小学生のころは虫とりに夢中だった。虫とりあみと虫かごを持って近所を探険する。すると自然と虫にランクが生じはじめる。珍しい虫ほど価値は高い。そこらへんにゴロゴロ転がっている虫は捕まえても嬉しくない。 たとえばアブラゼミはランクの低い虫の筆頭だった。とにかく夏になりゃミンミン言っているし、一本の樹に十匹以上しがみついている。二週間もすれば全員死んで地面に転がっている。こんな虫は捕まえるまでもない。 しかし稀少なセミもいた。たとえばクマゼミである。これは非常にレアだった。一夏をとおして数匹見れればいいところ。だからクマゼミを見つけた日はテンションは上がる。絶対に捕まえたいと思っていた。ある時、夏の終わり、うちの郵便ポストでクマゼミが死んでいたことがあった。私は神さまの贈り物だと思っていた。 しかし京都で暮らしていると、クマゼミをけっこう見かける。生息分布の違いなのか、そのへんの地面でゴロゴロ死ん