学術情報流通政策と大学図書館 はじめに 本稿では、21世紀最初の10年間における大学図書館をめぐる学術情報流通政策および施策等に関する政府・文部科学省・国立大学図書館協会・国立情報学研究所(NII)等の政策文書やそれらについての主要な研究等をレビューする。なお、ここではもっぱら大学図書館における学術情報流通を取扱うので、竹内(1)の指摘を踏まえ、「学術情報流通政策」と「学術情報政策」を特に区別することなく使用する。あわせて、「大学図書館政策」についても同様とし、多くの場合単に「政策」と略記する。 この10年間における「政策」関連文献は、1990年代における学術情報流通関係文献を扱った北ら(2)の文献レビュー(260件)や、その作業を引き継ぐ呑海(3)の2001年から2009年までの269件の文献レビュー、更には2007年9月時点で「最新3年程度」の範囲で、学術情報流通と大学図書館の学術情