはあるだろうか。 先日、新宿区にある都立戸山公園 野外演奏場跡では、注目を集める若手カンパニー・ルサンチカが太田省吾の戯曲『更地』を上演した。同園では「戸山公園演劇祭」を今年の1月から開催しており、『更地』もその一つだ。 新型コロナウイルスの流行期を過ぎ、人々の気持ちは外に向いている。 もしかしたら今、野外劇がアツいのかもしれない。 私は野外劇が好きだ。自分の日常に俳優が「侵入」し、風景がぐにゃりと歪んで世界の境界が曖昧になる。誤解を恐れずに言うと、劇場より“安全性が保障されていない感じ”がよいのだ(舞台と客席との境界が曖昧で自我に侵入されているような感じ、他人事ではいられない感じがする……と言えばなんとなく伝わりますか……?)。 野外劇と言えば何を思い浮かべるだろうか。私は何と言っても寺山修司だ。寺山氏は『ノック』や『人力飛行機ソロモン』など多くの市街劇