『壁から人が出てくる』これと似ているエントリは過去にも数回アップしている。 ある年配の男性が初診した。主訴は「壁から人が出てくる」という幻覚である。ただ、それ以外の精神症状も診られていたが、本人の病感はなかった。本人の困っていることは幻覚だけであり、これを何とかしてほしいという言い方である。 これは彼にとって、幻覚が自我異和的であることを示している。 元々大酒家で、ある日、泥酔して転倒し頭部を打撲。直後、意識不明になり搬送された。一応、脳挫傷の診断を受けた。頭部打撲後、CT検査で脳挫傷の所見を認めたが、ほとんど所見はなかったらしい。（重篤ではないという意味） ほんの数日入院したものの、意識が回復してからは、むしろ随分と元気で、主治医と喧嘩して退院してしまったようである。 この辺りは詳細はやや不明である。紹介状がないから。本人の精神症状が回復した後の話を総合すると、彼が意識が戻った後、勝手に退院したようである。入
