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ブックマーク / magazine-k.jp (7)

  • 第7回 「ブックオフを異化したい」――飯島健太朗さんインタビュー

    --僕が「マガジン航」で連載している「ブックオフは公共圏の夢を見るか」の連載第5回目「ブックオフで神隠しに遭う」がマンガ化され、Twitterで大きな反響を呼びました。今回は、そのマンガの作者である飯島健太朗さんをお呼びして、その制作工程や、飯島さんとブックオフの関わりについてお伺いしていこうと思います。飯島さん、よろしくお願いします。 飯島:よろしくお願いします。 マンガ化の経緯 --まず、どうしてこの連載をマンガ化されたのか、経緯を教えていただけますでしょうか。 飯島:第一に、谷頭さんの文章をマンガにしたかったんですよね。それで、数ある中でブックオフの連載は僕が一番好きで、そしてあの文章だったらマンガにできると思って描きました。なんていうか、谷頭さんの文章には共感するところが多くて。 --なるほど。僕は主に、チェーン店の話をエッセイ風に書いているのですが、飯島さんもそういうチェーンの話

    第7回 「ブックオフを異化したい」――飯島健太朗さんインタビュー
  • 第6回 ブックオフが街のイメージを変えることだってある

    ブックオフの書棚にはその街の姿が現れる。今までの連載で書いてきたことだ。 先日、ブックオフ秋葉原店を訪れたときのこと。 秋葉原駅のすぐ近くにあるこの店舗は6階分あり、古のデパートとでもいうようなたたずまい。ここまで広いブックオフはなかなかない。ビルの大半がブックオフなのだ。 一階には家電やブランド品が売られ、ここがブックオフであることを忘れそうになる。近くにフロアマップがあったので見てみると、驚くべきことが書いてあった。 「6階・ライトノベル 5階・アニメイラスト集」 「ライトノベル」や「アニメイラスト集」が一角を占めているのだ。ここは秋葉原。他のブックオフにはないコーナーも、ここなら頷ける。この店舗風景もまた、「ブックオフはその街を映し出す」こととして語りうるのだろう。 しかし、私たちはここでさらに考えねばならない。 「これを売ったのは誰か」 2回前の連載で、『小林秀雄全作品』を売った

    第6回 ブックオフが街のイメージを変えることだってある
  • 第5回 ブックオフで神隠しに遭う

    大人になったいま、迷子にはほとんどならない。 「ブックオフで迷子になる人」 そんな人がいるだろうか。いると思う。かくいう私がそうなのだ。さっき「私は最近迷子にならない」と書きながらなにごとかと思うだろう。しかしブックオフだとつい迷子になってしまう。いま、「迷子になる」と改まって書いたのは、今回の連載で「迷子になる」ことを改めて書いてみようと思うからだ。 ブックオフで「迷子」になる ブックオフの「100円コーナー棚」には、長い間売れなかったり、汚れが著しい新書や文庫が100円で売られている。一般的な中古値段で売られると別の棚にそれらはあり、思いがけない掘り出し物が転がっていたりするから、トレジャーハントの気持ちで私はよく行くのだ。ここで私は迷子になる。 ここには大量のが棚にぎっしり詰められていて、似たような背表紙から目的の品を探すのはなかなか難しい。たよりになるのは、のジャンルや作者の

    第5回 ブックオフで神隠しに遭う
  • 第4回 『小林秀雄全作品』を売る者の悲劇

    思わぬに出会う、それがブックオフを歩く楽しみだ。そこで出会った意外なをいったい誰が売ったのか、それはどんな経緯で売られたのか、考えると楽しみは尽きない。それもまた、ブックオフを楽しむ戦術かもしれない。そしてその奥には、ブックオフから醸し出される悲劇が見えることだってある。前回までの連載と少しテイストは異なるが、これもまた一つの「戦術」だ。ブックオフをめぐる想像と思考の旅を楽しもう。 『小林秀雄全作品』との邂逅 それはブックオフ上野広小路店でのこと。いつものように店内を物色していると突然それは現れた。 『小林秀雄全作品』 日を代表する評論家、小林秀雄が生涯で残した莫大なテキストが、全28巻の中にすべて収められている。そのすべてがこの棚にあるのだ。 壮観だ。奥付を見るとすべて同じ版だから、きっと誰かが一度に売ったのだ。しかし一体誰だ、これを売ったのは。試しに一冊取って中を見る。驚くべきこ

    第4回 『小林秀雄全作品』を売る者の悲劇
  • 第3回 ブックオフを「戦術」的に考える

    をめぐる新しい秩序? 随分と連載の期間が空いてしまった。 私たちはブックオフという空間について考えてきた。ここまでの議論においてうっすらと見えてきたのは、ブックオフ的空間の特殊さだ。それは、これまでのをめぐる環境とは全く異なる秩序に支えられている。そんな推論を私たちは立てていた。覚えていらっしゃっただろうか。 ここから考えていかなければならないのは、では、この「ブックオフの秩序」というのは具体的に何を表しているのか、ということである。 残念なことに、今、それに応えることはできない。なぜならば、その問いに答えることこそが、連載の目的だからである。ここまでのパートはいわば議論のセットアップである。 ブックオフという空間には、どうもこれまでの書物とは異なる価値観が眠っているらしい。ではその価値観とは何か。おそらくいくつかのヒントは、過去2回分の連載で登場しているだろう。ただし明確にはわから

    第3回 ブックオフを「戦術」的に考える
  • 第2回 ブックオフ・図書館・コンビニ

    図書館とブックオフはどう違うのか? 前回、ぼくたちはをめぐる風景の中に突如として入りこんできた、「ブックオフ」という奇妙な書店について、それを「図書館」としてとらえ直すことができるのではないかと考えてみた。今回からは実際にいろいろな角度からブックオフについて考えてみよう。 さっそくぼくたちが考えなくてはならないのは、図書館とブックオフのちがいについてである。ぼくは先に、ブックオフは図書館に似ている、と述べたけれど、普通にかんがえるならばそれらは質的にまったくちがうものだ。でもむしろそれらが似ているという認識に立ちながらその差を見てみれば、ブックオフ的空間の特徴がよりきわだってみえてくるかもしれない。 結論を急いで述べてしまうなら、その違いはの選定基準にあらわれる。どういうことか。図書館とは図書館法に基づいて地方自治体が作り出す「公共」施設だ。そしてその「公共」という言葉が意識されるあ

    第2回 ブックオフ・図書館・コンビニ
  • 第1回 ブックオフという「図書館」の登場

    二種類の「古屋」から考える 突然だけれど、「古屋」といわれたとき、あなたの頭にはどういった風景が思い浮かぶだろうか。 薄暗く狭い店内にぎっちりとが重ねられ、店の奥ではこわそうな店主のおやじがぶすっとした顔で座っている―― あるいはこうだろうか? 蛍光灯で明るく照らされた店内にはぴっしりとが並べられ、そこかしこにいる制服を着た店員がにっこりとした顔で呼び込みをしている―― 多くの人にはこの二つの光景のどちらかが思い浮かんでいるのではないだろうか。まったく異なるこの二つの古屋は、そっくりそのまま「ブックオフ以前」と「ブックオフ以後」の古屋に対応している。日を代表する古屋チェーンである「ブックオフ」。「新古書店」ともよばれる矛盾した呼び名があるその古屋は、それほどまでに日の古をめぐる風景を変え、そしてそれは古の風景だけではなく、そのものをめぐる風景をも変えたのだ。 どう

    第1回 ブックオフという「図書館」の登場
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