相次ぐ幽霊目撃談 被災地で幽霊を見た――。 東日本大震災の直後に、被災地で取材をした経験から言わせてもらえれば、幽霊の話はたしかに多かった。ただ、震災の直後より、4ヵ月くらいが経ってお盆が迫ってきた頃から、急にこの種の話が増えたように感じる。 震災の直後は、被災した土地には見わたす限り瓦礫がつみ重なり、多い時は1日で数十体もの遺体が見つかり、自衛隊や消防の車両で遺体安置所へ運ばれていった。遺体安置所はどこも冷たく、悲しみに満ちていた。 この時の遺体安置所にどのような光景が広がっていたかについては、拙著『遺体 震災、津波の果てに』(新潮文庫)に書き記したので、ご参照願いたい。 ここに集まっていた遺族はすぐに幽霊の話をしはじめたわけではない。最初はまったくといって言いほど聞かれなかった。だが、1ヵ月、2ヵ月と経つうちに、彼らの口から語られるようになっていったのである。 取材の中で聞いた話をいく