小説を読むときって、その小説のなかに入っていくような感覚がある、とおもう。俺のなかでは、もしかしたら昔に本か何かで読んだのかもしれないのだけど、「海のなかに潜っていく」ようなイメージがある。 小説っていう海のなかに潜っていくためには、勢いや集中力のようなものがわりと重要だし、体が水のなかにいることに慣れることも大切だ。水のなかでうまく呼吸ができるようになれば、どんどん深くまで潜っていくことができたりして。海にもいろんなタイプがあって、簡単に潜っていけるような海もあれば、すぐに苦しくなって水面まで上がって空気を吸わなきゃやってられないような海もある。やたらと深くて底がどこなのか全くわからないような海もある。あまりにも深く、あるいは長時間潜っていると、海のなかから上がってきたときに、現実のほうが逆に現実味を帯びていないように感じられたり、なんてことも(たまには)あったりする。 小説を読むってい