ファインマンとアオヤマ君が教えてくれるもの 人生を豊かに彩るスパイスはいろいろある。愛でもいいし友情でもいいし、エロスでもいいかもしれない。しかし、この映画を観た後、筆者は探究心こそ人生の最高のスパイスではないかと思うに至った。 映画『ペンギン・ハイウェイ』は、知的探究心がいかに人生を豊かにしてくれるのかを描いた作品だ。こまっしゃくれてちょっと理屈っぽい小学生、主人公のアオヤマ君が、近所の歯科医のお姉さん、そして市街地に突然出現したペンギンの謎を解き明かそうと奮闘する物語だ。 筆者は、半分冗談、半分本気でこれを名著『ご冗談でしょう、ファインマンさん』の映画化だと言っている(もちろん森見登美彦の素晴らしい原作があることは知っています)。本作が観客に与えてくれるものは、あの名著と同じものだと思うのだ。 『ご冗談でしょう、ファインマンさん』は天才物理学者リチャード・ファインマンの自伝本だが、小難
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